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2021年 野鳥観察の旅 in 奄美大島 ②

 

 

2021年3月25日

 

 

 

 

前回の続き。

 

初めて訪れた奄美大島。

 

初日は下見のつもりで自然観察の森へ足を運んでみましたが、想定外の観察が続き幸運にも観察難易度の一番高い鳥と予想していたオオトラツグミをじっくりと観察することができました。

 

 

日程2日目の朝は雨雲に覆われた生憎の空模様。

 

この日は早朝から観察を予定してたものの南の島ということもあり日の出時刻が遅く比較的ゆっくりめの観察開始となりました。

 

雨が小康状態になったところを見計らって自然観察の森へ行ってみると道路沿いにアカヒゲの姿が。

 

 

後にも先にも木々が生い茂った場所以外でアカヒゲを見たのはこの時のみ。

 

運が良ければこの様に開けた場所で見ることもできるようですが藪の中にいることがほとんどでしょう。

 

 

例え晴れていても森の中は薄暗く、撮影をするには感度をかなり上げる必要があります。

 

参考までにF4のレンズを使用した場合でもISO6400以上を推奨。

時には12800でなければ厳しいこともあるかもしれません。

 

三脚を立てての撮影は非常に困難だと思います。

 

 

例え姿は見えなくとも囀りはあちこちで聞くことができ、森の中では時間を問わずアカヒゲの鳴き交わしが響いていました。

 

 

アカヒゲの囀りを楽しんでいると遠くにカラスバトを発見。

しかしながら警戒心が強く証拠写真を残すことが精一杯。

 

私はカラスバトと相性が悪いようです。

 

 

時間の経過と共に天候が回復してきたので、森の中を散策し初日に見ることのできなかったオーストンオオアカゲラを探してみることに。

 

しかし何処を歩いても全くと言っていいほど気配を感じることができません。

時期的なものなのか、はたまた運が悪いだけなのかは分かりませんが嫌な雰囲気が漂い始めました。

 

 

見ることができない鳥に固執するよりなら見れる鳥を観察しようと頭を切り替え、森の中を飛び回るその他の固有種を観察。

 

こちらについては簡単にご紹介。

 

・アマミコゲラ

 

・アマミヒヨドリ

 

・アマミヤマガラ

 

・アマミシジュウカラ

 

どの鳥も共通するのは本州の個体に比べると体色が濃いようです。

 

 

今は渡りの時期ということもあり土地柄びっくりするような珍鳥がいるかもしれません。

しかし私にとって初めて訪れる場所ということもあり珍鳥探しをするよりも固有種にこだわり観察を続けました。

 

 

ルリカケスが巣材を集める様子を見ることができたのでこちらはじっくりと観察。

 

 

私が見る限り巣材となる物は枝が多く、細めの枝を折って集める場面がほとんど。

 

時々蔓も咥えている姿を目にしましたがまだ巣を作り始めて間もないようです。

 

 

陽の射し込んだタイミングを見計らって観察してみると、綺麗に光り輝く羽色を見ることができました。

 

 

近くで見るとやはり顔つきはカラスですが美しいという印象が更に増します。

 

 

ルリカケスだけではなくオオトラツグミも常時出ており、前日と同じ個体と思われるオオトラツグミが道路沿いで採餌をしていました。

 

 

私の存在などお構い無しの様子も前日と同様で、歩いては立ち止まりを繰り返し落ち葉をひっくり返して採餌をしていると付近を車が通過。

 

人に対して警戒心を見せなかったオオトラツグミでしたが車には敏感に反応するようで、この時初めて飛ぶ姿を目にしました。

 

警戒したオオトラツグミは枝の上へ。

 

 

暫く周囲の様子を気にしているように見えましたが枝から降りると森の中へ移動し再び採餌を始めました。

 

車の往来とは無縁のため随分とのんびりした様子。

 

 

前日の日記ではトラツグミとの比較まで記載することができなかったので、比較を念頭に撮影できた画像を掲載していきたいと思います。

 

 

先ずは体長について。

 

オオトラツグミというくらいですからトラツグミよりも遥かに大きいイメージを持ちますが手持ちの図鑑を参考にしてみるとその差は僅か5mmとバンディングでもしない限り体長の差は分からないでしょう。

 

 

尾羽の数について。

 

トラツグミの尾羽は14枚なのに対してオオトラツグミの尾羽は12枚と2枚少ないようですが、こちらも伸びのシーンなどで決定的瞬間を抑えない限り確認することができません。

 

その他に上尾筒の羽軸と先端の黒色部が繋がり碇型に見えることがオオトラツグミの特徴とされているようです。

 

矢印で示したのが特徴部分。

 

 

鳴き声については比較するまでもなく、トラツグミは『ヒィ~ヒィ~』と物悲しく聞こえる声を発しますがオオトラツグミは『キョロン』または『ツィーチィ』といった鳴き方で全く異なるようです。

 

夜明け前の30分間はオオトラツグミが一斉に鳴くようですが、幸いにも前日撮影した動画には鳴き声も録音できていたので前回掲載した動画を再掲。

 

 

21日には奄美野鳥の会が行政やボランティアの協力を得てオオトラツグミの生息数を把握する為の一斉調査が行われたそうです。

 

毎年行われる大規模な調査で夜明け前に鳴き声を聞き取るといった調査方法のようですが、今年は98羽の生息が確認されたとの報道がありました。

 

 

奄美大島にのみ生息するオオトラツグミですが奄美大島で見ることのできたトラツグミを全てオオトラツグミと判断するのは危険なようです。

 

冬季には本州以北から南下してきた越冬個体が多く混ざるようなので簡単に識別する方法をご紹介。

 

オオトラツグミの目の後方は一部が裸出しています。

赤丸で囲った部分ですがトラツグミにこの特徴は見られません。

 

 

また嘴の太さに違いがあるようでオオトラツグミの方が太くて大きいようです。

 

この点を踏まえてトラツグミとオオトラツグミの画像を比較してみましょう。

【 トラツグミ 】

【 オオトラツグミ 】


 

この様に比べてみるとオオトラツグミの嘴は太いことが一目瞭然で、特に下嘴の厚みに違いがあることが見て取れます。

 

距離にもよりますが双眼鏡、あるいはスコープを用いることでこちらの点については容易に見ることができるでしょう。

 

顔を見るだけでも識別できるようですが、この他に頭部の大きさ・体色の違い・姿勢についても複合的な検証することで間違いのない答えを導き出せると思います。

 

 

何はともあれ運良く見ることができたことと、じっくりと観察させてくれた個体に感謝。

 

 

この日の観察を振り返ってみると結果としてオーストンオオアカゲラを見ることができないまま日没を迎えてしまいました。

 

秋田を離れる前には想像もしなかった展開に焦りさえ覚えましたが、翌日は早くも最終日。

 

観察場所を変えるべきか悩んでいると辺りからはリュウキュウコノハズクの鳴き声が・・・

 

 

この後は夜行性の生き物たちを観察しましたがその様子は後日更新の日記へ続きます。