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2019年 野鳥観察の旅 in 北海道 ③

 

 

2019年4月29日

 

 

 

 

前回の続き。

前日はクマゲラの観察を経て帯広市に宿泊。
この日目指すのは知床半島の羅臼町です。

 

 

当初の計画では千歳から一気に羅臼まで移動する予定でしたが、ナビで確認したところ所要時間は7時間35分。

無理な計画ではありませんでしたが道中どんな出会いが待っているか分かりませんし、夜中の移動は極力控えようと思い帯広を中継地点としました。

結果的にこれが正解。

牧場沿いの道路を移動していると家族群と思われるタンチョウを発見。

 

 

私の車と絡めてスマホで記念撮影。

4羽いるうち2羽は成鳥でもう2羽は幼鳥でした。

以前地元で観察できたタンチョウは全て成鳥で幼鳥の観察は初めてとなります。
また地元では最大でも2羽でいる場面しか見たことがなかったので4羽という数も私にとっては初めての経験でした。


北海道に上陸してからエゾシカ注意の看板は頻繁に見かけましたが、突然飛び出してきて車と事故に遭うケースが多いそうです。
せっかくの旅が台無しにならないよう安全運転を心掛けかなり注意して走りましたが、羅臼まで移動する間エゾシカを見ることはありませんでした。


タンチョウを観察し暫く移動して目に入ったのがキタキツネ。

 

 

こちらの個体は北海道でよく聞く道路に出て餌を貰おうとするキタキツネではありませんでした。

しかし人間に対する警戒心は地元で見るホンドギツネと全く異なって愛嬌たっぷり。

 

 

ある一定の距離は保とうとしますが、キタキツネから歩み寄って来ることもあり警戒心は強くありません。

しゃがんでいる姿勢から立ち上がるような大きな挙動をすると一瞬ビクッとして警戒することがありましたが、逃げるようなことはありませんでした。

 

 

地面を掘ってミミズのようなものを補食した後は林の中へ消えていきましたが、このキタキツネとの出会いは一つの記事にしたいと思うほど強く印象に残っています。


道中寄り道しながらも漸く目的地の羅臼町に無事辿り着き、見えてきたのは近くて遠い国の国後島。

 

 

海に浮かぶ白い点々はハクチョウです。

知床半島に入り国後島を見た感想は「本当に近くにあるんだな」といったものでした。
地元で例えると秋田市から男鹿半島を見ているようです。


国後島を眺めながら目指したのは道東で野鳥観察するにあたって多くのバーダーが足を運ぶ『鷲の宿』。

何ともワクワクするような屋号ですが、此方の宿では今回の旅でお目当ての一つとしている鳥を観察することができます。

人気宿ということもありハイシーズンには予約を取ることが難しく、直近での予約は断られることも当たり前だとか。
そのため私は去年の10月に宿の予約を済ませていました。

宿の外観はこの様な感じ。

 

 

宿の隣には食堂兼ねたプレハブの観察小屋が併設されています。

中はこの様になっていてハイシーズンはカメラマンでいっぱいになるんだとか。

 

 

此方の宿に常駐している“先生”と呼ばれていたS氏によると『最近は19時・24時・3時の3回姿を見せます』とのこと。

1回目の出現前に食事を済ませなくてはならないので、早めの晩御飯。

 

 

大変美味しいお料理でした。

宿泊者は宿の部屋から観察可能ということで、自室に戻り窓を全開にしてお目当ての鳥が出るのを待ちます。

19時20分、宿の真上から突然お目当ての鳥が降りてきました。

こちらが今回の旅でお目当てとしていたシマフクロウ。

 

 

全然こっちを向いてくれないのだが・・・

此方で観察されたシマフクロウの記事を事前に沢山読み漁っていたせいかクマゲラ程のインパクトはありませんでした。
やはりお金を払って見るといったことが動物園にいる生き物を“撮影”しているのと同じ感覚です。


暫く後ろ姿が続きましたが、ようやく横向きに。

 

 

宿の部屋からは近くて良いのですが、撮影するといった意味ではシマフクロウとの角度的問題から観察小屋の方が良いかもしれません

宿の目の前には一年を通して凍らない小川が流れており、宿から見える位置に生け簀が造られています。
其方の生け簀に放された魚を狙ってシマフクロウが毎晩姿を現すようですが、どの角度で見られるかは運次第といったところでしょうか。

魚を狙ってお立ち台から飛び込みましたがまたも横向き。

 

 

そして横向きのまま魚を補食。

この宿で撮影した画像はネットに星の数ほど存在しますが、どの画像を見ても全部同じと思っていましたが私の画像が一番酷い。

 

 

ここまで下手で運にも見放された画像はある意味でレアかもしれません。

漸く顔が見えたと思えば斜に構えて魚に睨みを効かせているようなシーン。

 

 

さてシマフクロウについて。

アイヌ語で“コタン・コロ・カムイ”と呼ばれるシマフクロウ。
どの様な意味があるのか調べてみると“集落の守り神”であるそうです。

道中立ち寄ったアイヌ・コタンでも神のように祀られていました。

 

 

シマフクロウの体長は70cmでフクロウ類のなかでは世界最大級

以前は生息数140羽前後とみられていましたが、環境省の調べで2018年時点において生息数は165羽と僅かながら個体数が回復傾向にあり、そのほとんどが北海道の道東に生息しているようです。

そんな希少な鳥が容易に見られるとあって、どんな行動を見せてくれるのか期待していましたが・・・

 


「え?飛びそう」

 

 

やっぱり飛んだ。

 

ひたすら連写しましたが距離が近いことが仇となりフレーム内に収められたのはたった1枚でした。

 

 

あっという間に暗闇の中に消えていったシマフクロウ。

 

 

姿を現してから生け簀に滞在していた時間はちょうど2分。
幾ら餌付けされているとは言え野に暮らす生き物なので仕方ありません。

時には一時間以上滞在する時もあるようですが、シーズンによって出現回数が異なりシマフクロウの気分次第で見られる回数は変動するようです。

次に姿を見せるのは24時頃。
そんなこともあってか他の宿泊客や見学者の方が宿をウロウロ。

確かに統計上や直近の行動からある程度の行動パターンは読めるのかもしれませんが、相手は野生の生き物です。

 

「これって観察のチャンスを無駄にしていないのか?」と疑問に思いつつ次の出現を待ちましたが一向に姿を見せません。

24時頃に現れるとされていましたが、姿を現すことなく午前1時を過ぎてしまいました。
その間も見学者は宿の前をウロウロしています。
これが影響して姿を見せないのかは私には分かりません。

姿を見せてくれたのはキツネやエゾシカの群れのみ。

 

 

午前2時を過ぎた頃に瞼が重くなり2時半頃までは記憶があったのですが、まさかの寝落ち。

 


ふと気がつくと午前4時頃で辺りは薄明るくなり始めていました。

観察小屋に行ってみると何と3時頃に出現していたという話・・・
しかし滞在時間は約1分だったとのこと。

1分と言えど貴重な時間を見逃した自分を激しく責めました。
後悔の念にかられながら朝食の時間を迎えます。


翌日は知床峠~野付半島~釧路市へ移動という計画を立てていましたが大幅に日程の変更。
その様子は後日更新の日記に続きます・・・