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2019年3月11日 14/9℃ 晴れ

 


東日本大震災が発生して8年、月日が経つのは早いものであの日起きた出来事は何処か風化しつつあるようにも思えます。

 

津波による福島第一原発の事故が追い風となり再生可能エネルギーへのシフトが加速しました。
その矢面に立たされているのが秋田県。
県内は風車やソーラーパネルの設置が相次ぎ増加の一途を辿っています。

充分な環境調査も行われないまま建設が進められ、現在のところ秋田県を縦断する形で洋上風力の計画が持ち上がっています。


地元紙でその計画が報道された直後、地元放送局であるABS秋田放送のアナウンサーから一本の電話が入りました。

その内容は・・・

 


『 風車にぶつかる鳥についてお話を聞かせてもらえませんか?』

といった取材の申し込みでした。

詳しく聞いてみると、クリーンで環境に優しいと言われている風力発電を多角的に見てみたいとのことで、風車が鳥たちにとってどのようなものであるのか鳥の目線でドキュメンタリー番組を制作したいそうです。


正直なところ少々悩みました。
私が毎週のように綴っている日記はいくらでも添削は可能ですが、それを言葉にして自分の思いを上手く伝えることができるのかと。

しかしメディアが鳥の目線で番組を制作する機会は少なく、再生可能エネルギーについては良い部分だけ報道されているのが実状です

日々感じていることを伝える良い機会であることから、チャンスを活かす意味でも取材を受けることにし、昨日の午前9時から観察に同行という形でフィールドを回ることになりました。

 


先ず始めに向かったのは私がチェックポイントとしている風力発電施設。

 

 

画像は今回の番組制作を企画したUアナに風車を間近で見てもらい、その感想を収録している様子です。

ここでKディレクターやUアナから様々な質問を頂きましたが、やはり思ったことを上手く伝えることができず・・・

雑談の中では普通に話せるのですが、マイクを向けられると質問された内容が頭からすっぽ抜け話が途中で止まってしまうこともありました。


収録を進めるなかで、この場所で実際に命を落とした鳥の写真を見て頂くことに。

 

 

活字で知ることとは違い非常にショックを受けた様子でした。

単に衝突して死ぬのではなく、ブレードに翼が切断された画像もショッキングだったと思いますがこれが現実です。

 

 

風車の前での取材を終えた後はKディレクターから『気持ちを切り替えて心穏やかに可愛い野鳥たちを観察しましょうか』とお話があり一路大潟村へ。

 


すっかりガン・カモの姿は見られなくなりましたが、オオワシやオジロワシを見ることができ田んぼではケリやタゲリの姿が見ることもできました。

ちょうど季節の境目ということで冬鳥・夏鳥・旅鳥が混在しています。

 


移動中にも野鳥について様々な質問が飛んできましたが、ガイドをする際はある程度知識を持った人にお話をすることがほとんどで、バードウォッチング初心者の方に分かりやすく説明をすることは非常に難しいものがありました。

この日記でも分かりやすさをモットーにしているつもりだったのですが、今回取材を受けてまだまだ初心者目線に立てていなかったことを実感。

 

マイクを向けられたことも相俟ってどんな説明をしたのかほとんど覚えていません。

 

時刻が13時を過ぎたところで取材は終了。

 

 

私がしどろもどろになっている様子は今月の30日(土曜日)午前10時からABSラジオ『佐藤有希のあさラテ』の番組内で放送されます。


取材を終え挨拶をした後は帰りがけに一人でぶらりと野鳥観察。

取材中にも目にしましたが、そこかしこでタゲリを見ることができました。

 

 

体長が32cmということと『 ミャー 』『 ミュー 』といったネコのような鳴き声で発見は非常に容易です。

田んぼで餌を採ることの多いタゲリですが、この時は農道で餌を採ってる個体がほとんどで車を進めると遠ざかって行く一方。

 


ここで追いかけることはせず、大きく迂回をしてタゲリの進行方向に先回り。
ある程度距離が離れたところで待っていると警戒することなくどんどん近寄ってきました。

 

 

心の中でニヤリと笑う瞬間。

作戦の一つではありますが意図的に距離を詰めた時と違って相手側から近寄ってきてくれることは嬉しいものです。

ただ突っ立っているように見えるものの、足元に着目すると小刻みに足を動かし地中にいる生き物を誘きだしていました。

 

 

玉虫色の羽に長い冠羽、大きな目に可愛らしい鳴き声と魅力がいっぱいのタゲリですが、採餌のシーンもなかなかの見ものです。

 


誘きだしたミミズをピンセットのような嘴で摘み上げて引っ張り出す様子。

ピーンと伸びて千切れそう。

 

 

千切れるのか、はたまたコントのゴムパッチンのように顔面を直撃するのかと瞬きもせず見ていましたが、ミミズはするりと抜けてきました。

 

 

抜けたミミズはもったいぶることもなく一瞬の間に飲み込んでしまいます。

 

タゲリの食欲は旺盛で移動を繰り返しながら次々とミミズを食べ、そんな姿に撮影枚数はいつも以上に膨らんでしまいました。

 


然程長い時間ではありませんでしたが活発に動くタゲリを思う存分観察することができ今日の観察はここまで。

季節の境目ということもあり、どんな鳥との出会いがあるか分からないシーズンに入ります。
良い出会いに恵まれるよう、そしてチャンスを逃さないよう目を凝らしてフィールドを回ってみたいと思います。

本日の観察日記はこれにておしまい。