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2020年7月2日




今回の日記は秋田を離れての観察旅行記。

新型コロナウィルスによる緊急事態宣言が4月16日に発出されて以降、予定していた沖縄旅行をキャンセル。
その後は越境することなく地元で観察を続けてきました。

 


政府や地方自治体から越境の自粛が呼び掛けられてきましたが、感染者数の減少に伴い先月19日に越境の自粛が解除。
越境が可能となって以降、商業地や観光地には少しずつ人が戻ってきているようですが東京都の感染者数は再び増加傾向にあるようです。

感染者の内訳を見ると“夜の街関連”と呼ばれる感染経路が多く、人と人の密集する場面を回避することが大事だと考えさせられました。

 

幸いにも今回予定していた遠征先は感染者の多い首都圏を中継することなく足を運べる場所であったものの、万が一を考え予防に予防を重ねたうえで秋田を離れることに・・・

 


10時30分、ナマハゲに見送られ秋田空港を出発。

 

 

11時35分、旅の起点となる新千歳空港へ無事に辿り着くことができました。

しかしこちらは生憎の空模様・・・

 

 

 

2020年 野鳥観察の旅 in 北海道 ①

 

 

試される大地で自分の探鳥力を試してみようという観察旅行のはじまりはじまり。

今回の旅行、実は旅行前にすったもんだがありました。
元々予定していた計画では道東で観察を行うはずだったのが、メインに考えていたクルーズ船がコロナウィルスの影響により9月30日まで運航を停止するという発表を旅行直前に知らされ旅の計画を全て練り直し。

千歳空港~中標津空港までの航空券、レンタカー、宿を全てキャンセルし新たなプランは当初予定していたものと全く違ったものになりました。

 


新しいプランでは千歳空港近くでレンタカーを調達し午後から空港周辺で探鳥する予定でしたが車外に出ることを躊躇するほどのどしゃ降り。

暫く天候の回復を待ってみたものの明るくなるような兆しは感じられず、15時半を過ぎた頃に観察を断念。
予定より少し早く初日の宿営地である羽幌町を目指すことにしました。

 

羽幌町は千歳市から北の方角にあり、高速道路を使用して約3時間の距離になります。

赤ピンを立てた場所が羽幌町。

 

 

留萌ICを降りた後は海沿いの国道を北上する形になり、この頃になると天候が回復し夕陽の見える良いお天気になりました。

北上すると共に夕陽が水平線に近付いてくると今回の目的地がうっすら見えてきたので旅の記念に風景写真を撮影。

 

 

程無くして羽幌町へ到着。

 

すっかり日も暮れてしまったので初日の夜は宿泊先でご当地グルメを頂くことに。

羽幌町は甘エビ水揚げ量日本一ということだったので選んだメニューは・・・


えびしおラーメン。

 

 

太めの縮れ麺に濃厚な海老のスープが絡み大変美味しゅうございました。

ご当地グルメを頂いたところで温泉に浸かり翌日に備えて早めの就寝です。

 

 

 

 

2020年7月3日 (午前)

 


この日は宿を6時半に出発。
前日夜は気付きませんでしたが、町の街灯には今回の旅でお目当となる海鳥がデザインされていました。

 

 

オロロン鳥とはウミガラスの俗称。
『オロロロ~ン』という鳴き声から羽幌町ではオロロン鳥と呼ばれ町のシンボルとなっているようです。

ウミガラスは羽幌町の沖合いに浮かぶ天売島で繁殖しており、ウトウの繁殖地としては世界最大。
同時にケイマフリも繁殖しているそうで、今回はこの海鳥の観察をメインに旅を計画しました。

 


コンビニで朝食と昼食を調達したところで羽幌フェリーターミナルへ移動。

 

 

羽幌フェリーターミナルから天売島までは焼尻島を経由して高速船で1時間、車両積載可能なフェリーで1時間半を要します。

現在は新型コロナウィルスの影響により高速船が運休となっているため、フェリーのみの運航となっていました。

 

