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2020年8月23日 30/22℃ 晴れ




今回の日記はクロサギの観察記。

連休だったこの週末、両日共にシギチの観察を予定しました。
前日の土曜日は海岸と休耕田で観察を行いましたが、同じ場所での観察が続いていたことからこの日は普段足を運ぶことのない地域へ

地理的には問題ありませんが今時期の鳥相が把握できていないこともあり、一か八かの出たとこ勝負。
岩礁の多い地域ということもあって、もしシギチを見ることができれば画像としてもいつもとは違ったものになることでしょう。

 


朝から快晴で強い陽射しの降り注ぐなか、さっそく海辺をチェックしてみると岩場にはカワセミならぬウミセミの姿が。

 

 

野鳥観察を始めて間もない頃は綺麗な川にしか居ないものだと思ってましたが、田んぼ、海辺、湖沼、ドブ川と魚さえ居れば何処でも見られます。

ウミセミはさておき、岩礁で羽を休めるシギチは居ないかと丁寧にチェックを重ねると遠く離れた岩の上に佇むクロサギの姿がありました。

 

 

この類いの鳥が好きな私にとって幸運の一日が始まります。
シギチからクロサギへ観察対象をシフトチェンジ。

距離が離れていたこともあり以下2枚の写真は拡大して掲載しますが、暫く様子を見ていると大きく口を開きあくびをしていました。

 

 

眠たかったのか伏せるように姿勢を取り、完全に休憩モード。

クロサギを観察していてこのような行動を観察した経験は未だかつてありません。

 

 

少し角度を変えて撮影してみましたが、完全に岩に同化しています
クロサギという和名にある通り黒っぽい色をしていますが、全体的にすすけた色をしていることから岩場で見ると擬態効果抜群。

もし最初からこの姿勢だと見落としていたかも。

 

 

ちょっとやそっとじゃ動きそうにもなさそうだったので、岩礁地帯を歩き距離を詰めてみることに。

近寄ってみると改めて生息環境に適した羽色であると感じさせられます。

 

 

手持ちの図鑑には“男鹿半島以南で局地的に繁殖する”という文言があり、繁殖をする個体が生息するのは日本海側で男鹿半島が北限ということになりますが私は繁殖の場面を見たことがありません。

秋田県内において留鳥として見られるサギ科の鳥では最も個体数が少なく、生息エリアは秋田市以北または由利本荘市以南となっています

つまり秋田県沿岸部で中央地域だけが生息環境から外れることになりますが、これは中央地域に岩礁地帯が無いことが考えられます。

そのためクロサギの観察経験に乏しく、過去の観察記録も行き当たりばったりというものばかりでした。


膠着状態が30分ほど続き根気勝負の様相を呈してきた頃、何かを警戒したクロサギが突然飛び立ち水面ギリギリの岩礁の上へ。

ファインダー越しに見ていたため視野が狭く、一体何を警戒したのか分かりませんが頭部の羽が逆立っています。

 

 

これはサギ科の鳥が見せる共通の警戒状態。

足元に押し寄せる波を気にしているようでしたが暫くすると伸びのポーズを見せてくれました。

 

 

ちょっと短足気味に見える黄緑色の足が印象的。

 

羽を震わせてブルブル。

 

 

打ち寄せる波飛沫を被ることが多く流石にこの場所には長居しないだろうと思っていたところ、案の定飛び立ちましたが・・・

「お~い、何処に飛んでいく?」

 

 

あらぬ方向へ飛んでいったクロサギ。
随分と遠くへ飛んでしまったため見失ってしまいました。

 


それにしても青い海を背景に撮影できたのは初めてだったような・・・
過去の記録を振り返ってみると秋田県内で撮影したのは2013年が最後で、どの画像も曇天の空の下だったのかモノクロ画像のようなものばかり。

その後は見掛けた程度に留まり、直近の記録を振り返ってみると沖縄本島や石垣島で観察したものがほとんどでした。

こちらは2年前に沖縄本島で撮影した個体。

 

 

南国情緒が漂い秋田県内では撮れない絵面ですが、南西諸島では“白い”クロサギを見ることができます。

竹富島で観察したクロサギの白色型。

 

 

九州以北で見られるクロサギは黒色型になりますが、沖縄本島では過半数、与那国島では約8割というデータもあり南に行くほど白色型の比率が高くなるようです。

淡色の岩礁や白い砂浜に合わせて白色型が多くなったのか・・・


話を元に戻して見失ったクロサギを捜索したところから。
海岸に沿って波消しブロックが積み上げられてるお陰でパッと見た目何処に居るのか見当もつきません。

回り込むように移動して捜索してみたところ波消しブロックの陰に佇むクロサギを見つけ出すことができました。

目測を誤らないように移動して波消しブロックの陰から覗き込むように盗撮。

 

 

ここでじっくり腰を据えて観察しようと思った瞬間、何処からともなく別のクロサギが飛来し追い掛け合うように辺りを飛び始めました。

もうどちらが最初の個体か分かりません。

 

 

視界から消えたかと思うと再び2羽で現れ、これは仲が良いのか悪いのか・・・

辺りを飛び交うと1羽ずつ別々の方向に飛んだようで、再び捜索を始めると突然飛び出てきたクロサギ。

 

 

しかしこの個体は始めに観察した個体と違って警戒心が強いように思えました。
採餌する姿を観察したかったのですが、残念ながら直ぐに飛び立ってしまい振り出しに戻ります。

 


炎天下での捜索が続き滴り落ちる汗が止まらず一休憩。
この時期の観察は体に堪えるので早朝~長くてもお昼頃に留めておきたいところ。

水分を補給し息を整えたところで、始めに確認した岩礁地帯へ戻ると同じ岩の全く同じ位置で休憩するクロサギの姿がありました。

 

 

この個体のお気に入りの場所なのかもしれません。
もしそうであるならば今後狙って観察できそうな・・・

長い休憩を終え再び飛び立ったクロサギでしたが、飛んだ先に人が居たので空中で急ブレーキ。

 

 

方向転換したところで波消しブロックの上に降りるとブロックの隙間に潜り込むようにして歩いていく姿が見られました。

どうらや波消しブロックの隙間で採餌をしていたようで、暫くするとひょっこりと出てきて流木の上へ。

 

 

この日撮影したのはこの時が最後。
再びあらぬ方向へ飛び立ってしまい時間も時間だったことから観察はこれまでとしました。

欲を言えばもっと行動に纏わるシーンを観察したかったのですが暑さに負けて集中力に欠けていた部分もあったので、もう少し涼しくなった頃に再び足を運び観察してみたいと思います。

 

 

またこの個体に再会できることを願い本日の観察日記はこれにておしまい。