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2019年7月7日 30/17℃ 晴れ




梅雨明けしたような天気が続く秋田県、仕事も忙しく暑さに弱い私は少々バテ気味。

暑さの影響により観察も厳しい季節に入りダラダラとフィールドを回ることがないよう、今回は観察の候補を4つに絞りました。
優先順位の高い順にフィールドを回り、そのうち好条件で観察できそうな種を集中的に観察する作戦です。

意気揚々と家を出てみたものの・・・

 


ことごとく空振り。
流石にどれか1つはしっかり観察できるだろうと思っていただけに、想定外の展開に動揺を隠せません。

蒸し暑い農耕地に佇み途方に暮れる自分。
空振りでは帰りたくないという気持ちと暑さから逃れたい気持ちから、ダメ元でアカショウビンの棲む山奥に行ってみることに。

平地に比べたら少しは涼しいはず。
そんな気持ちで山奥に行ってみたものの、陽射しが強く降り注ぎ農耕地と大差ありませんでした。

木陰に車を移動し窓を全開にしてみると涼しい風が吹き込み体感としてはかなり楽なものになったでしょうか。

前回この場所に訪れた時と同様に鳴き声が聞こえるまで昼寝をしようと思い、座席を倒し準備を整えていると赤い物体が風に揺らされているような・・・

 


少し車を移動して確認してみると既にアカショウビンが出ていました。

 

 

風に煽られ大きく揺れ動く枝に止まり獲物を探しているようです。

体を伸ばしたり縮めたりと上手いことバランスを取っている姿が面白く動画でも撮影してみました。

 

 

暫くの間この枝に止まっていたものの流石に獲物を捕らえるには不向きと判断したのか別の枝に移動。

こちらは風の影響を受けずゆっくりとした様子。

 

 

アカショウビンの動きが忙しなくなったと思った瞬間、水辺ではなく草地へ向かって飛び立ちました。

素早く地面から離れ枝に戻ると激しく首を振っています。
獲物を枝に叩きつけて弱らせているのでしょう。

何を捕らえたのか興味があったので画像を拡大。
どうやら獲物はアゲハチョウの幼虫のようです。

 

 

激しく叩きつけられた幼虫は丸みがなくなり板状になっていました

程なくしてアカショウビンの胃袋の中へ。
この程度では腹が満たされなかったようで、次に捕食したのはヤゴ

こちらも画像を拡大。

 

 

悪食と思えるほど本当に何でも食べてしまいます。

食べ終わったところで少しばかり休憩に入り、不意に飛び立ったところで森の中へ。

この後約30分ほど姿の見えない時間がありましたが、鳴くこともなくいつの間にか姿を現しました。

 

 

いつもであれば長い時間目の届かない場所に行ってしまうのですが、この日は観察を終える夕方まで出っぱなし。

この時期は孵化した雛へ餌を運ぶため大忙しの時期ですが、そういった様子は見られません。
捕らえた獲物は全てその場で食べてしまいます。

ここに棲む個体が繁殖できていないのか、それともまだ抱卵中なのか・・・

私の心配を他所に出の良いアカショウビンはあちこち場所を移動しながら獲物を探していました。

 

 

しかし強い陽射しのお陰で撮影という部分では一苦労。

アカショウビンが部分的に日陰になったり、葉っぱがギラギラと光って見えたりと撮影した画像をモニターで確認してみると不自然な画像がほとんどでした。

撮影したところで良い写真は撮れないということで暫し肉眼で観察していると、アカショウビンは水辺にダイブ。

しかしこの時は溺れているような雰囲気で獲物を捕らえた時とは異なって見えました。
水にに浸かっていた時間は5秒くらいだったでしょうか。

慌ててカメラを構えピントを合わせた時には既に遅し。

 

 

枝に戻ったアカショウビンは丁寧に羽繕いを始めました。

どうやら水浴びだったようです。

 

 

餌を獲るためにダイブした後も簡単に羽繕いをしますが、この時はかなり時間をかけて羽繕いをしていました。

鳥の尾羽の付け根(腰の少し下)には油を分泌する尾脂腺という器官がありここから油が分泌されます。
これを嘴で撫でるようにしたあと、羽繕いをすることで羽の撥水性が良くなり、アカショウビンは長い嘴を使って丁寧に羽のお手入れをしていました。

 

 

羽繕いを終えると暫く陽射し強い場所でのんびり。

羽を乾かしていたのか日光浴なのか。
これに関しては分かりませんが、暫くするとこちら側へ飛んで来てくれました。

 

 

これがアカショウビンを観察していて楽しい瞬間。

警戒心が無いのかと思うほど近くに来てくれることがあり、観察する者を非常にドキドキさせてくれます。

 

程なくして少し離れた場所に移動しまた獲物を狙っているようでした。

 

 

この日の観察を終えたのは16時過ぎ。
お昼前から観察を始め、約30分ほど姿の見られない時間はありましたが、トータルで観察できた時間は4時間を超えました。

これは私がアカショウビンを観察していて一番長く、自分としても驚くような結果です。

 

 

このアカショウビンが育雛の為に餌を運び始めるのか、それとも繁殖せずに夏を越して南に渡るのか。

今後の動向が気になるのでまた機会をみて観察してみたいと思います。

 


アカショウビンの観察記はここまでになりますが、おまけ的なお話を少し。

朝から空振り続きで農耕地を移動していると、枝葉の陰に何やら赤い色が・・・
色合いからして瞬時にアカガシラサギを思い浮べました。

撮影を試みたものの警戒心がかなり強いようで飛び立ってしまいましたが、飛翔する姿を見たことで誤認ではないことを確信。

 


先ずは証拠写真と考え、降りたところを確認しかなり離れた場所から撮影しました。

 

 

初めて見る夏羽のアカガシラサギに少々興奮気味。

以前見つけた個体は冬羽に移行していたので、いつか夏羽を見たいと思っていただけに嬉しい出会いとなりましたが警戒心の強さにはお手上げ状態。
どの様に観察しようか悩んでいると、警戒されたのかタイミングが悪かったのか飛び立ってしまいました。

田んぼに降りたアカガシラサギは稲穂に隠れてしまい姿が見えず、何をしてるのか伺い知ることができません。

暫く待っていると突然飛び立ちました。
その際に慌てて撮影した画像がこちら。

 

 

再び田んぼに降りたアカガシラサギ。
その後は幾ら待っても姿を見ることはできませんでした。

歩いて移動してしまったのかは不明ですが、おそらくこの周辺に暫く留まると思うので日を改めて捜索してみたいと思います。

振り返ってみると赤い鳥に縁のあった一日。
想定していた観察とは全く違うものになりましたが、結果を見ると良い方向に転がった一日となりました。

 


本日の観察日記はここまで。

 

 

※次の週末は秋田を離れ固有種観察の旅に出る予定です。
そのため日記の更新は写真の整理が終わり次第となります。