 

運航時間は期間によって異なるようですが、この日は8時20分始発の便で羽幌港を出航。
※高速船の乗車とフェリーへの車両積載は事前に予約が必要です。

 


出港してから天売島までの航路はデッキで海鳥ウォッチング。
外港に出て間もなくウトウの群れが飛んでいる姿を目にしました。

 

 

秋田には冬鳥として南下してきますが、たまに見掛ける程度なので一度にこのような数を見たのは初めて。

フェリーが天売島に近付けば近付くほど目にする機会が増え、ケイマフリの姿もちらほら見掛けるようになり期待が高まります。

ミズナギドリの類いが一羽も確認できなかったのがちょっと意外でしたが、海の上を飛ぶアマツバメを多く目にしました。

 

 

観察を続けていると焼尻島が見えてきたのでこちらも記念撮影。
左側にシルエットで見えるのが目的地の天売島。

 

 

焼尻島を経由するとあっという間に天売島へ到着。

港には宿の関係者が多く、屋号の看板を掲げ笑顔で迎え入れてくれます。

 

 

先ずは予習した天売島の情報から。
天売島は羽幌港から西30kmに位置しており、日本海に浮かぶ周囲12kmの小さな島。

島の外周に沿って道路が整備されており徒歩で一周すると3時間ほどで回れるようです。

 

 

とは言っても流石に徒歩は厳しいのでレンタルサイクルも用意されていましたが島は起伏の激しい場所もあり体力に自信が無ければ厳しいことでしょう。

数は多くないようですがレンタカーもあるようで、そちらは1時間あたり3300円となかなかのお値段。
フェリーでの車両積載料金も往復で2万円超だったことから、多くの観光客はネイチャーガイドを利用して島を回るようです。
※ネイチャーガイドを利用すると宿泊先まで送迎してくれるとのこと。


蘊蓄はこれくらいにしておいて、早速島内での探鳥を開始。
スズメ、カワラヒワ、コムクドリを横目に初めに観察したのはノゴマ。

 

 

噂通りノゴマがあちこちで囀ずっていました。

鳴き声だけであれば渡りの時期に秋田でも耳にしますが撮影は至極困難。
今年の春も粘ってみましたが笹藪の中を動き回る姿を見るだけで観察には程遠く何度泣かせられたことか・・・

 

 

地元では敷居の高いノゴマがこうもあっさりと見られるとは驚きを隠しきれません。
繁殖地ならではといったところでしょうか。

港から外周道路を西に進むとウミネコの集団がお出迎え。
車が近付いても退いてくれる気配は全く無し。

 

 

島の生活拠点が東側に集中しているので西側に向かう道路へはほとんど車の通行が無いようです。
そのため車が接近しても我が物顔で占拠しているのではないでしょうか。

道路脇には幼鳥の姿がちらほら。

 

 

どうやら道路脇に自生する植物の隙間に営巣しているようで、幼鳥が中へ潜りこんでいく様子が見られました。

なんとかウミネコに退いてもらい更に西へ進むと赤岩園地に辿り着きます。
この周辺一帯が世界一とされるウトウの繁殖地。

 

 

画像に見えるように周辺は穴だらけ。
こちらの穴がウトウの巣穴で中には親鳥の帰りを待つ雛が入っているようです。

赤岩園地看板の目の前が駐車場になっておりトイレが併設されていました。
本格的な観察を前にちょっと用を足しに行ってみると・・・

 

 

流石世界一の繁殖地。

用を足したところで赤岩展望台へ。
こちらがネットでよく見るウトウの営巣場所のようです。

 

 

他の営巣場所はイタドリという植物の影になっていますが、何故かこの場所だけ地面が露出していました。

営巣場所を遊歩道から観察できるようになっていましたがウトウの帰巣が見られるのは日没後。
そのため遊歩道の突き当たりにある展望台へ進みます。

 

 

