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2021年11月14日

 

 

 

 

今回の日記は先月31日の観察分から。

 

この日も例の如く男鹿半島で珍鳥探し。

 

どんな出会いに恵まれるかと期待に胸を膨らませ足を運んでみたものの、まさかの2週連続で空振りという残念な結果に終わりました。

 

例年であれば観察したい鳥が多く行き先に頭を悩ませ体が幾つあっても足りない時期ですが、この様な経験は記憶にありません。

 

唯一ヤマヒバリorカヤクグリの声を聞くことはできましたが姿を確認するには至らず、粘ってみたところで何かを見つけられる雰囲気さえ感じられませんでした。

 

 

せっかくの休日を棒に振りたくないと気持ちを切り替え一路大潟村へ。

 

 

ガンの群れがあちらこちらで飛び交う大潟村でお目当てとしたのはアオハクガン。

 

先ずはハクガンの群れを探すところから始めましたが、村に着いて早々群れを見つけることができました。

 

 

広大な敷地の中からの捜索は地元の人間であっても苦労させられることはありますが、積雪前の滞在場所については比較的同じ田んぼで見られることが多く通い慣れてくるとだいたいの見当がつくようになります。

 

但し個体数が増加することで群れが分散傾向にあり、ハクガンの群れを見つけることができたとしてもアオハクガンが混ざっているとは限りません。

 

そのため群れを見つけてから丁寧にチェックをする必要があります。

 

 

時としてハクガンだけの群れになることもありますが、マガンやヒシクイの群れに混ざることが多くチェックするにも一苦労。

 

特に群れがひしめきあっているとマガンの胴体とハクガンの顔が重なって見え紛らわしいことこの上なし。

 

アオハクガンの特徴を簡単に表現すると頸から上はハクガン、頸から下はマガンといった見た目になるため離れた場所からのチェックはフィールドスコープが必須となります。

 

手っ取り早い確認方法として距離を詰めることが出来ればよいのですが闇雲に近付けばいいというものではありません。

 

 

秋田県で越冬するマガンやヒシクイは宮城県で越冬する個体群に比べ警戒心が強く、ハクガンを目当てに近付くとマガンやヒシクイが一斉に飛び立ち釣られるようにしてハクガンも全て飛んでしまいます。

 

ガンの群れとの距離感は難しく、今でこそ間合いの取り方を上手くできるようになりましたが、嘗ては私も失敗を繰り返してきました。

 

群れの反応を見極め慎重に車を移動することにより群れの前へ到着。

 

 

到着間際は多少なりとも気にする様子が見られたものの、不用意な動きをしない限り採餌する姿や仮眠を取る姿をじっくりと観察することができます。

 

この時の様子は動画でどうぞ。

 

 

動画をご覧頂いて分かる通り近距離であればアオハクガンの確認を容易に行うことができますが、残念ながらこちらの群れには混ざっていないようでした。

 

直ぐにその場を離れ別の群れを探すことも1つの手段として有効である一方、離合集散を繰り返すハクガンに対しては待機することも1つの手段です。

 

この時はアオハクガンの飛来を期待して暫しその場で待機してみることに。

 

 

個体数が少なかった頃は大きく撮ることだけに意識が集中してしまい、その結果当時の写真を見返してみると何時撮った画像も同じものばかりで代わり映えのない写真だけが残ってしまいました。

 

そのため近年は風景を取り込んだりと、撮影当時どの様な様子であったのか後から思い返せるよう短いレンズで撮影する機会が多くなりました。

 

個体数が多くなった現在、望遠レンズでは全ての個体をフレーム内に収めることができないことも多く、余裕があれば群れ全体を短いレンズで撮影してみるのもお奨めです。

 

 

構図を考えあれやこれやと撮影していると何処からともなく別の群れが飛来。

辺りを旋回するようにして飛び交う群れをズームレンズで撮影してみることに。

 

 

この時に風車の方へと旋回を始めたので併せてその場面も撮影。

 

秋田県在住の方でも大潟村周辺に万単位のガン・カモ類が渡って来ることは意外に知られておらず、この事実をもっと県民にも知ってもらいたいと考え同じ画像をTwitterの方にも掲載しました。

 

 

周囲を旋回していた群れは徐々に高度を下げて群れに合流。

 

 

ここで再びチェックを行いましたが残念ながらこちらの群れにもアオハクガンは混ざっていませんでした。

 

この時の数はおよそ700羽。

この日の時点で秋田県へ渡来している総数は把握できておらず、他の群れは一体何羽で何処に滞在しているのか・・・

 

 

別の群れを探すため場所を移動しようか悩んでいたところ、地元バーダー氏より電話が入り「アオハクガンがいつもの場所にいた」という情報を寄せて頂くことができました。

 

 

他力本願。

早々に場所を移動しバーダー氏の元へ。

 

地元のバードウォッチャーには周知の事実ですが、冬季になるとバーダー氏は群れの一部と化すためハクガンの近くには高確率でバーダー氏の車があります。

 

脱線した話を元に戻して3年目のアオハクガンとご対面。

 

 

パッと見た目に分かる変化は全体的に色のメリハリがついたという点でした。

撮影した画像を拡大して検証してみたいと思います。

 

 

昨年と比べると目の周囲に残っていた褐色斑が換羽しておりスッキリとした印象。

 

側面から顔だけを見ると成鳥のハクガンと同様ですが角度を変えて見ると頭頂から後頸にかけては筋状の褐色斑が見られます。

 

 

この点に関しては今後変化が見られるのか着目したい点。

 

やはり一番の変化としては頸部の境界が明瞭となり、胴体は淡青灰色から暗青灰色に換羽したという点でしょう。

 

 

この時に見られた群れは20羽ほどであったことから容易に観察することができましたが暫くすると群れは本隊へ合流。

 

ちょうど本隊も飛び交っていたことからこうなると簡単に観察することはできません。

 

 

青空で見るハクガンの飛翔シーンも良いものですが今まで様々なシチュエーションで撮影してみた結果、薄暗い空を飛ぶハクガンの方がコントラストが強くなり際立って見えることから個人的にはこちらの方が好みです。

 

着陸シーン。

 

 

着陸後は遠く離れた位置からもアオハクガンを確認することはできましたが、じっくりと観察できるような状態ではなかったことから群れの動向を遠巻きに観察。

 

どんよりと薄暗い天候が続き、日没時刻が迫って頃には雲の隙間から陽射しが照りつけるようになりました。

 

このタイミングで群れが少し離れた田んぼへ移動を始めたことから夕陽に照らされる姿を撮影。

 

 

朱色に染まるハクガンの飛翔シーンも綺麗なものです。

 

 

次々に移動するハクガンを眺めていると、移動している先にはバーダー氏の車が。

 

「流石だ・・・」

 

この日の観察はここまでとして帰宅準備を始めたところ、再びバーダー氏より電話が入り『目の前にアオハクガンがいる』とのこと。

 

他力本願、この日2回目。

 

 

アオハクガンを目の前で眺めながら続々と群れに合流する着陸シーンは広角レンズで。

 

 

日没ギリギリまで観察を続け、最後にアオハクガンの羽ばたきの姿を撮影して終了。

 

 

もう今季のハクガン撮影はこれで十分だと思えたその様な一日。

 

 

後はもう間もなく渡来するであろうオオワシの無事を確認できれば何も言うことはありません。

今季も元気な姿を見せてくれることを願い、本日の観察日記はここまでとします。