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2021年1月16日




今回の日記は【年末年始は近所で野鳥観察】を一端お休みして10~11日の観察記録を綴りたいと思います。

 


先週は木曜日の大規模停電から始まり金曜日の夜から土曜日の朝方にかけて大雪に見舞われるなど災害続きの秋田市。

災難はこれだけに留まらず、極寒のなか長時間停電が続いた影響で秋田市の家屋はボイラーの故障が多発。
多分に漏れず我が家のボイラーも故障してしまいお湯が出なくなりました。

業者の作業が追い付かなければボイラーの在庫も無くなり、部品の調達もままならないことから修理まで1ヶ月以上は当たり前なのだとか。
我が家も春まで冷水生活が続きそうです・・・


大雪の影響で立ち往生が相次いだ秋田市内は除雪がフル稼働となり、国道や県道については走行に支障の無い状態まで落ち着きを取り戻しました。

しかし住宅街などを通る市道などはまだ順番待ちといった状態。
勿論自宅近くの農耕地は雪に閉ざされ立ち入ることが出来ません。

その他の地域はどのような状態にあるのか、今後の観察のことも考え2日間に渡りフィールドを巡回してみることにしました。

 


今回主に巡回したのは男鹿市及び大潟村周辺の地域。

秋田市を北上する形で潟上市を通過すると途端に雪の量が減ったように感じました。
どうやら今回の大雪は秋田市以南の地域で纏まった量の雪になったようです。


木曜日の夜は大荒れだったこともあり、避難してきた海鳥が居ないかと港巡りをしながらフィールドの様子を見て回りましたが何処の港も空っぽ。

鳴かず飛ばずの時間が続き車を走らせているとハギマシコが1羽道路を横断する形で目の前を横切りました。

ふと見れば道路沿いに群れるハギマシコたち。

 

 

昨年の秋から度々観察の機会に恵まれていますが、今季は全国各地で観察例が多く当たり年となっているようです。

嬉しい出会いに喜んだのも束の間、通り掛かった車を警戒して1カット撮影したところで海側に飛び去ってしまいました。

暫く周辺を捜索してみたものの再び目にすることは出来ず、後ろ髪を引かれる思いで移動することに・・・

 


海を眺めながら走行しているとやけに白っぽい鳥が沖合いの波間を漂っているのを目にしました。
直ぐに脳内図鑑との照合を始めましたが思い当たるのは♂のミコアイサ。

しかしミコアイサは湖沼で見ることがほとんどで、普段見る生息環境とは異なります。
違和感を感じ確認してみたところ驚いたことに♂のコオリガモであることが判明。

 

 

上の写真は最大まで拡大したもので実際に撮影した画像は米粒ほど

どの位置から見ると一番近くで見ることが出来るのかと右往左往していると道路沿いから警戒したように飛び立つ鳥の姿が視界に入ってきました。

一瞬でしたが独特の羽の模様からトラツグミであることが分かり、飛び立った場所を確認してみるとブルーベリーのような実を付けた植物が。

 


「この実を食べに来ていたのだろうか?」と見ているとイソヒヨドリが飛来。

 

 

私が目の前に居ることなど気にする様子もなくブルーベリーのような実を一つ、二つと啄む様子が見られました。

 

 

後から調べて分かりましたがこちらの植物は車輪梅(シャリンバイ)というバラ科の植物のようです。

花が梅に似ていて葉が枝先に車輪状に集まることが和名の由来となっているそうで、織物の染料としても用途があるのだとか。

 

 

車輪梅の実がこの場所にあると把握して鳥たちが飛来するのであれば「トラツグミが再び戻ってくるのでは?」と考え、コオリガモの様子を見ながらトラツグミの飛来を待ってみることに。

40分ほど待った頃、不意にトラツグミが飛来。

 

 

しかし直ぐに車輪梅の実を啄むことなく周囲の様子を伺っているようです。

暫く雪の上に留まると安全であることを確認したのか急ぎ足で駆け寄り実を啄み始めました。

 

 

撮影角度が悪く実を咥えた姿は見にくくなってしまいましたが、4つほど実を食べたことを確認。

やはりこの場所に実がなっていることを知り定期的に飛来しているようです。

 

 

昨年の春には自宅近くで観察を重ねていましたが、車内から見ることの出来ない環境ということもあり今回このようにして観察出来たことにちょっと興奮。

大型ツグミ類でも特に体長の大きなトラツグミを間近で見た印象として、表現の仕方によっては化け物と云ってもいいかもしれません

肝心のコオリガモは一向に近寄って来る気配は見られず、ずっと同じような場所を漂うばかり。

 