天売島で陸地から海鳥を観察するにあたってこちらの展望台がお薦め。
少し離れた場所に海鳥観測舎という施設がありましたが、個人的には赤岩展望台からの観察が良いと感じました。

先ずは風景写真から。
細く尖って見えるのが赤岩。

 

 

展望台から眺める景色は第一印象として海が綺麗だということ。
南西諸島で見る海とは違った色合いをしていました。

水面をよく見てみると沢山の海鳥が浮かんでいることに気付かされます。

 

 

そのほとんどはウトウですが、よく見るとケイマフリの姿もちらほら。
ウミガラスは居ないかと探してみると・・・

 


「見つけた」

 

 

現在のところ天売島に生息するウミガラスは62羽ということだったので1/62を見ることができました。
かなり少ない数ですが一時は20羽以下まで減少していたようなので、少しずつ個体数が回復しているようです。

遠巻きに見ただけなので観察とは言えませんがウミガラスを自分の目で見ることができて喜んでいたところケイマフリが岩場へ飛来。

 

 

予想外の展開にウミガラスの発見より喜んでいる自分がいました。

それから間もなく目の前の岩場にもケイマフリが飛来。

 

 

赤い脚が印象的なケイマフリ、この赤い脚を意味するアイヌ語の『ケマフレ』が和名の由来なんだとか。

 

カムチャッカ半島東岸とオホーツク海、日本海が主な分布域。

日本では太平洋側も含む北海道で局地的に繁殖しているようですがウミガラスと同様に繁殖地の消失が相次ぎ個体数の減少も著しいようです。

 

 

こちらの岩場で羽を休める2羽はペアでしょうか。

 

 

赤岩展望台で観察を始めてから聞きなれない鳴き声を頻繁に耳にしていましたが、鳴き声の主はケイマフリであることが判明。

近くに飛来したことでハッキリと確認できました。
見た目からは想像もできない可愛らしい鳴き声だったので、そちらは動画で記録。

 

 

鳴き声を録音していると目の前の岩場にもう1羽飛来したことから静止画に切り替え観察を兼ねて撮影してみることに。

他の岩場で羽を休める個体も同様、ケイマフリは仲睦まじく寄り添う場面が多く見られパートナーとの絆が深い鳥のようです。

 

 

ペアで仲良くしていたところにもう1羽飛来すると立て続けに別の個体も飛来。

狭い岩場に4羽のケイマフリが密集。
ここにソーシャルディスタンスなんて関係ありません。

 

口の中も脚と同じように真っ赤。

 

 

ケイマフリを観察しているとノゴマも参上。

 

 

暫くするとケイマフリは岩場を離れ、そのタイミングと同時に地元の方が見えられました。

地元の方は気さくに話し掛けてくださり、お話によるとケイマフリが目の前の岩場に飛来するのは限られた時間のみなのだとか。
当たり前の光景かと思いきや私はタイミング良く足を運んでいたようです。

 


晴天時における赤岩展望台からの観察は午前8時頃から12時頃がお薦めとのこと。
早過ぎると岩場が影になりお昼を過ぎると逆光になってしまうとのことでした。

 


その後ケイマフリは岩場に飛来することがなく眼下で泳ぐウトウを眺めている時間がほとんど。
上空にはアマツバメの群れが現れ高速で飛び交う様子を眺めていましたが、ふと遠くの岩礁を見ると白っぽい物体が・・・

 


「なんだあれ?」

その際に撮影した画像がこちら。

 

 

これでも望遠レンズで撮影した画像ですが、拡大してみたところアザラシと判明。

 

どうやら岩礁の上で昼寝をしていたようです。

遠巻きに様子を伺っているとアザラシは5頭いるようで水面から顔だけ覗かせる個体も見られました。

 

拡大画像を掲載。

 

 

観察を続けていると時間の経過と共に光線の状態が悪くなり、お昼を過ぎたところで展望台からの観察は終了。

 

午後は漁船に乗って海鳥観察~ウトウの帰巣シーンの観察と続きますが、そちらの様子は後日更新の日記で・・・