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2019年 野鳥観察の旅 in 石垣島 ③

 

 

2019年6月8~10日 ③

 

 

 


アジサシ類のお話から島で見られた固有種や亜種の話題に続き、今回はみんな大好きアカショウビンのお話。

石垣島で見られるアカショウビンは本州に渡来するアカショウビンの亜種であるリュウキュウアカショウビン。
今まで図鑑やブログなどで数多くの写真を目にしてきましたが、ようやく自らの目で観察することができました。

 


リュウキュウアカショウビンとのファーストコンタクトは日程初日のお昼前。

鳥友さんと合流する前に幹線道路に架かる橋の上からマングローブを覗いていた時の出来事でした。

聞き慣れない鳴き声に耳を澄ませてみると・・・

 


「これってアカショウビンなのか?」

地元で観察するアカショウビンとはあきらかに違うトーン。

間も無く目の前を横切っていく赤い飛翔体を目にしました。
やはりリュウキュウアカショウビンのようです。

 


話は少々前後してしまいますが違和感を覚えた鳴き声を3ヵ所で録音してみました。
其々鳴き方も違えば鳴き声も違って聞こえます。

 

個体A

個体B

 

地元で見られるアカショウビンの鳴き声は何処か物悲しく聞こえることがあり、電子的な音にも聞こえることもあります。

参考までに地元のアカショウビンを観察した際に録画した、鳴き声の含まれる動画を掲載。

 

 

比較することで分かりますがリュウキュウアカショウビンの鳴き声は野太く聞こえたり、ダミ声に聞こえたりと個体によって様々です


鳥友さんと合流しアジサシ類を観察している際に鳴き声について話題になり、渡りの時期には『か細い鳴き声を発する個体がいる』ということを仰っていました。

「多分それ、渡ってる途中の本州のアカショウビン」

私の見解について鳥友さんの回答は・・・

『鳴き方の下手な個体だと思ってた』

鳥友さんは本州のアカショウビンを見たことがないそうで、互いの観察経験をもとに鳴き声についてお話しできたのは大きな収穫で旅の良い思い出になりました。


後日談ですがイシガキシジュウカラやリュウキュウキビタキも本州で見られる個体とあからさまに鳴き声が異なり、見た目だけではない亜種との違いも学ぶことができました。

アジサシ類を観察した後は鳥友さんに案内して頂きリュウキュウアカショウビンを観察。

“行けば居る”といった個体がいるそうで、そちらに移動をすると前を走る車内から鳥友さんが指を指します。

指差す方向を見てみると・・・

 


「あ、居た」

 

 

地元の感覚ではちょっと考えられません。

行って直ぐに観察できたこともありますが、特に秋田のアカショウビンは運要素が強く空振の覚悟が必要。

しかし石垣島では個体数が多いことと人慣れしている個体がいることから撮影という部分に関しても容易に感じました。

人工物に止まるリュウキュウアカショウビンはまるで置物のようです。

 

 

少し離れた場所にも“いつもの子”がいるようでそちらに行ってみると・・・

何か激しく動いています。
取り合えずその様子を動画で記録しました。

 


※大事なデータでしたが誤って削除してしまい、今回掲載する動画は削除前にモニターの画面をスマホで撮影したものになります。
そのため映像がかなり粗めですがご容赦下さい。
データの復元に自信のある方からのご一報お待ちしております。

荒ぶったリュウキュウアカショウビン、一体何を叩きつけていたのか気になり画像を拡大してみてビックリしました。

何と巨大ミミズ。

 

 

アカショウビンの体長は27cmですが、パッと見た目にもミミズは2倍以上の長さだったのでざっくり計算しても60cm以上の長さ。

 

恐るべし石垣島。

 

 

それにしても叩き過ぎ。

完全にグロッキーになった巨大ミミズは一瞬で呑み込みリュウキュウアカショウビンはご満悦のようです。

 

 

初日は鳥友さんの案内で幸先のよい観察をすることができましたが、残りの2日間も島のあちこちで沢山の個体を見つけることができました。

そのうち私が今回の旅で見たかった個体は動画でも記録。
かなり遠いところでしたが、鳴き交わしているところを撮影しました。

 

 

図鑑にも記載がありますがリュウキュウアカショウビンは上面の紫色に見えることが最大の特徴。

しかし南西諸島で観察された方々のブログを見ると本州の個体に近い色をした画像もあれば、いかにもリュウキュウアカショウビンといった紫色に見える画像もあります。

私は今回の旅行で紫色に見える個体を何としてでも観察したいと考えていましたが、運良く“リュウキュウアカショウビンらしいリュウキュウアカショウビン”と巡り逢うことができました。

念願叶って観察できた個体と地元のアカショウビンと比較してみます。

 

【 秋田の個体 】

【 石垣島の個体 】


 

比較することで改めて思うのが、石垣島で見る本州の個体に近い個体は単純に個体差なのかそれとも交雑なのか・・・


個体差については見た目だけではなく警戒心についてもかなり違いが見られました。
警戒心が全く感じられなかったのがこちらの個体。

 

 

かなり暗い場所で見られた個体ですが、止まっていた横枝の下を歩いても気にする様子もなく通り掛かった車にもこれといった反応は無し。

このような個体が島のあちこちで見られます。

 

 

しかしこの場所は本当に暗く、カメラの設定を元に説明すると露出補正±0の状態にISO感度5000でシャッター速度は1/25しか稼ぐことができないそんな暗さ。

撮影には難儀させられましたがサービスの良さには感謝です。

 

 

さて、鳴き声と色の違いについてお話をしましたが観察を続けることでもう一つ大きな違いに気付きました。

それは腰の色の違い。
本州で見られるアカショウビンは腰の部分にカワセミに似たような翡翠色の羽が存在します。

参考画像。

 

 

一方でリュウキュウアカショウビンはアカショウビンに比べ幅が広く白っぽい印象。

そのため飛翔時には腰の色がかなり目立ち、本州のアカショウビンとの違いを感じさせられました。

 

 

また鳥友さんに案内して頂いた際に、樹上を指差す先に大きなアリ塚が見られました。

後から知ったのですが、どうやらリュウキュウアカショウビンが巣として使っているようです。
このような部分を見ても地域性の違いが感じられ非常に興味深いものでした。

しかしながら島全体に一体どれくらいのリュウキュウアカショウビンが生息するのか。

 

 

電線に止まる個体、民家の敷地で鳴いてる個体、公園で餌を採る個体と3日間で姿を確認できたのは延べ30羽を超えました。

所構わず見られるリュウキュウアカショウビンの観察をするため石垣島を訪れるバードウォッチャーも多いことでしょう。

 

 

前回の旅行ではカンムリワシを中心に観察を行いましたが、今回は季節を変えることで新たな発見の多い旅行となりました。

見るもの全てが新鮮で何を食べても美味しい魅力がいっぱいの石垣島、また機会があったらゆっくりと島を巡ってみたいと思います。

 

 

まだまだお話したいことは沢山ありますが2019年 野鳥観察の旅 in 石垣島の観察旅行記はこのへんでおしまいです。