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2018年 野鳥観察の旅 in 沖縄本島 ④

 

 

2018年10月7日

 

 

 

 

前回の続き。
日程4日目。

この日も前日同様、夜明け前に宿を出発して“やんばるの森”へ。

前日は出会したアカヒゲに対しその都度撮影を試みて時間が取られてしまったことから、反省の意味も込めてヤンバルクイナとの出会いに集中することにしました。

 

 

二兎追う者は一兎もを得ず。
ことわざにある通り1種に絞りヤンバルクイナを探し森を進むと・・・

何かが道路を横断している。
何だろうと思いゆっくり近寄ってみると・・・カメ。

これがリュウキュウヤマガメか。
と思ったら道路の真ん中で甲羅の中へ隠れてしまいました。

 


これはいかん。
このままだと轢かれてしまう。
リュウキュウヤマガメもヤンバルクイナと同様に事故に遭うケースが多いようで、森の道路沿いにはカメがデザインされた標識も見られました。

車を降りてカメを拾って安全な場所に移動。

 

 

引っ込めた頭や手足を出すのを待ちましたが、一向にその気配は無し。

いやいや、こうしてはいられない。
我に返ったように再びヤンバルクイナを探して回ると・・・

 


いた!

 

 

しかし直ぐに隠れてしまいます。

ここで焦りは禁物。
野鳥は動くことなく待っていると同じ場所に出てくることが多いので我慢の一択。

出てきた。

 

 

この時の時刻は6時半。

ヤンバルクイナは道路沿いの枯草を嘴で払い除け餌を探していました。

 

 

ゆっくり観察できるかと思いきや通り掛かった車を警戒して再び森の中へ。

車の速度が早く慌てた様子で森に逃げ込んだので同じ場所に現れる可能性は低いと考え別の個体を探すことにしました。

 


それから30分後の7時に2羽目を発見。

 

 

この時もやはり通り掛かった車を警戒して森に逃げ込んでしまいましたが、この時は肝を冷やしました。

道路に出ていたヤンバルクイナが慌てて逃げる際、一度車が走って来ている方に走って行ったのです。

「危ない!」

と思った瞬間、ヤンバルクイナは方向を変えて森に逃げ込みましたが、こういった動作が原因で事故に遭うのでしょう。

 

 

調べてみるとヤンバルクイナが事故に遭うのは繁殖期が圧倒的に多いようで、これは雛に気を取られ命を落とすケースが殆どだとか。

こういった事実を知り、実際に目の当たりにすると何とか命を守る方法はないものかと考えさせられます。

 


気を取り直しヤンバルクイナを探していると木にへばりつく黒い物体を発見。

 

これはクロイワトカゲモドキなのだろうか。
詳しいことが分からないのでこちらは後でゆっくりと検証が必要。

 


ふと見るとカラムクドリが2羽地面で餌を採っていました。
しかし縄張り意識の強いイソヒヨドリに追われなかなか思うように撮影ができません。

 

 

 

イソヒヨドリがしつこく追い回すので次に撮影した写真を最後に姿を見失いました。

 

 

ちょっと残念な気もしましたが、この直後に3羽目のヤンバルクイナを発見。

この時の時刻は7時半。
丁度30分置きの間隔での観察です。

 

 

こちらの場所は主要な道路とは違い車通りが殆どない為ゆっくりと見ることができました。

車内で観察を続けていると車の真横を出たり入ったりと肉眼でじっくりと観察。
漸く自分の納得のいく観察をすることができました。

 


やんばるの森の側溝にはこのような階段が整備されています。

 

 

此方は森の生き物たちが側溝に落ちた際、側溝内で衰弱することがないようにと整備されているようでこの他にも様々な工夫が見られました。

ヤンバルクイナの観察に一区切りがついたところで場所を移動。

 


次に向かうは比地大滝。
沖縄本島でアカヒゲを観察するにあたり、ネットで検索すると必ずと云っていい程こちらの場所が紹介されています。

先人が教えてくれる実績ポイントへ車を走らせ、比地大滝入り口へ到着。

こちらはキャンプ場にもなっており、中へ進むには通行手形が必要でした。

 

 

受付のお兄さんにアカヒゲを観察しに来た旨を伝え、どの辺がポイントになるのか尋ねてみると・・・

『滝までは片道40分程度ですが、その中間地点に吊り橋があるのでそこから先が良いと思います』

 


とのこと。
本当かいな?

