メールはこちらから

 

 

X (旧Twitter)はこちらから

 

 

2019年 野鳥観察の旅 in 北海道 ②

 

2019年4月28日

 

 

 

 

前回の続き。

秋田港~苫小牧東港まで航路での海鳥観察を楽しみに北海道へ上陸。
初日は千歳に宿を取り、二日目は快晴の朝を迎えました。

この日は帯広に宿を取っており位置関係としてはこのような感じになります。

 

 

赤ピンの立っている場所が帯広市ですが、今回の旅では道中に観察しながら風景やグルメも楽しみたかったので移動ルートは高速道路を使用しない設定としました。

先ずは野鳥観察ということで整備が施された雑木林へ。

此方へ足を運んでみて驚いたのが鳥との距離。
鳥の方から近寄ってくるといった具合で地元では考えられない状況に違和感を覚えました。

 

 

立ち止まって様子を伺うと同じ場所を小鳥たちが行ったり来たりしています。
不思議に思いよく見てみるとヒマワリの種があちこちに落ちていました。

どうやらこの種を食べる為に小鳥たちが集まって来ているようです

 

 

種を食べる為に集まっているのは主にカラ類の小鳥たち。

此方はハシブトガラ。

 

 

本州では見られません。

これによく似たコガラを本州で見ることができますが、北海道にもコガラが生息しているのでハシブトガラとコガラが誤認されるケースも多いようです。

此方のゴジュウカラは亜種のシロハラゴジュウカラ。

 

 

この鳥も北海道ならでは。
観察を始めて早々に北海道を満喫。

この場所は近隣にお住まいの方の散歩コースになっているようでしたが、行き交う人を見てみると何か手に持っているようでした。

何をしているのか気になり様子を伺っていると手のひらに小鳥が止まる姿を目撃。
どうやら手に持っていたのはヒマワリの種のようで、餌を求め小鳥たちが集まっていました。

「なるほど、納得。鳥が寄って来る訳だ」


野鳥に対する餌付けは様々な意見があるものの少なくともこの場所では撮影目的ではなく、近隣の方と鳥たちとのふれあいといった印象です。

試しに何も持ってない手をかざしてみると一度だけハシブトガラが手に止まりました。
ヒマワリの種を持っていなかったため『冷やかしかよ』と言われてるように一瞬で飛んでしまいましたが・・・


この場所では小鳥たちだけではなくエゾリスも多く見られ、ヒマワリの種を求めるように人間に近寄ってきました。

 

 

望遠レンズでは撮影不可の距離に近寄ってくる為、何度も何度も後退しながら撮影してみましたがほとんどピンボケ。

餌を求めて集まるカラ類も同じで距離が近過ぎます。

 

 

一方で地元ではなかなか見ることのないキバシリも容易に観察することができました。

こちらは幹に潜む虫を食べるためヒマワリの種を食べにやって来ることはありませんが、他の小鳥が人間を警戒しないせいかキバシリも距離を取ろうとすることがありません。

 

 

とは言ってもキバシリは擬態効果が凄いので、ちょっと体の角度が変わるだけで何処にいるのか分からなくなってしまいます。

 

私もこれくらい木に同化できたらいいのに・・・

 

 

何を見ても楽しい時間が続きましたが更に嬉しい出会いが待っていました。

今回の観察旅行で大きな目的の一つ。

それは念願だったクマゲラとの出会い

 

 

何の情報も得ないなかで自力発見できた喜びは大きくかなりの興奮状態にあったと思います。

この場所で暮らす個体の特徴なのかクマゲラそのものの特徴なのか分かりませんが、然程人間を気にする様子は見られません。

そのため幹に止まりながら羽繕いをするリラックスした姿も見ることができました。

 

 

地元では数年前に森吉山で鳴き声は確認できたものの姿を見ることはできず。
現在は地域絶滅寸前の状態。

もう一つの生息地とされている白神山地では生息が確認できなくなっているようです。
つまり本州での観察は極めて難しい状況と言えるでしょう。

固有種以外は地元で観察したいと考える私にとって本来クマゲラは地元で観察したかったのですが、現在の状況を考えると今回の旅で観察するのがベストでした。

 

 

何年も恋こがれたような鳥であっただけに、妄想が肥大したのか第一印象は「思ったよりも小さいな」と・・・

カラスが幹に止まっている姿を想像していたせいもあるかもしれません。

 

 

参考までにハシブトガラスは57cmに対してクマゲラは46cmと一回り小さいサイズ。

蘊蓄は程々にして観察の様子に戻ります。
比較的ゆっくりとした羽ばたきで移動をするクマゲラでしたが、木によっては爪の引っ掛かりが弱くずっこける場面も見られました。

 

 

慌てて羽ばたいてる姿が面白い。

幹に止まりスルスルと移動を繰り返していましたが、他のキツツキと比べると滑るように移動をします。
まるでムーンウォークを見ているような感覚。

頻繁に移動を繰り返すので何をしているのか気になり画像を拡大してみたところ長い舌を見ることができました。

 

 

クマゲラはアリを好んで食べるほか、樹皮の下に生息する昆虫の幼虫を食べるそうです。

長い舌の先端部は直角に近いような角度で折り曲げることもできるようで、この舌を活かし餌を採っているようでした。

 

 

観察を続けると一時姿を見失ってしまいましたが飛んだようにも見えません。
周囲を探して回りましたが姿は見えないものの木を突っつく音は聞こえてきます。

不思議に思いながら辺りを見上げていると・・・

 

 


「うおっ!!!」

 

 

なんとクマゲラは巣造りの最中でした。

足元を見てみると木片がびっしり。
黄色く見えているもの全てがクマゲラが削った木片です。

 

 

営巣木から離れ観察をしてみると巣造りは佳境に入っているようで細かく内装の仕上げをしているといった様子。
仕上がり具合をマジマジと確認しているような仕草が印象的でした

『キョーン キョーン』という大きな鳴き声と共に雌のクマゲラがやってきて巣のチェック。
拘りのマイホームは奥さんの注文が多いのかもしれません。

 

 

初めてのクマゲラ観察は想像以上に良い結果となり、間もなくここで繁殖するであろうクマゲラに感謝をして雑木林を後にしました。

夢中で観察していたせいか空腹も気になりませんでしたが、移動を開始すると途端に空腹感に襲われ道の駅に寄り道。

 

北海道らしいアイスクリーム。

 

 

この道の駅に寄るまでコンビニどころか自販機すら見ることがありませんでした。

 

地元で例えると果てしなく続く大潟村。

ナビに表示されるのは【直進54km先を右折】といった一般道では見たこともない案内。

 

それでも見るもの全てが新鮮で道路沿いには大きなヒグマの像があったりとなかなか目的地に辿り着きません。

 

 

予定より大幅に遅れてこの日の宿営地である帯広市に到着。

 

翌日に目指すのは知床半島。

そちらの様子は後日更新の日記に続きます・・・