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2019年12月22日 5/-1℃ 曇り時々晴れ




今日は大潟村をメインに巡回観察。
冬至ということもあり午前7時を過ぎてもまだ辺りは薄暗く、比較的ゆっくりな出だしとなりました。

始めに観察できたのはアメリカコガモ。

 

 

♂のアメリカコガモはパッと見た目に肩から縦に延びる白線が目立ち識別は容易です。

現在はコガモの亜種として分類されていますが、独立種とする見方もあるようなので今後は別種として扱われる日が来るかもしれません。


アメリカコガモを観察した後は猛禽類が集まる狩り場へ。
こちらには様々な猛禽類が姿を見せますが、今日最初に目にしたのはチョウゲンボウでした。

 

 

杭の上で羽繕いを終えると交互に翼と足を伸ばし、最後に両方の翼をストレッチ。
一連の動作が終わったところで狩りが始まるのかと思いましたが、杭から飛び立つ様子が見られなかったので他の猛禽の観察へ。


次に見られたのはハイイロチュウヒ。

 

 

ヒラヒラと飛んでは急降下を繰り返し狩りを行っていました。

狩り場ではこちらの個体を含めもう1羽♀の個体が見られましたが、今季はまだ♂の確認ができていません。
ここ数年、大潟村の常連だった♂のハイイロチュウヒとケアシノスリが渡来しておらず、冬の猛禽観察は少し物足りなさを感じます。


ハイイロチュウヒを観察していると畦道にはハヤブサの姿が。

 

 

どうやら食後だったようであまり動きたくない様子。
ここぞとばかりにローアングルで撮影したので上手いこと背景を取り込むことができました。


狩り場を離れ村を一周して見ることができたのは遠くを飛ぶオオワシ・オジロワシ・コミミズクなど。

目が合うだけで飛ぶ構えを見せる意外と警戒心の強いノスリですが、のんびりした個体が見られたのでこちらは縦構図で撮影。

 

 

猛禽類の話題はここまでとして、お話は今月8日に遡ります。

 

何か目新しい鳥が渡来していないかと思い大潟村周辺を巡回していた時の出来事、農道にムクドリと思わしき鳥が群れているのを目にしました。

瞬時に感じた違和感。
ムクドリに比べると少し小さく見えたことと、動き方が忙しないように見え全体的に黒っぽい・・・

 

しかし私の位置は逆光だったので、条件良く確認しようとすると群れが飛び立ってしまいました。
その際、咄嗟に撮影した画像がこちら。

 

 

確認してみると全てホシムクドリ。

画像には8羽写っていますが、別個体の2羽が先に飛んだので合わせると10羽の群れだったようです。


ホシムクドリは2000年に秋田県発記録の観察例があって以降、年に1~2例程の観察記録があるようですが10羽の群れが確認されたのは初めてのことかもしれません。

日本には数少ない冬鳥として渡来するホシムクドリ、西日本では観察例が多いようですが秋田県では観察例が少ないことから珍鳥扱い。

 

なかなか見られる光景ではないのでいつもの御仁に連絡を入れ、飛び立った群れを二人で探しているとあっさりと発見の知らせが入りました。
しかし御仁が見つけた群れは5羽、私が見た群れの飛んで行った方向とは反対の場所。

 

 

どうも周囲にホシムクドリの群れが分散しているようでした。


それから2週間が経過した今日、抜けていないことを願ってもう一度ホシムクドリの群れを探してみることに。
先ずは8日に初認した場所へ行ってみると・・・

居ました、居ました。

 

 

今回は順光の位置からの確認だったので遠巻きにもホシムクドリだと分かりましたが、やけに数が多いように思います。

確認して間もなく驚きの事実が。
背の高い草の陰から次々にホシムクドリが現れ、更には畦道にもホシムクドリの群れが見られました。

 

 

通常ホシムクドリと言えばムクドリの群れから1羽探し出すといった形で観察されますが、今回はホシムクドリの群れのなかからムクドリを見つけるといった逆パターン。

数えてみるとホシムクドリの数は31羽。
動き回っていたので重複はあるかもしれませんが、撮影した画像での確認もしたので誤差は1羽あるかないかです。

ホシムクドリがここまでまとまった数で確認されることは極めて稀なケースかもしれません。


警戒心がかなり強く、なかなか近寄れる雰囲気ではなかったことから忍耐強く待っていると徐々に相手側から近付いてきてくれました

 