結構疑り深い自分。
いずれにしても生態的に薄暗い水辺の場所を好むのは間違いないと思うのでキャンプ場を通り抜け整備された木道を進みます。

ちょっとなめてました。

 

 

大滝に辿り着く前に私の額が大滝。

流れる汗が止まらない。
今回の旅は体力勝負だと思い、旅行を計画した数ヵ月前から走り込んで体力作りをしてきていましたが、この数日殆ど寝ずに動き回っていたせいかバテバテ。

漸く吊り橋に辿り着くかといったところでアカヒゲの鳴き声が・・
やんばるの森で何度も耳にしていたので聞き間違えることはありません。

大きな挙動を抑え摺り足で探して回ると無事に発見。

 


今回はヒゲ有り。

 

 

これでやっと2種見ることができたと思えた瞬間でした。

こちらのアカヒゲ、詳しくはアカヒゲの亜種で沖縄本島固有亜種のホントウアカヒゲになります。
では本当のアカヒゲは何処にいるのか。

話がややこしくなってきました。

 

 

アカヒゲは奄美大島などに生息し、ホントウアカヒゲは沖縄本島。
その他に与那国島にはウスアカヒゲという固有亜種が生息していたようでしたがウスアカヒゲは残念ながら絶滅してしまったようで現在は2種に分類されるようです。


最短距離で撮れた写真は弦が邪魔で非常に残念なものになりましたが、アカヒゲの♂を見ることができて達成感が込み上げてきてしまい正直なところ引き返そうかと思いました。

しかし滝を拝まないことには500円の元が取れません。
この先にもっと良い出会いがあるかもしれませんし、半ばやけくそで前へ前へと進みます。

しかし膝が笑う。
立ち止まり一息ついていると木にトカゲが止まっていました。

 

 

キノボリトカゲかな?

可愛いなぁと思いトカゲを見ていると頭上を飛んで行く黒い影。

 


ノグチゲラ!!!

諦めていたノグチゲラを肉眼でしっかりと確認。
遠くには飛んで行かず何処かに止まったようだったので探してみると・・・

 

 

棚から牡丹餅。

毎度のことながら本当に運が良いと思います。
ノグチゲラは諦めていただけに嬉しいの一言。

観察とはとても言えませんが写真に残すことができただけでも良い方でしょう。

ノグチゲラは枝から移動し、木道と向い側の場所でシロハラのように斜面をガサガサした後姿が見えなくなりました。

興奮冷めやらぬまま比地大滝に到着。

 

 

滝ですな。

それ以外に言い様がありません。
この後また40分の道のりが待っているのでマイナスイオンを浴びて呼吸を整えます。

いざ出発。


ん・・・!?

なんとビックリ、ノグチゲラが目の前に飛んできた。
その距離約2mで動くことができません。

低い場所に止まり、いかにもキツツキという動きを見せるノグチゲラ。
少しずつ上に登っていくのに合わせて私は摺り足で後退。

撮影可能距離になったところですかさず連写。

 

 

眼が潰れる思い。

更にもう1羽飛んできて大サービス。

 

 

一体どうなってる。


もしやカメの恩返しかこれは。

 

 

このノグチゲラ、一属一種で世界から見ても沖縄本島でしか見られません。

国の特別天然記念物に指定されていて、環境省レッドリストでは最も絶滅の恐れの高いⅠA類に分類され個体数は減少傾向にあるようです。

希少な鳥との思わぬ出会いに帰りの足取りは軽くあっという間にキャンプ場入り口へ。

 


結果としては本来目的としていたアカヒゲを確認できたのは1羽のみ。
想像ではもっと沢山出会えると思ったのですが・・・

見る場所が悪かったのか、時期や時間によって違うのか。
いずれにしても個人的な感想としては奥に行けば行くほど水の流れが激しくなり小鳥の気配がかき消されてしまうので、中間地点の吊り橋より手前側が良かったと思います。


この時の時刻は11時。
一時間かけて宿に戻りシャワーを浴びて昼食です。

沖縄らしい体に良さそうな定食をいただきました。

 

 

大きな目的が達成できたので、午後は大きく場所を移動して農耕地での観察を行います。

海中道路を渡ってサトウキビ畑の広がる島へ。

 

 

農耕地でのお目当てはミフウズラ。

この鳥は南西諸島に生息する鳥で、去年の観察旅行で石垣島に行った際見ることができずに終わりました。

そんな訳で今回は沖縄本島でリベンジ。

 


が、しかし・・・
夕方まで探してみたもののミフウズラは発見できず。

その代わりと言っては何ですが、ツバメチドリを30羽くらい見ることができました。

 

 

秋田ではシーズン中に1羽でも見れたら良い方で群れで見るのは初めて。

そんなツバメチドリも記念に動画撮影です。

 

 

楽しかった沖縄本島での観察はこれにておしまい。


翌日が最終日、いよいよ沖縄を離れます。

 

 

後日更新の日記に続く。