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2020年6月7日 21/15℃ 曇りのち晴れ




今回の日記はコシアカツバメの観察記。

西日本では個体数の多いコシアカツバメですが、北日本では個体数が少なく私の住む秋田県内においても局所的に見られる程度で普段見かけることはありません。

一般的に見られるツバメと渡来時期が異なり約1ヶ月ほど遅く渡ってくることから、例年この時期になると渡来状況の確認を行っています。

2015年に繁殖場所を突き止めて以降毎年観察の機会に恵まれていますが、スズメに巣を乗っ取られるようになってから繁殖状況は芳しくありませんでした。
そのような理由もあり個体数はなかなか増えない状況が続いていますが今季は何羽渡来しているのか・・・


昨年まで営巣していた場所に行ってみると、現存している巣は2ヶ所のみで他の巣は全て朽ち果てている状態。
コシアカツバメは普通のツバメとは違い、繁殖地へ渡来すると直ぐに巣の補修を始めるので巣の状態を見ると渡来の確認が一目で分かります。

しかし何処の巣を見て回っても補修している形跡がなく、渡来が途絶えてしまったのかと思いましたが何気なく空を見上げると複数羽のコシアカツバメが上空を飛び交っていました。

 


飛んで行く方向を確認すると例年泥を採集する場所を目指しているようだったので、そちらに移動して少し待っているとコシアカツバメが飛来。

 

 

この場所は水捌けが悪く、一度雨が降ると長期間水溜まりになることから泥の採集に適しています。

水溜まりに飛来するコシアカツバメは複数いたものの、こちらのペアは頻繁に飛来していたことから今回の観察対象とさせてもらいました。

口いっぱいに泥を咥えたコシアカツバメ。

 

 

本州で繁殖するツバメはツバメ・イワツバメ・コシアカツバメの3種ですが、そのなかでもコシアカツバメは絆が一番強い印象を受けます。

家族群で行動することが多く、繁殖前のペアは常に寄り添う形で行動しているので単独で行動するのは抱卵や育雛の時のみ。

 

ペアで飛来したコシアカツバメは片方の個体が泥の採集を終えても片方の個体が採集を終えるまで辺りをグルグルと旋回するようにして待機します。

 

 

泥の採集を終えると飛び立って行きますが、果たして何処に泥を運搬しているのか。

 

 

水溜まりに飛来する間隔は早い時で7~8分、遅い時でも15分程だったので距離としてはそんなに離れていないように思えました。

一日中繰り返される作業に無駄な動きをするはずもなく、翼を持った生き物ですから飛んで行く先の延長線上に運搬していることは間違いないでしょう。

そこで点と点を結んで線になるよう、少しずつ後を追ってみることに。

見失っては立ち止まりを繰り返し徐々に営巣場所に近付くと、とある建物を堺にしてそれ以上先に飛ぶ姿が見られません。
営巣しているであろう建物に何とか辿り着くことができました。

 


建物の周辺を旋回するコシアカツバメの動きをあらゆる角度から観察し、何処に泥を運搬しているのか注視していると決定的場面を目撃。

飛来したコシアカツバメが吸い込まれるように姿を消すので、角度を変えて確認してみるとようやく営巣場所を割り出すことができました。
巣の状態を確認してみると造り始めて間もないようです。

 

 

巣に止まると直ぐに泥を盛ることはなく、繁々と巣の状態を眺めるようにしてから泥を盛っていました。

泥を盛る際には小刻みに頭を動かし、既に盛られた泥に刷り込むようにして新しい泥を盛ります。

その場面の画像を拡大。

 

 

私の想像に過ぎませんが、半乾きになった部分に新たな泥を刷り込み強度が増すよう成形しているのではないでしょうか。

作業を終えて巣を離れると周囲を旋回。

 

 

その様子を確認すると泥を咥えたまま上空で待機していた片方の個体が間もなく飛来します。

 

 

こちらのペアは必ずと言っていいほど泥の盛り付ける部分が左右分かれていて、作業が分担されているように見えました。

 

 

泥の盛り付けが終わると2羽揃って再び泥の採集場所へ。

泥の採集を終えると営巣場所に戻って来ますが、巣造りをする様子を動画でも記録してみました。

小刻みに頭を動かし泥を泥を盛り付けていく姿を見ることができます。

 

 

週に一度の観察ということでかなり時間が空いてしまいますが、こちらの巣がどのように造られていくのか、また1週間後に様子を見てみたいと思います。

巣造りの様子を観察した後は再び泥の採集場所へ移動。
この日は終日コシアカツバメの観察を行いましたが、水溜まりの前で待機しているとツバメの類いでも個人的に一番好きなイワツバメの姿も見ることができました。

 

こちらの場所でイワツバメを確認できたのは3年ぶり。

観察中に一度だけツバメ・イワツバメ・コシアカツバメの3種が同時に泥を採集する場面を見ることができましたが、残念ながら一つのフレームに収めることはできず。

 

 

イワツバメに関してはまた別の機会に時間を掛けて観察してみたいと思います。

コシアカツバメに話題を戻しますが、この日確認できた個体数は8羽のみ。
やはり去年は巣の乗っ取りが影響して繁殖に支障が出てしまったようです。

 

 

今回観察したペア以外の個体が何処に営巣しているのか現段階では分かりませんが、渡来が途絶えることのないよう今季は無事に繁殖してくれることを願っています。

本日の観察日記はここまで。