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2021年11月21日

 

 

 

 

今回の日記は今月7日の観察分から。

 

例年この時期になるとユキホオジロなどホオジロ類の珍鳥が見られる頃ですが、今季に限っては異常と思えるほど空振りの連続です。

渡り鳥の観察地として有名な飛島の情報に注目してみても連日のように『鳥がいない』といった報告が更新されていました。

 

珍鳥はおろか身近に見られるはずのスズメやムクドリさえ少なく、不気味にさえ感じる状態が続いています。

 

 

秋になりマガンの群れが秋田市上空を南下するようになると次に見られるのはミヤマガラスの群れ。

 

こちらに関しては当初あちこちで大きな群れを見かけたものの、現在は少数の群れを時々見かける程度です。

 

この様に鳥が少ないという印象が拭いきれず男鹿半島へ足を伸ばすことにも躊躇を覚えるようになりました。

主要ポイントをチェックして回るだけでも半日が潰れてしまいますし、原油価格の高騰の煽りを受けガソリン代も馬鹿になりません。

 

 

時間の使い方について悩んだ結果、男鹿半島を回り空振りで終わるよりなら確実に冬鳥の観察ができる大潟村へ足を運ぶことに。

 

道中見かけたのは個人的に今季初認となるコチョウゲンボウ雌。

 

 

こちらの個体をじっくり見ることができれば大潟村に行くまでもないと考え観察を始めたところ早々に飛び去ってしまいました。

 

いつもであれば「行ってしまった」で終わりますが、鳥に飢えていたこともありこのまま引き下がる訳にはいきません。

 

執念で探しだしたところ少し小ぶりな鳥に対しちょっかいを出す様子が見られました。

 

「もしかして」と確認してみると電線に止まっていたのはコチョウゲンボウ雄。

 

 

久しぶりにじっくりと観察できるチャンスが到来。

 

冬鳥として渡来し秋~春にかけて見られるコチョウゲンボウですが、私が見かけるのは雌が多く雄は稀に見る程度です。

 

雄に関しては撮らせてもらう機会が少ないだけにちょっと得した気分。

 

 

コチョウゲンボウとチョウゲンボウの雌については見間違える方が多いため昨年の日記で識別ポイントについて記載しましたが、雄については翼上面が青灰色をしており一目瞭然です。

 

特にこれといった動きはなく、ちょっかい出していた雌も近くの電線に止まったまま。

 

 

伸びの姿でも見ることができればと考えていましたが観察を始めて30分も経った頃、雄が不意に飛び立つと後を追うようにして雌も飛び立ってしまいました。

 

あっと言う間に視界から消えていったコチョウゲンボウのペア。

 

双眼鏡でも確認できなくなるほど遠くへ飛去しまったため、残念ですがコチョウゲンボウの観察はここまで。

 

 

仕方ないので本来目的地としていた大潟村を目指すと無意識にハクガンの滞在場所へ車を走らせていました。

 

 

到着してみると周囲には他県ナンバーの車がいっぱい。

 

好天と季節外れの暖かな陽気が続き絶好の観察日和であったことから、ハクガンをお目当てとした県外のバードウォッチャーが大勢お越しになったようです。

 

爆発的に増えたコロナ感染者も急激に数を減らし、バードウォッチャー同士が談笑する様子も見られ何となく日常が戻りつつあるように思えました。

 

 

暫く観察を続けるとハクガンの群れが飛び立ち辺りを旋回。

この時一緒になった地元バーダー氏との会話にありましたが、飛翔シーンの撮影では何処を切り取ると良いのか。

 

群れの先頭を写した画像。

 

 

群れが密集した部分を写した画像。

 

 

群れの進行方向に余白が欲しい場合、当然のことながら先頭を写すことになりますが、ファインダーいっぱいに群れを写したい気持ちとの葛藤が生まれます。

 

写真は其々の好みがありますし、これについては永遠のテーマ。

 

周囲を旋回していたハクガンの群れは少し離れた田んぼに続々と降りていく様子が見られました。

 

 

そちらへ場所を移動し今度は広角レンズでの撮影。

 

 

こちらの地域ではお茶の間からハクガンを見ることができるので本当に羨ましい限り。

 

移動して間もなくは望遠レンズでも撮影してみましたが、半数は採餌に勤しみ残りの半数は仮眠を取るといった時間が続きました。

 

 

この時群れと反対側を飛んでいたのがチュウヒ。

 

 

秋田では繁殖し留鳥として越冬する個体もいれば暖地へ南下する漂鳥個体もいるようです。

 

後を追うようにもう1羽のチュウヒが現れると徐々に高度を上げていく様子が見られました。

 

 

この時上空を確認してみると豆粒ほどに見えていた猛禽は全てチュウヒということが判明。

 

てっきりノスリだと思い込んでいましたがチュウヒだけのタカ柱を見たのは初めての経験でした。

 

 

皆さんハクガンに集中していたようで他のバードウォッチャーは気が付いていなかったようです。

 

 

チュウヒも視界から消え相変わらずハクガンたちはのんびり。

飛び立ちの瞬間を撮影したいと思いましたが、いつ飛び立つかも分からない群れを長時間眺めているのは根気が要るものです。

 

ちょうどこの頃、時刻はお昼ということもありパンを片手に群れを眺めていましたが食後眠くなるのは自然の摂理。

 

ガンの群れは飛び立つ際にけたたましく鳴き声を発することから鳴き声を目覚ましにと仮眠を取ることに。

 

 

自分のいびきで何度か目を覚ましたものの思いのほか熟睡してしまい鳴き声に即座に対応することができず・・・

 

鳴き声が聞こえ慌てふためき撮影した画像がこちら。

 

 

想定では迫ってくるような絵面を撮影するはずでしたが寝ていたのでこればかりは仕方ありません。

 

とは言っても紅葉を背景にできたので結果オーライ。

 

飛び立ったハクガンの群れは元居た田んぼ戻り、そちらへ再び移動してみるとアオハクガンが群れの手前に。

 

 

幼鳥の頃からですがアオハクガンは群れの端にいることが多く、それは現在も変わらないようです。

 

そのため運が良ければ群れの手前で、運が悪ければ一番奥でといった両極端の観察が多くなることでしょう。

 

こちらはレンズを変えてちょっと引きの画像。

 

 

さて、私が気になるのは年々増えつつあるハクガンの渡来数。

 

一時誤った予測数値をTwitterでツイートしてしまいましたが現在は1000

羽を超す数となりました。

 

 

個体数が増えることで群れは分散傾向にあり、近年は正確な数値を出すことが難しくなっています。

少しでも正確な情報をと考えネットを駆使して調べてみたところ、某社バードウォッチングツアーのガイド報告で10月31日に十勝平野で300羽ほどが確認されたと記載がありました。

 

同日大潟村で私は750羽ほどを確認しているので最低でも1050羽が日本へ渡来していることになります。

 

しかしながら今季見込んでいた渡来数は1500羽を大きく超えてくるものと予想していました。

昨年の渡来数と照らし合わせると大幅に渡来数が減っていることに間違いありません。

 

 

韓国や他の国へ渡ったのか、それとも繁殖地で何かがあったのか・・・

いずれにしても今季は幼鳥が少なく気になる点も多いことは事実です。

 

今後群れはどのように過ごすのか、積雪状況によって行動が変わることも予想されるため様々視点から観察を続けていきたいと思います。

 

 

最後はキラキラと光って見える群れの飛翔シーンを掲載して本日の観察日記はここまで。