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2018年5月13日 20/14℃ 曇り時々雨  【 午後 】




前回の続き。

コルリとの出会いを求め県の北部地域まで足を伸ばしましたが残念ながらその姿を見ることはできませんでした。

しかしながらサンコウチョウやイスカなど様々な小鳥を観察できたことから結果的には大満足。
疲労感たっぷりで自宅に戻り、車を降りようとした瞬間いつも顔を合わせるバーダー氏から電話を着信。


バ『今何処さ居だすか?』

私「今ちょうど家さ着いたとこだす」

バ『いっつもムナグロ入る田んぼにヘラ・・入ってるす』

私「ヘラサギ?」

バ『 ヘ  ラ  シ  ギ  ! 』

私「・・・」


数秒間ですが思考回路が停止しました。

ヘラシギと言ったらいつも仲間内で冗談半分に話題にあがるほどの世界的希少種。
秋田県においての記録は私の知る限り20年程なく、勿論私は一度も見たことがないので個人的観察難易度は・・・

 

 

最高ランクのどら焼き5つ。
もう二度と見ることができないかもしれない、そんなレベルの珍鳥です。

疲れたなんて言っていられない緊急事態。
慌てて現場へ急行しました。

 


現場に到着し田んぼを見てみると同じような姿をしたトウネンが200羽ほど入っており、情報元に話を聞いてみたところ田んぼの奥の方に居るはずだが一度目を離すと分からなくなるとのこと。

なんでも足にフラッグが付いてるとのことでそれを目印に探した方が早いと言われましたが、区画整備された田んぼは一枚あたりの面積が広く何処に居るのかさっぱり分かりません。

田んぼで餌を採る群れを1羽1羽丁寧に確認していきますが常に動き回る個体の中からヘラシギを探しだすのは困難を極めました。

その間に隣から聞こえてくる凄まじい連写音。
これが余計に焦らせる・・・

 


現場に到着してから何分が経過したでしょうか、漸くヘラシギを発見。
判りやすいよう矢印を付けました。

 

 

望遠レンズでこのサイズですから如何に探しだすのが大変なものかお分かり頂けると思います。

この画像を拡大したものがこちら。

 

 

名前にある通り嘴がヘラ状で確かに足にはフラッグが付いていました。
こちらに近付いてこないものかと粘りますが、これがなかなか寄って来ない。

トウネンは足元までやって来るのに・・・

 

 

行動を見ていると群れの端の方にいることが多く、群れの中心にやって来ることはありませんでした。
何か群れに勝手に混ざった、若しくは混ぜてもらっているそんな印象です。

 


暫く様子を見ていると群れ全体が手前の方に移動してきたため、端の方で餌を採っていたヘラシギは田んぼの真ん中辺りまで移動。

漸く肉眼でも見える位置まで来てくれました。

 

 

伸びのポーズを見せてくれたところで気付いたのですが、左足にフラッグが2つ付いていることに加え右足には銀色の足環も付いています。

こちらも画像を拡大。

 

 

この個体の画像をTwitterに掲載したところ鳥類を調査するNPO法人バードリサーチの方からコンタクトがありました。


標識を元に有識者より調べて頂いたことで2016年10月1日に韓国の国立生物資源研究所により標識調査された個体ということが判り、昨年の5月4日には台湾で確認されたそうです。



肉眼でも観察できるようになり分かったことはトウネンと採餌方法の違い。

 

 

トウネンは嘴を縦に小刻みに動かしながら餌を採りますがヘラシギは泥や水中に嘴を入れている時間が長く、それを左右に振るように餌を採っていました。

同じような嘴を持つヘラサギほど大きな挙動ではありませんが、図鑑に記載がある通りの生態を見ることができ感動の瞬間。


しばしその様子を観察していると不意に群れが飛び立ち、辺りを一周するようにして向かい側の田んぼへ。

 

 

ふりだしに戻る。

一度見失ったヘラシギを群れの中から探しだすのは骨の折れる作業
しかも降りた田んぼは田起こしした状態で更には各々が窪みへすっぽりと収まる形になっていました。

ダメ元で再び1羽1羽確認していくと・・・何とびっくり、ヘラシギは手前側に。

 

 

近くでの観察は諦めていただけに一緒に観察をしていた情報元と二人で大喜び。


世界的希少種のヘラシギ、日本では秋の渡りの時期の確認例が殆どで春の渡りの時期の確認は稀なようです。
よって今時期だからこそ見られるヘラシギの夏羽はかなり貴重なんだとか。

 

ヘラシギの個体数は年々減少傾向にあり、1997年に4000個体程度と推定されていたものが有識者のお話によると最も新しい報告ではは500~700個体程度と推定されているそうです。

 

しかし楽観的過ぎると異論もあるようで約500個体というのが大方の認識だそうで、これは個体群維持の最低ラインとのことでした。

 

 

世界的にみて500羽というのは相当厳しい数字だけに個体数の回復を願わずにいられません。

 

 

嬉しい観察の裏に厳しい現実もありますが、このように日曜日は早朝から日没間際まで鳥三昧の濃密な時間を過ごす形になりました。

仕事の忙しい時期と重なり日記の編集をしている今もまだ疲れが抜けていませんが、これからまた観察を続けるにあたり大きなモチベーションとなったことは間違いありません。


長くなりましたが日曜日の観察記はこれにておしまいです。