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2020年3月22日 7/6℃ 雨




春の珍鳥まつり第2弾。

前回日記に綴ったコヒバリの観察記はイレギュラーなものでしたので、春の渡りの珍鳥まつりは実質今回が初回となります。

毎度同じ説明を記載していますが、春と秋の渡りのシーズンは普段図鑑でしか目にすることのない珍鳥と出会えるチャンス。
今回も例の如く渡り鳥の中継地となっている男鹿半島へ繰り出しましたが、離島に比べると面積が広く博打性は高くなってしまいます

そのため観察日前夜は地元バーダー氏と観察ルートの打ち合わせ。
二手に分かれ効率良く探鳥を行おうということで私は南側から、御仁は北側からのルートを捜索することにしました。


朝一番で地元紙の秋田魁新報社から風力発電に関わる取材を受けた後、漁港に立ち寄り渡り鳥が入っていないかチェックしてみたところタゲリを発見。

 

 

本来生息するような場所ではありませんが、前々日は大荒れの天候であったことからこちらの場所に避難していたのかもしれません。

以前もこの場所で荒れた天候の後にムナグロを観察したことがあり、旅鳥として通過する渡り鳥にとって男鹿半島は羽を休め易い場所なのでしょう。

 

 

田んぼで採餌をする場面ではタゲリとの距離は相手方次第。
しかしこの時はこちら側の動きが制限されることはなく至近距離で観察することができました。

タゲリは普通に見られる鳥とは云え、通常と違った場所で見られたことから念の為に御仁に連絡したところ・・・

 

 

しれっとヤツガシラを見ている御仁。

仕方ないので『こんなん』を見に行くことにしました。
現地に着いてみると御仁の車も無くヤツガシラも見当たりません。

改めて場所を確認する意味でも電話をしてみたところ『通り掛かった車に飛ばされて見失った』とのことでした。
バードウォッチングあるあるの“さっきまで居た”というお話です


これは本当に仕方ないことなのでヤツガシラが好みそうな場所を探してみましたが、これがさっぱり見当たらず。
ヤツガシラは民家の庭にも立ち寄るような神出鬼没の鳥なので正直なところ何処に居てもおかしくはありません。

あちこち見て回りましたがことごとく空振りに終わり、最後にゴミだらけの海岸を捜索してみると・・・

 


居た。

 

 

海岸をウロウロしながら採餌をしていました。

ここで問題なのは一体どのように観察するか。
ヤツガシラはのんびりした個体もいれば、警戒心の強い個体もいるので直ぐに近付くのは危険。

先ずは遠巻きにこの個体の性格を探ることにしました。
それにしても海岸が汚い。

 

 

落ちているゴミと比較することでヤツガシラの大きさが分かると思えば良い写真にも見える・・・いや、見えない。

ゴミを縫うようにして移動しながら採餌を続けるヤツガシラでしたが、それほど神経質な個体ではないことが分かり車を降りて観察してみることに。

 

 

警戒心の強い個体であれば車から降りた瞬間に飛ばれてしまいますが、この個体は剥き出しの身でも観察を許してくれました。

 


観察をしていると小雨になっていた雨が本降りに。
不意に飛び立ったヤツガシラは朽ち果てた番屋の上へ。

 

 

この場所に止まって間もなくヤツガシラは飛び去ってしまい視界から消えていきました。

その際に撮影した画像を確認してみたところ擦れや摩耗が激しく羽がかなり傷んでいるようです。

 

 

さて、ヤツガシラ一体何処に行ってしまったのか。
車で回れる範囲内は念入りに捜索してみましたが発見に至らず、ゴミだらけの海岸を徒歩で探してみることに。

しかし広範囲に探してみたものの、これといった手掛かりもなく残念ながら見つけ出すことができませんでした。

半ば諦めの雰囲気が漂い始めた頃、突如視界に入ったのは番屋で雨宿りするヤツガシラの姿。

 

 

地面ばかり見ていたせいか全く気が付きませんでした。

近くで見れたのは良かったものの、私が見る位置から望遠レンズで撮影すると雨宿りをしてることが分かりません。
かと言って広角レンズで撮影するのも芸がないと思い、試行錯誤を繰り返して撮影できた画像がこちら。

 

 

この日は予報に反し終日雨の生憎のお天気で時折南風が強く吹いていましたが、ヤツガシラの止まった場所は上手い具合いに雨と風が凌げる場所でした。
しっかりと風向きを考えてこの場所を選んだようです。

羽を見るとあまり撥水性が良くないようで、これがヤツガシラの特徴なのか体調が優れず撥水性を失っているのかは分かりませんが、この日は採餌に出掛けると必ずこの場所に戻り雨宿りをする姿が見られました。

ヤツガシラは砂浴びをする鳥ということもあり、どちらかというと雨が苦手な鳥なのかもしれません。

 

 

不意に見せた伸びのポーズ。
窮屈な場所に止まっているので伸びをすると頭がゴリゴリ擦れてしまいます。

 

 

滑稽な姿に思わず笑ってしまいましたが、暫くするとウトウトし始め瞼が重たくなる場面も。

小雨になると思い出したように飛び立ちゴミだらけの海岸へ。
この日粘ってゴミが写り込まない環境で撮らせてもらえた一枚。

 

 

藪の隙間やゴミの間を潜り抜け、採餌が終わると我が家と化した番屋に戻るヤツガシラの姿がありました。

今年はヤツガシラの渡りも早いようで、この日は既に北海道まで到達した個体もいたようです。
この個体がいつまで滞在してくれるのかは分かりませんが、注意深く探鳥を重ねることでまた新たな出会いに恵まれるかもしれません。


これから本格化する渡りのシーズン、存分に渡り鳥の観察を楽しみたいと思います。
本日の日記はここまで。