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2020年 野鳥観察の旅 in 北海道 (道東) ②

 

 

2020年12月11日 (午前)

 

 

 


前回の続き。

『試される大地』道東での観察旅行は初日に中標津空港へ到着後、世界自然遺産に囲まれる羅臼町を目指しました。

日没まで時間がほとんど無いなかで充実した時間になるようにと、海沿いで探鳥しながら鷲の宿へ。

シマフクロウは短いスパンで3回出現してくれたこともあり幸先の良いスタートを切ることが出来ました。

 

 

日程の2日目は野付半島での観察を予定していたことから鷲の宿を19時過ぎに離れ宿泊先の中標津町へ。

 


日程2日目の日の出時刻は6時45分。

海から登る太陽は秋田に住む私にとってなかなか見る機会がありません。
そこで日の出に合わせて広大な自然を絵面良く写真を撮ろうと午前5時に起床。

宿を出ると気温は-8℃と冷え込んでいましたが、風が穏やかだった為か日本海側の寒さと体感としては然程変わらないように思いました。

中標津町の中心部から野付半島ネイチャーセンターまではおよそ30分。

 

 

夜間や早朝は冷え込むことで路面が凍結している場所も多く、早めに宿を出発。

ネイチャーセンターは野付半島の奥まった場所に位置しているため、野津半島に入る迄はあっと言う間。

以前の旅行でも野津半島に足を運んでいましたが、その際は残念ながら嵐のような天候だったことに加え、夜通しでシマフクロウの出待ちをしていたことから眠気も手伝ってこれといった観察が出来ずにいました。

しかし初めて足を運んだ野津半島の地形に驚き、非常に面白い環境だと辺りを眺めていた記憶があります。

野津半島の地形をナビ画像で掲載。

 

 

道路一本隔てて両側が海に面しており、外海と内湾を同じ場所から眺めることができる環境で、更には葦原もあり更地もあり多種多様な野鳥を観察できる環境です。

全国を見てもこの様な地形をした半島は類を見ないかもしれません

半島を進むと電柱という電柱にオオワシが止まっており、警戒する素振りも見られなかったことからスマホで撮影してみることに。

 

 

一番多い時で6本の電柱に連続してオオワシが止まっており、秋田では見たことのない電柱止まりのオジロワシも確認。

オオワシやオジロワシはそこかしこに居るので好きなだけ観察することができます。

 

 

但し、餌付けされている場所とは違い多少警戒心の強い個体も見られました。

道を進むと道路に出ているキタキツネを発見し、カメラを構えると止まっては接近を繰り返しこちら側にどんどん近寄って来ます。

 

 

あまりにも距離が近過ぎて私が後退を繰り返しながら撮影したため思ったような構図で撮影することができず・・・

キタキツネは私の目の前にやって来るとお座りの姿勢でこちらを見つめていましたが、この行動を見る限りおそらく観光客に餌を貰ったことがあるのでしょう。

 

 

暫く私の周りをウロウロしていましたが『コイツは餌をくれない奴だ』と察知したのかキタキツネはそそくさと立ち去っていきました。

 

 

周囲にはエゾシカも多く生き物たちに夢中になってしまいましたが、肝心要の広大な自然の中にいる生き物の撮影は運悪く太陽の位置に雲が広がってしまい、これといった写真が撮れないまま日の出タイムは終了。

 

 

野津半島ネイチャーセンターは午前9時オープン。
それまではセンター付近で節操なく生き物たちの観察してみることに。

この場面が日の出で赤く焼けてたらと思いつつ様々な場所でエゾシカを撮影。

 

 

葦原ではハイイロチュウヒがヒラヒラと飛びながら狩りをしていました。

こちらは雄の個体です。

 

 

そしてこちらは雌の個体。

 

 

敢えて逆光でエゾシカを撮影してみたり。

 

 

ほとんどの時間をエゾシカの観察に費やしていましたが、再び太陽が雲の隙間から顔を覗かせた頃に小鳥の群れに遭遇しました。

ちょうどこの時は半島入口付近をウロウロしていましたが、民家の敷地内にタンチョウが居た為そちらを眺めていると小鳥の群れが右往左往。

逆光+距離が離れていたことで始めは何者か分かりませんでしたが、植物に止まったタイミングを狙い撮影した画像を拡大してみるとベニヒワであることが判明。

 

 

約200羽の群れは移動の途中だったようで落ち着きがなく残念ながらしっかりと観察することは出来ませんでした。

陽が高くなってきたところで再び電柱止まりのオオワシを今度は一眼レフで撮影。

 

 

間近で撮影を行っても我関せずといった様子で、こちらでは当たり前の光景のようです。

9時になったところでネイチャーセンターへ。

 

 

ネットで事前に調べてみたところ冬の野付半島はユキホオジロの観察が有名になっていることを知りました。

ユキホオジロは半島の先端部に居ることが多いようで、そちらに行くには通行許可証が必要となるようです。
以前は必要なかったようですが、悪質なバードウォッチャーが少なからず居るとのことでこの様なシステムが導入されたのだとか。

中に入ると売店もあり、野付半島に関する展示物が沢山ありました

 

 

通行許可証の申請は2Fで行います。

免許証を提示した上で誓約書にサインをして職員の方から細かな説明を受けたところで許可証が発行されました。

 

 