 

近くで見ると陽射しを浴びて輝く緑色の金属光沢が綺麗です。

珍しい鳥が群れることでどの個体にピントを合わせたらいいのか分からなくなってしまい、帰宅してから画像を確認してみると酷いものばかりでした。

しかしながら今回このような群れを確認できたのは諸手を挙げて喜んでいいものなのか・・・
気候変動の影響により自然界で起きている異常ではないかと思わずにはいられません。


心配な面とは裏腹に群れで見るからこそ知ることができたのはムクドリとは違った採餌方法。

嘴を大きく開いて餌を探す姿が頻繁に見られました。

画像を拡大してみます。

 

 

ムクドリのように啄むといった採餌方法とは違い、ホシムクドリは大きく嘴を開いて土ごと掘るといった印象。

餌を見つけると他の個体が奪うようなシーンが見られたり、場所を争ったりと少々気性の荒さも見られムクドリとはかなり性質が違うようです。

8日に見られた時と同様に、やはりムクドリに比べると歩行速度が速く兎に角忙しなく動き回り群れ全体を上手く撮影するのは困難を極めました。

 

 

群れの一部がかなり接近してきたので1羽1羽に狙いを定めて撮影を行いましたが、個体によってはまだ夏羽の特徴を残した個体もいれば完全に冬羽に移行した個体と様々。

ホシムクドリは冬羽になると名前の由来ともなっている白斑が顕著に現れるようです。

 

 

観察を行っていると突然飛び立ち群れが二つに分散してしまいました。

近くに寄ってきた個体をファインダー越しに見ていたので気付きませんでしたが、群れが飛んだ原因は野良猫。

 

 

腹立たしさとやるせなさが入り交じり複雑な気分。

野良猫は野鳥にとって脅威でしかありません。
毎日1羽の鳥を襲ったと考えても年間で365羽。

世界ベースで野良猫は一体どれくらいの数がいるでしょうか。
これこそ人間がコントロールするべき問題だと思います。


野良猫を警戒して付近の枯れ木に避難したホシムクドリたち。

 

 

せっかく近くで見ることができたのに振り出しに戻されてしまいました。

暫くすると地面に降りてきて採餌を始めたのでそちらの様子は動画で撮影。
遠くからの撮影で下草にピントが引っ張られたり、素早く動くホシムクドリにピント合わせが追い付かずピンぼけの映像ですが雰囲気だけは伝わると思います。

 

 

再び距離の縮まる時間がありじっくりと観察。

そんな喜びも束の間、ふと見ると前方から羽ばたきもせず低空で一直線に飛んで来る猛禽の姿が。
高速で飛んできた猛禽の正体はハイタカでした。
こちらは撮影に至りませんでしたが、狩りは失敗に終わったようです。

一難去ってまた一難と、災難続きのホシムクドリ。

 

 

さて、群れを観察していると気になる個体が1羽。

群れの中に目の特徴が違った個体が混ざっていました。
ホシムクドリの目は暗色ですがこちらの個体の虹彩は白く、カラムクドリの目にそっくりです。

 

 

光量の問題で瞳孔が縮んでいるのであれば普段から少なからず白い虹彩が見られるはずですが、他のホシムクドリには見られません。

また同じ条件下においても他の個体は特に変化は見られなく暗色のままでした。
ホシムクドリは世界に13亜種いるようで、別地域の亜種である可能性も否めません。

こちらの個体については現在調査中です。


長時間ホシムクドリを観察した後は再び村を巡回する形での観察。

午後は雲が厚くなりあっという間に暗くなってしまい、今日の最後はハクガンの群れを観察しました。

やはりアオハクガンは群れの奥だったり端っこでの採餌。
アオハクガンを中心に群れを観察していると周囲を旋回するように飛び始めたのでその様子は動画で撮影。

 

 

私にとって年内の観察はこれで最後となります。

例年は大晦日に一年を振り返る総集編を更新していますが、27日から年跨ぎで旅行に出るので今年の総集編は26日に更新の予定です。

尚、年明けの帰省後もガイドの予定があったりと慌ただしい日々が続くので暫くの間、観察日記の更新はありません。

旅行やガイドの様子は時間の合間をみて徐々に更新していく予定です。
本日の日記はここまで。