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2016年6月12日 30/19℃ 晴れ

 

 

 

 

今日の観察は大潟村とその周辺地域が舞台。

 

以前も(2016.2.27)大潟村の話題に触れましたがその時は冬季期間ということもあり、ハクガンなどの冬鳥を紹介しました。

 

それから約4ヶ月が経過して夏鳥の鳴き声で賑やかな大潟村。

昭和48年には国内希少野生動植物とされているオオセッカの繁殖が初めて確認されたことから、昭和52年に国指定の大潟草原鳥獣保護区が指定されました。

 

 

このオオセッカはかつて幻の鳥とも呼ばれ、世界でも日本と中国の一部に生息するのみ。
日本での生息数は推定で1000羽程度といわれ、秋田県・青森県・茨城県・千葉県で局地的に繁殖しているようです。

 

そんなオオセッカが例年姿を確認できる場所から少し離れたところでも確認できたとの連絡があり、今日は早朝から調査も兼ねて観察に向かいました。

 


現地に到着し探すこと約20分、前情報もあったお蔭で難無く見つけることができました。

 

こちらがそのオオセッカ。

 

 

見た通り非常に地味な鳥です。

 

サイズはスズメより少し小さく葦原や草原に潜んで暮らしているため普段は目につきにくい鳥ですが、今は繁殖期ということもあり「チュルチュルチュルチュル」と♂が囀ずりながら半円を描くように飛翔をするので姿の確認しやすい時期と言えます。

 


こちらが葦原から飛び出し囀ずり飛翔を行うところ。

 

 

飛ぶのが苦手とも思わせるような飛び方で口を目一杯開きながら囀ずり、一生懸命な感じが伝わってきます。

 


葦原に降りたオオセッカは葦に掴まりながらも囀ずります。

 

 

そして見えないところに降りていき葦原をガサゴソと少し移動するとピョーンと飛び出すようにして囀ずり飛翔を繰り返していました。

 


オオセッカを観察しているとコジュリンの姿も。

 

 

オオセッカ程ではありませんが、こちらの鳥も希少種。

 

とは云ってもこちらではよく目にする鳥なので、私にとっては見慣れた鳥ですが改めて考えてみると大潟村周辺から離れると目にする機会が無くなるのでコジュリンも狭い地域だけで繁殖しているのが分かります。

 


さて、オオセッカを観察しているとどうもこの場所には複数個体が生息しているということが判ってきました。

鳴き声があちこちから聞こえてくることから始り、更に観察を続けていると決定的シーン。

 

虫を咥えたオオセッカ。

 

 

自分で食べる訳でもなく辺りを警戒するように見渡してると思ったら・・・

 

 

虫を咥えたまま葦原の中へ降りていきました。

 

 

再び姿を見せた時には嘴に咥えた虫の姿はなく、水平に近い飛び方で直ぐ近くの葦原の中へ。

 

 

ガサゴソしていると思ったら再び同じ場所へ飛んで来て同じように周囲を一度見渡し葦原の中へ降りていきました。

 

 

これは間違いなく給餌の行動。
降りていった場所に巣があると思われます。

 

 

そして給餌してるタイミングで囀ずり飛翔している個体が見られました。

 

 

私が観察していたこの場所には最低4羽がいるようでした。

 

 

忙しなく餌を運搬するオオセッカは蛾を咥えてくることもあり、このサイズの餌を食べるとなると次の日曜日には雛が巣立っているかもしれません。

 

 

今年は例年より暑いせいか繁殖もだいぶ早いのかもしれません。


希少種であるオオセッカの繁殖に関わる行動を観察できたことは記録としても貴重なものと言えると思います。

 

 

大潟村とその周辺地域では年間を通して多種多様な野鳥を観察できますが、年々環境の変化が見られます。

このような希少な鳥が継続して生息・繁殖していけるよう環境の保全が重要だと今日は改めて考えさせられる一日となりました。

 

本日の日記はオチ無しでおしまい。