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2020年12月30日

 

 

 

今年最後の日記はコチョウゲンボウの観察記。

 

冬季休暇に入りようやく慌ただしい日々から解放されました。

この年末年始は数年に一度と言われる寒波襲来が予想され警戒が呼びかけられていますが、心置きなく観察に出るはずだったものの・・・

 

最後の最後にやってしまいました。

 

 

足首が曲がってはいけない方向に曲がり靭帯を損傷。

 

不幸中の幸いで骨には異常ありませんでしたが医者からはギブスを勧められる始末。

「それだけは勘弁してくれ」と懇願し、コルセットを装着して誤魔化しながら生活していますが観察に出られるのはいつになることやら・・・

 

 

そのため今回の日記は以前観察していて未公開だったコチョウゲンボウのお話をしたいと思います。

 


北アメリカ大陸北部やユーラシア大陸北部で繁殖するコチョウゲンボウは冬鳥として日本へ渡来しますが、同じ冬鳥である大型猛禽に比べるとあまり見かけることはありません。

北海道から九州まで日本各地で見られるものの、数はそれほど多くないので私がコチョウゲンボウを目にするのは偶然の出会いがほとんど。
移動している際に見かけることが多く、狙って観察した記憶は少ないように思えます。

これは留鳥として見られるチョウゲンボウとは異なり、決まった縄張りを持たないことが理由となっているのかもしれません。

 


この日の出会いも偶然で、帰宅途中に電線に止まるコチョウゲンボウを目にしました。

獲物を捕食中だったようですが何故かこの時はAFが機能せずMFに切り替えての撮影。
手持ちでピントリングを回しながら撮影をした為ピント合わせが上手くできず・・・

苦し紛れに撮影した画像を拡大して確認してみると、ピンぼけながらも捕食された小鳥の足を見て取ることが出来ました。

 

 

この辺りではスズメやカワラヒワが多く見られるので、そのどちらかが犠牲となったのかもしれません。

しっかりと食べ終わるまで距離を置いてその場に待機し、落ち着いたところを見計らって本格的に観察を開始。

 

 

鳥の警戒心は種によって異なりますが、同じ種であっても地域や環境によって異なります。

秋田で見られるコチョウゲンボウはチョウゲンボウに比べると警戒心は薄いようで車内からであればかなり近寄れる印象。

じわりじわりと距離を縮めて撮影してみました。

 

 

羽の特徴から、こちらは雌の若い個体のようです。

雄であれば翼上面が青灰色をしているため誤認されることはありませんが、雌に関してはチョウゲンボウと誤認されるケースも屡々。

かく言う私もバードウォッチングを始めた当初は見分けがつきませんでした。
今でこそ同定できるようになりましたが、チョウゲンボウ雌とコチョウゲンボウ雌の識別は初心者にとって難しいかもしれません。

 

 

和名にある通り、コチョウゲンボウの方がサイズが小さく何度か観察を重ねるとパッと見た目に判断がつきますが、単体での観察が一般的なため両者を並べて観察できるシチュエーションはまず無いと思います。

識別点については様々ありますが、先ずは比べ易い顔の画像を拡大

 

【 チョウゲンボウ 】

【 コチョウゲンボウ 】


 

分かりやすいのがハヤブサ科の鳥に見られるひげ状の縦斑。

これは目の下に伸びる線で個体差もありますが、チョウゲンボウは黒色の縦斑が太くはっきりしているのに比べコチョウゲンボウは暗褐色でぼんやりとした印象です。

続いて胸から腹にかけての特徴。

 

【 チョウゲンボウ 】

【 コチョウゲンボウ 】


 

チョウゲンボウには黒褐色の縦斑が見られますが、コチョウゲンボウはより太い暗褐色の縦斑が見られ正面から見た時の印象は異なります。

最後に尾羽の特徴。

 

【 チョウゲンボウ 】

【 コチョウゲンボウ 】


 

尾羽の横帯に違いが見られ、細くて数が多いのはチョウゲンボウ。
それに比べ太く数が少ないのがコチョウゲンボウ。

 


アバウトに3つの識別点を挙げてみましたが、狩りの方法を見ることができればもっとファジーに識別することができます。

チョウゲンボウはホバリング(停空飛行)をしながら場所を少しずつ移動し、上空で獲物を見つけると急降下して捕らえますがコチョウゲンボウはホバリングを行いません。

コチョウゲンボウは人工物などに止まり高い位置から獲物を探しますが、狙いが定まると鋭い飛翔で獲物に突っ込みます。
同じようにチョウゲンボウも高い位置から獲物を物色することがありますが「鋭い」といった飛翔ではありません。

 

 

また獲物となる生き物にも違いが見られ、チョウゲンボウは昆虫やネズミを捕食しますがコチョウゲンボウは主に小鳥を捕獲します。

画像はトンボを捕食するチョウゲンボウ。

 

 

羽の特徴だけではなく狩りの方法でも識別は可能ですが、何回か観察する機会があればパッと見た目に同定することができるでしょう


時々電線から電線にと移動していたコチョウゲンボウは私が真下に行っても『我関せず』といった様子でのんびりとしたものでした。

頭掻き~羽繕い~伸びの姿も見せてくれるサービスの良さ。

 

 

若い個体とあって羽には擦れや磨耗がなく、一枚一枚とても綺麗な羽をしていました。

ただ一つ残念なのは曇天だったこと。
時々陽射しがあったり曇天の隙間に青空も見えましたが、ほとんどの時間が厚い雲に覆われていたためプラス補正をかけると空の色が不自然になってしまいます。

 

 

欲を言えばきりがなくなってしまうので、先ずはじっくりと観察させてくれたこの個体に感謝。

次の機会には成鳥雄との出会いに期待です。

 

 

本日の観察日記はここまでとなりますが、明日は今年一年を振り返る総集編を更新します。