 

寧ろ遠くなったようにも思えましたが、秋田ではなかなかお目に掛かれないカモを確認出来ただけではなく画像に残すこともでき大変嬉しく思います。

 


期待のトラツグミも飛来せず待ち惚けの時間が続いたところで思い出したのが車輪梅を多く植樹している地域。
そちらでも何か見られるのではと思い移動してみたところ、思った通り非常に賑やかな雰囲気でした。

ざっと見たところイソヒヨドリ・シロハラ・ツグミ・ヒヨドリが実を食べているようです。

先ずはシロハラの観察をと考えましたが警戒心の強い個体が多く撮影もままなりません。

 

 

姿が見えても松の木に隠れるようにして止まることが多く、実を食べる時には植え込みの中に入ってしまい思ったような観察をすることはできず・・・

それならばとのんびりとした様子のツグミを撮影してみることに。

 

 

良いモデルさんだったので観察というよりも撮影を楽しませてもらうことにしました。

私のように観察だけではなく撮影も趣味としている者にとってはこの様に撮らせてくれる個体に感謝しかありません。
ちょうど雪がちらついてきたので縦構図でも撮影。

 

 

一頻り観察と撮影を楽しませてもらったところで場所を移動し車を走らせていると、道路沿いの畑に黒っぽく見える鳥が群れていました。

10羽ほどの群れが吹き曝しの畑で採餌をしているようでしたが、薄暗かったこともあり通りすがりでは何の鳥であるか識別できず。

カワラヒワかなとも思いましたが気になったのでバックオーライ。
しっかりと確認してみたところハギマシコであることが判明。

 

 

この場所は海から離れており海沿いでしか観察したことのなかった私にとっては新鮮な出会いです。

始めは距離が離れていたもののどんどん車道側に近付いてきてくれたので間近で見ることが出来ました。

 

 

こちらを警戒することなく採餌をしていましたが、実際のところ厳しい環境での採餌は生きる為に必要不可欠であり、私を警戒する余裕など無かったのかもしれません。

 

 

秋に岩場で観察した際には餌を巡っての競合はなくのんびりとした印象でしたが、今回は吹き曝しの畑で僅かに顔を覗かせる植物を餌としており、1羽が落ち着いて採餌を始めると次々に別個体が駆け寄り餌を奪い合う場面も。

 

 

「食べる部分があるのか?」と思うほど痩せ細った植物を啄んでいたハギマシコたちでしたが、観察してる間は薄暗い時間や地吹雪になることが多く綺麗な羽色を見ることが出来ません。

 

目の前に居ても黒っぽく見えるハギマシコたちを観察していると僅かな時間でしたが陽射しに照らされ漸く忠実な色を見ることが出来ました。

 

 

この僅かな時間、せっせとシャッターを押しましたがこれといって良い場面を抑えることができず。

運が良いのか悪いのか・・・

 

 

盛り沢山の10日から一転して11日はほとんどシャッターを押すことは無く時間は経過していきました。

昨年は暖冬の影響で一度も凍ることが無かった八郎潟調整池。

 

 

嘗て湖としては日本で二番目の面積だった八郎湖を干拓して造ったのが大潟村。

日本最大の干拓地は残存湖に囲まれるような地形をしており、北帰行の時期になるとガン・カモたちの中継地として数十万羽が集結しますが、完全結氷した湖にはオジロワシがポツンと佇んでいました

 

 

大潟村及び周辺の田畑は一面雪に覆われ観察場所としては閉ざされてしまった印象です。

生活道路となっている場所は除雪されていましたが、東部・西部承水路沿いの道路は除雪路になっていないため立ち入るのが困難な状況。

 


暫く大潟村に足を運んでいなかった間に積雪量は増え、雪の影響で餌が採れなくなったガンたちは大多数が南下したようです。

一部のエリアでは居残り組が田んぼで餌を採っていましたが、今後の雪の状態ではいつ空っぽになってもおかしくありません。

 

 

秋田の冬は1月下旬から2月上旬までが最も厳しさを増しますが、今季はどうなることやら・・・

観察場所がかなり制限されてしまいましたが、いつもと違った冬はいつもと違った環境で今後も冬鳥の観察を楽しみたいと思います。

 

 

本日の観察日記はここまでとなりますが、来週は【年末年始は近所で野鳥観察】の続編を更新します。