ネイチャーセンターから先にはトイレが無いので用を足してからの出発がお奨め。
※冬期間は外のトイレが使えないようなのでセンター内のトイレのみとなります。

車に戻ると駐車場にはエゾシカたちが。

水溜まりの水を飲んでいましたが、ここ以外でも水を飲むエゾシカを見たのでエゾシカはよく水を飲む生き物のようです。

 

 

ここでネイチャーセンターからの先端部までの道中を航空写真を使用してご紹介。

赤いラインを引いた場所までは許可証が無くても進める舗装道路。
その先は砂利道になっており許可証がなければ進入できません。

 

 

水色の線で印したところが砂利道で、青いラインを引いた場所が車止めとなります。

その先は砂地になっており、先端部の白く印した位置がユキホオジロの越冬場所。
ネイチャーセンターの方によると車止めから先端部までは徒歩で約30分とのこと。

先端部を目指し車を走らせましたが赤ラインの先は更にワシの数が多くなりなかなか前に進むことができません。

 

 

電柱止まりのオオワシも更に増えるのでオオワシたちに見下ろされながらの移動となります。

 

ようやく車止めの場所まで辿り着くとコクガンがいっぱい。

 

 

これほどの群れを見るのは初めて。

秋田でも観察することはできるものの数はそれほど多くなく、過去の記録を思い返してみても最大で30羽ほどだったと記憶しています。

 

 

暫しコクガンの群れを眺めたところで砂浜を行軍。

極寒を予想して保温性の高いスノーブーツを履いてきましたが・・

暑い!そして重い!!!

快晴で気温の上昇と共に砂がサラサラに乾き、一歩一歩埋まって必要以上に体力を奪われました。

徒歩でなければ進めないはずの砂地には何故か車の轍が。

 

 

これは悪質なバードウォッチャーの仕業。
センターの方曰く、四駆の車で無理矢理侵入するそうです。
許可証のシステムは法的に拘束力がある訳ではないとのことでセンターの方が頭を抱えていました。

私なら根性が悪いので見つけたらパンクさせてやりますけどね・・

 


30分で着くはずがユキホオジロを探しながらゆっくり歩いた為か1時間近く掛かって先端部に到着しました。

そこで目に飛び込んできたのが30羽ほどのユキホオジロの群れ。

 

 

青い海を背景にユキホオジロを見るのは初めて。

ここでふと気付いたのが太陽高度。
時刻は10時を過ぎているのに海が青く写ることで太陽高度が低いことに気付かされました。

場所と季節を考えれば当たり前と言われたら当たり前ですが、南中高度でも真上から太陽光線が降り注ぐことはなく大袈裟に言うと常に夕方のような光線状態です。

そのため真っ昼間に海を背景にしても位置取りさえ上手くできれば、常に青い海を背景に撮影することができるでしょう。

これぞ北海道マジック。

 

 

雑談ばかりですがユキホオジロの観察についてお話すると一言で云えば難しい。

地面に同化して見えることで間違い探しをしているような気分でした。
例えばこちらの画像。

 

 

ある部分を拡大するとユキホオジロが窪みからこちらを見ています

拡大した画像。

 

 

更にこちらの個体の左側にはもう1羽のユキホオジロが写っています。

 

 

秋田でユキホオジロを観察する際、車内からの観察がセオリーとなっているため近距離で見ることも可能ですが、やはり歩いての観察はなかなか近付くことができません。

更に言うと群れで居ることで1羽飛ぶと他の個体も全て飛んでしまいます。

 

 

植物の中をガサゴソと動き回る個体も見られました。

 

 

追うと飛んでしまいますし、その都度あっちに行ってこっちに行ってを繰り返しては体力が持ちません。

何よりもその都度ユキホオジロたちの採餌が中断されるのでお互いに何一つ良い事がないので「少し遠いな」と思えるくらいの位置で近寄って来てくれることを待つことが一番でしょう。

 

 

近くで見ることが出来たものの雪が無かったことで秋田で見るユキホオジロと何ら代り映えのしない写真になってしまいました。

そんな事もありこの後は野付半島らしさの観察に拘って暫し観察しましたが先端部には一時間ほど滞在したところで撤収。

 

 

行きも辛ければ帰りも辛い。
ゴールは見えているのに車まで変に遠く感じました。

ゼーゼー言いながら車に辿り着き一休みしたところで再びエゾシカの観察です。
余所者の私にとってはユキホオジロよりもエゾシカの観察が楽しく感じ、野付半島での観察はエゾシカを見ている時間が圧倒的でした。

 

 

観察をしていると欲が出るもので、絵面良く撮る為にはと試行錯誤を繰り返し撮影枚数がどんどん嵩んでいきます。

望遠レンズを使うとボケ味は楽しめますが顔しか写せません。

 

 

やはり短いレンズで風景を絡めて撮るのが一番でした。

これで雪があったら・・・

 

 

エゾシカが採餌をする様子は動画でも撮影したのでお手すきの方はどうぞ。
個人的にはよく撮れたと思っています。

 

 

13時頃まで思う存分エゾシカを観察したところで野付半島を後に

この後は漁港巡りを控えていたのでコンビニで昼食を調達して再び車を走らせましたが、今回の日記は午前中だけでこのボリュームになってしまったので午後からの様子は後日更新の日記へ続きます。