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2017年 野鳥観察の旅 in 石垣島 ②

 

 

2017年12月16日 【特集】

 

 

 


前回の日記では秋田出発~石垣島到着~ナイトウォッチングの様子を綴りましたが、今回はこの旅でメインとも言えるカンムリワシ観察の様子を綴りたいと思います。

カンムリワシについての説明は手持ちの図鑑を参考にして、またそれと同時に観察時に受けた印象を私なりの言葉でご紹介。

先ずどのような鳥であるか図鑑を開いてみると分布域は沖縄県の石垣島と西表島のみに留鳥として生息すると記載があります。
今回の旅が決まるまで図鑑でしか見ることのない鳥だと思っていたカンムリワシ。


前日は観光がてら島内を巡っているとやや離れた電柱の上に佇むカンムリワシを目にしました。
しかしこの時は逆光だったことと交通量が多い場所だったことから証拠写真すら残すことができず。

翌日のファーストコンタクトはこれまた電柱の上に止まっていたことと付近で工事が行われていた為、またしても撮影することができませんでした。

 


そして3個体目との出会いも電柱の上でしたが、ようやく撮影することができました。

 


ワシというより地元でよく見るノスリに近いイメージ。
丸っこい体型に加え電柱の上で待ち伏せ型の狩りを行うこともノスリと共通するものがあります。

飛び立ちの瞬間を狙いましたがトラクターが接近し邪魔になってしまいそうだったのでこちらの個体は諦め別個体を探すことにしました。


程なくして別個体を発見。

 

 

今度は人工物絡みではありませんが見事に枝被り。

画像からは大きさが伝わらないと思いますが、大きさは55cmとワシにしてはかなり小型です。
因みに先週地元で観察したオオワシは体の大きな♀だと102cmと大型で、ノスリの♀は57cmになるのでイメージとしてはノスリに近いと言ってもよいでしょう。

 

こちらの個体を観察していると不意に飛び立ち少し場所を移動しました。

 

 

約100mほど移動したところで辺りを見渡していました。

餌を探しているのでしょうか。
図鑑にはヘビ、トカゲ、カエル、カニなどを捕食すると記載がありますが、カニを捕食するあたりは石垣島の環境らしいなという印象を受けました。

この待ち伏せ型の狩りは地元でノスリを見ていても非常に効率が悪く獲物が現れるまでひたすら待ち続けます。

そのような生態も影響してかカンムリワシの生息数は非常に少く石垣島に約100羽西表島に約100羽の合計200羽程度と言われ国の特別天然記念物に指定され、環境省のレッドリストでは最も絶滅危惧の恐れがあるⅠA類。


観察を続けるとようやく獲物を見つけたようです。

飛び立ちの瞬間。

 

 

しかし残念ながら狩りは失敗。
離れた杭の上に止まり再び辺りを見渡している様子が見られました

こちらの個体を見て改めて思ったのは警戒心の薄さ。
今回の旅が決まってからは情報収集を重ねネットで様々な画像を見て回りましたが近距離からの撮影したと思われる画像を数多く目にしました。

カンムリワシは人だけではなく車にも警戒心が薄く、前日観察をしたシロハラクイナと同様に交通事故に遇うケースが多いようです。


ちょっとしんみりしたところで別個体のカンムリワシをご紹介。

黄金に光り輝くカンムリワシ。

 

 

これは石垣港のフェリーターミナルにある具志堅用高の像。

現在はテレビでよく見るお人好しの陽気なオジサンですが、石垣島で生まれた具志堅用高は沖縄県出身者初の世界王者となり、試合後に『ワンヤ、カンムリワシニナイン』【私はカンムリワシになりたい】と話したことから「カンムリワシ」の異名がついたそうです。

石垣島に生まれ幼い頃からカンムリワシを見て育ったんでしょうね
何とも羨ましい環境です。


話を鳥のカンムリワシに戻して、今回カンムリワシを観察するにあたってどうしても見たかったのがカンムリワシの幼鳥。
カンムリワシは5月~7月まで繁殖時期にあたるため比較的観察しにくく8月末~4月にかけて観察しやすいようですが、8月末からは幼鳥に出会えるチャンス。


私が幼鳥を見たかった理由、それは単純に美しいから。
生後一年程で成鳥羽に換わってしまうようですが、時期が早いほど幼鳥の特徴を観察することができます。

今回の旅では運良く幼鳥に出会うことができました。

こちらが幼鳥です。

 

 

しかし残念ながら後向き・・・
なんとかこっちを向いてくれないかとしばらく粘りましたが願いは通じず。

私を嘲笑うかのように脱糞。

 

 

脱糞することで辛うじて見えた幼鳥の特徴である白い羽。

諦めかけた頃、カンムリワシの幼鳥は住宅街の方へ飛んでいきました。
これはチャンスと住宅街の方へ回ると、公園の人工物へ止まる幼鳥を発見。

 

 


う、美しい・・・

 

 

しかし私が剥出しの身であるにも関わらず、まるで動じることなく佇む姿はまるでシーサー。

何か神々しさを感じます。

 

 

こちらを撮影している際、耳元で蚊の飛ぶ音が聞こえましたがあまりにも興奮していた為か全然気になりませんでした。

普段であれば発狂ものです。

 


色んな角度から幼鳥を見ていると不意に地面に飛び降り何やらガサゴソ。

 

 

獲物でも見つけたのかと思い注視しましたが幼鳥は何も捕まえていないようです。

どうしたんだろう?と気になり注意深く観察しているとこちらに振り返り水を飲み始めました。

 

 

なかなか厳しい格好での観察でしたが、ここで動画の撮影を試みました。

不安定な態勢での手持ち撮影な為、いつも以上に画面が上下左右に揺れます。
しかし水飲みが終わったところでカンムリワシの名前の由来ともなる、頭部の羽が一瞬冠状に開く瞬間が記録されています。

 

 

飛び去った幼鳥は残念ながら見失ってしまいましたが、今回の旅で一番とも言える目的を果たすことができました。

この後も成鳥を観察することができ前日と合わせて合計で6羽を確認できましたが、実際に自分の目で見て思ったことは石垣島に推定100羽生息すると言われるカンムリワシ、実際の個体数はもっと少ないのではないかということ。

こんな短期間で何が分かると云われたらそれまでですが、カンムリワシを探し島内を巡ってみて、島の広さと島内を移動した距離、それを踏まえて確認できた個体数を考えるとやはり100羽が生息するという調査結果とは程遠い印象を受けました。

調査がいつ行われたものか分かりませんが、個体数が減少傾向にあるのかもしれません。

 


希少な鳥だからということではありませんが、いつまでも島の環境が変わらず生き物たちがのんびりと暮らしていける島であって欲しいと思います。

 

 

さてカンムリワシの観察についてはここまでですが、次回は16日午前に観察した(カンムリワシ以外)鳥たちのお話です。