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2018年8月26日 27/22℃ 雨

 

 

 


今日は多忙につき本日観察の様子は後日更新予定。
そのため今回の日記は先週19日(日曜日)の観察記録です。

先週末は北の高気圧に覆われ、秋を思わせる季節外れの気温となりました。
観察に向かう道中目にしたのは電光掲示板の13℃を示す表示。
涼しいを通り越し肌寒くも感じます。

この日足を運んだのは八幡平。
秋田県の内陸北部に位置する山ですが、過去の日記を読み返してみると暑さから逃れるように涼を求めて観察を行っていました。

しかしこの日は平地でも寒さを感じる陽気で、山に登ると吹き込む風も相俟って体感は一桁の気温。
流石の私も重ね着をして観察の準備を整えます。


山に来たからには山ならではの観察をしようということで、この日のお目当てはホシガラス。

去年は僅か数分の観察に留まり今年はじっくり観察できるのか。
少々不安な面もありましたが、山に登り探鳥を始めるとあちこちで鳴き声を聞くことができました。

 


しかし声は聞えど姿は見えず。
聞こえる声も遠かったりと山に入ってから3時間が経過し半ば諦めにも近い雰囲気が漂ってきましたが、此方に向かって飛んで来る黒っぽい鳥を発見。

ホシガラスが頭上を通過。

 

 

1羽飛んでくると次々に飛んできて、少し離れた山の稜線の陰へ。

戻って来ることを期待しましたがそうは問屋が卸さず振りだしに戻ります。

とは云え個体数の減少が進み地域絶滅も危ぶまれるなか一度に6羽を見ることができたので善しとしようと自分に言い聞かせ、他の鳥を観察するため移動を始めると登山道近くに飛来するホシガラスが目に飛び込んできました。

 

 

登山客からは目と鼻の先の距離。

コンデジでホシガラスの撮影を楽しむ登山客の邪魔にならないよう徐々に間合を詰め、私も至近距離からの撮影を試みます。

その間も沢山の登山客が往来していましたがホシガラスは人間を気にする様子はありません。

たいぶ距離が縮まり撮影をしようと思ったら次々にホシガラスが飛来。
少し前に頭上を通過していったホシガラスかは分かりませんが千載一遇のチャンス到来に血圧は急上昇。

 

 

どうやらハイマツの球果を採りに来たようです。

ハイマツは亜高山~高山に自生する植物。
平地で見られる松の木と違い、豪雪や強風に耐え低い場所に枝が這うように広がることから“這う松”でハイマツ。

恥ずかしながら私は野鳥に興味を持って山に登るまでこのような植物の存在を知りませんでした。
一定の標高まで登るとハイマツが見られるようになりますが、そちらをハイマツ帯と呼ぶようです。


ホシガラスは球果を突っついたり引っ張ったりと間近でその様子を見せてくれました。

 

 

 

何とかもぎ取ることができたようです。

 

 

もぎ取った球果はその場で食べることなく安定した場所に咥えた状態で移動。

ここで本格的に解体に入りました。

 

 

嘴を鐫のように使いキツツキのような挙動を見せます。
この姿こそ英名 Spotted nutcracker (ナッツクラッカー)の由来となっているのでしょう。

 

何度も何度も突っつき球果の中から上手に種子を取り出します。

 

 

 

この時周囲にいたホシガラスを其々撮影し画像を拡大してみると、どの個体も喉元の砂嚢はパンパンに膨れあがっていました。

 

 

一連の行動を繰返しホシガラスたちは登山道を離れると再び稜線の向こう側へ。

サービスタイムはこれで終了かと思いきやまたも同じ場所に飛来しました。

 

 

自分で食べるにしては量が多すぎます。

この行動について帰宅後に調べてみたところ、秋になってハイマツの実が熟す頃に冬期間の餌の少ない時期や次の年の子育てを見越して種子を貯食するのだとか。

一日に何度も繰返し行われる行動のようで、私はタイミング良くこの場面に遭遇したようです。

 

 

カラスが餌を隠す“貯食”については屡々見られる行動ですが、ホシガラスについてはこれから貯食を頻繁に行うので一番観察のしやすい時期に入るのかもしれません。

また、ハイマツの種子は動物散布型でありその主役こそが高山性鳥類のホシガラスです。

 

 

今までじっくりと観察できなかったホシガラスですが、このように行動をしっかりと見ることができたのは大きな収穫。

図鑑やネットの情報を受売りするのではなく、自分の目で見ることにより感じた印象や疑問を元に勉強することの大切さを改めて考えさせられました。

 

 

次の機会には別の視点で観察ができるよう、また機会をみて山に足を運んでみたいと思います。

今日の観察日記はここまで。