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2019年1月20日 4/-1℃ 曇りのち雪




今日の観察はいつもの海沿いや農耕地から場所を変え、久しぶりに山へ足を運んでみました。

雪深くなった山で鳥たちはどのように過ごしているのか。
観察地へ辿り着き車を降りると“静寂”と云えるほど何も聞こえず・・・

 


「 外したかな 」

自然相手なので空振りは付き物ですが、せっかくここまで来てという思いもあり辺りを徘徊。


何も聞こえない時間が続き、新雪に残る野生動物の足跡を観察していると小鳥たちが樹上で何かを啄んだ食痕が見られました。

私の来るタイミングが悪かっただけのようで、少し前までは小鳥たちが滞在したことを示唆しています。
タイミングだけの問題であれば待つことで何かを観察できるかもしれません。

 

そんなことを思った矢先『 ジャー ジャー 』とカケスの声が。

声のする方へ行ってみると木の幹にしがみつくカケスの姿が見られました。

 

 

どうやら隠していた木の実を取りにきたようです。
雪深くなる前にせっせと貯えていたものでしょう。

カケスの鳴き声に加えヒヨドリやウソ、オオアカゲラの声も聞かれると賑やかな様子に誘われたのかミソサザイが姿を見せてくれました。

 

 

しかし繁殖期に比べると撮影が難しい。

ソングポストと呼ばれる場所に止り囀ずる姿は容易に撮影することができますが、今日は薄暗い沢を行ったり来たり。

水の流れるところで餌を採っているようですが周囲は雪が深く、そのような場所にいるシーンを撮影するとミソサザイは真っ黒になってしまいます。

 

そのため露出が難しく狙うのは枝に止まった瞬間のみ。

 

 

ここのところガン・カモ・猛禽類の観察が続いていたので国内最小クラスの小鳥を久しぶりに目にするとやけに小さく感じました。

11cmの小鳥が忙しなく動き回るので撮影も思うようにいかず構図を考えている間に別の枝に移動していることも屡々。

 

 

ミソサザイにいいように弄ばれていると山の斜面で何かが動いていることに気付きました。

 


「 テンだ!」

嬉しい出会いに少々興奮気味。

テンはゆっくりとした足取りで斜面を降りてきて一度立ち止まり此方をジッと見ていました。

この時立ち木の陰となり撮影は難しい状態だったので無理に撮影することなく直立不動でテンを警戒させないように・・・

再び動きだすとテンが沢に入ったことでこちらの動きが見えなくなったので慎重に距離を詰め接近を試みます。

 

 

少しすると沢から出てきたテンが前方に姿を見せました。

 

 

冬毛のテンを撮影することができたのは初めて。
私にとっては本当に嬉しい瞬間。

テンは地面を嗅ぐようにしてこちらに向かって歩いてくると不意に立ち止まり周囲を見渡しました。

 

 

私の存在には気付いていると思いますが逃げる素振りは見られません。

テンにとって警戒すべき範囲に入っていないのか、理由は分かりませんが不用意な動きを見せないよう観察を続けました。

 

 

私がまだカメラを持つ前、秋田空港周辺では夜にテンの姿をよく見かけていましたが現在は個体数がかなり減ったようです。

ウサギも同じように個体数が減っているように思いますが、その反面キツネに遭遇する機会が増えました。

生息環境の変化が大きな要因となっていると思われます。

 

 

辺りをウロウロしながら頻りに地面の匂いを嗅いでいるように見受けられました。

雑食性のテンが雪深い山でどのように暮らしているのか興味が沸きましたが、この時は特にこれといった行動は見られず。
周囲を見渡しても餌になりそうなものもありません。

 


不意に俊敏な動きを見せたのですかさず連写。

 

 

除雪のされていない方へ走ると此方に向かって移動したように見えました。

しかし雪の壁の陰になってしまったことからどのような動きをしているのか分からず、私からも少し距離を詰めてみることに。

 


それと同時にひょっこりと顔を見せたテン。

 

 

昔話や言伝えではキツネやタヌキを陵駕するほど化ける力を持つと言われ妖怪にも例えられていたようですが、こうして見てみると可愛いの一言。

警戒すべき距離に入ってしまったのかこのあと一目散に走り森の中へ消えていきました。


およそ10分程の観察時間でしたが自然を見つめる者にとっては貴重で至福の時間だったと言えます。

またいつかこのような出会いに恵まれることを願って今日の観察日記はここまで。