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年末年始は近所で野鳥観察 其の弐

 

 

2021年1月22日

 

 

 


前回の続き。

数年に一度と言われる強い寒波に覆われた年末年始は外に出ることを躊躇するほどの悪天候でしたが、思いがけず自宅近くでケアシノスリを見ることができました。

有終の美を飾った大晦日。

 

 

足首の怪我により気分はどん底から一転して、晴れやかな気持ちで迎えた新年は元日から通常運転。

ケアシノスリを再び観察するためフィールドに出てみましたが意外にも姿が見当たりません。
何度も往復する形でチェックしてみたものの私の目が節穴なのか気配すら感じられず。

辺りで見られるのはいつもの顔ぶれで、道路沿いでは柿の木にムクドリたちが群れていました。

 


「ん?」

1羽だけ黒っぽく見えたような・・・
確認の為にバックオーライ。

やはりホシムクドリ。

 

 

嘗て秋田県では珍鳥だったホシムクドリも年々観察例が増えてきているように思います。

昨季は過去に例を見ないほどの群れを見つけることができましたが、今回は1羽だけとは言え自宅近くでの発見は私にとって昨季以上の喜び。

 


しかし問題なのが周辺の状況。
撮影角度によっては民家にカメラが向いてしまいます。
思わぬトラブルに発展しかねないので、こういった場合の撮影は慎重にならざるを得ません。

どうすることが最善なのか悩みながら肉眼で観察していると少し離れた柿の木に群れごと移動。

 


こちらは民家にカメラが向かないので遠慮無しに撮影することができました。
丁度良く雲の隙間から陽射しが照り付けホシムクドリの金属光沢が綺麗に見えます。

 

 

秋田県内至るところに誰も手をつけることのない柿の木が点在し、厳しい冬はこうした柿が野鳥たちにとって大事な食料。

野鳥たちは渋が抜けることを理解しているようで、渋柿のうちに手をつけることはありません。

 

 

完熟した柿には様々な野鳥が群がります。

陽射しが無くなると途端に吹雪いてきたので季節感を表現しようと一緒に柿を食べていたムクドリも撮影。

 

雑食性の強いムクドリは夏~春までの非繁殖期は群れを作り電線や樹木に並んで止まる姿が見られますが、群れの規模が大きくなると糞害や騒音などで害鳥として扱われてしまいます。

しかし厳しい環境のなかで柿を食べている姿を見ると、普段『ギャーギャー』と騒がしい鳥も「頑張って生きろよ」と応援したくなるのは私だけでしょうか。

 

 

ムクドリの他にはツグミもいっぱい。

一気に積雪量が増え寒さが厳しくなったせいか柿の木という柿の木でツグミを見る機会が多く、例年よりもツグミの渡来数が多いようにも感じました。

 

 

ムクドリに比べるとツグミの方が性格的に穏やかな印象を受けます

ムクドリ同士が柿を奪い合うような行動を見せるなか、ツグミはどちらかというと控え目な行動でムクドリと入れ替わるようにして柿を食べる姿が見られました。

 

 

時には背伸びをして柿を啄み、穏和な雰囲気も相俟って一つ一つの行動が可愛らしく思えます。

 

 

柿の木にはハシボソ・ハシブトガラスも実を食べにやって来ますが、田んぼが一面雪で覆われてしまったせいかミヤマガラスもやって来ました。

どの鳥も急激な環境の変化によって食糧難のようです。

 

 

別の柿の木ではコクマルガラスも柿を食べる様子が見られましたが、群れの規模が大きくカメラを向けた途端に柿の木から離れてしまいました。

目線と水平の位置だったということもあり、警戒すべき対象として捉えられてしまったようです。

こちらのミヤマガラスは柿の木へ飛来するまでかなりの時間を要しましたが、群れの規模が小さかったことに加え他の鳥が群れていたことが警戒を解く鍵となったのでしょう。

 

 

肝心のホシムクドリは我が物顔で柿を食べていましたが、一時猛烈に吹雪く時間帯がありました。

吹雪きも気にせず一心不乱に柿を啄むホシムクドリ。

 

 

こちらの柿は凍り付いてシャーベット状態。

私から見ても美味しそう。
いつぞや旅先で柿のシャーベットを食べたことがありましたが、大変美味しかった記憶があるので同じ物を食べているかと思うと羨ましくも思います。

 

 

話は変わって撮影についてのお話になりますが、吹雪きのなかで季節感を表現しようと思ったものの暴風雪と云っても過言ではない状態で雪にピントが引っ張られてしまいAFが全く役に立ちません。

その為MFで撮影していましたが画像を確認してみると全体的に白っぽくなってしまい、雪が落ち着くタイミングを見計らって撮り直し。

 

 

しかし撮影を重ねる度、どの程度雪が入れば被写体と季節感を両立できるのか分からなくなってしまいました。

試行錯誤を繰り返し撮る、撮る、撮る・・・

 

 

このタイミングで一瞬でも陽射しがあれば雪とホシムクドリの金属光沢をと妄想を膨らませましたが、そんなうまい話もなく。

縦構図で撮ってみたり撮影角度を変えてみたりと私なりに色々やった結果、取りあえず動画を撮影しようというところに落ち着きました。

短い動画ですが柿を啄む様子を見ることができます。

 

 

観察の様子に話は戻ってムクドリの群れに混ざるホシムクドリですが、昨季観察していた時と同様に非常に気性の荒い場面が見られました。

自分が食べている柿にムクドリが近付くことは許さないことは当たり前で、ムクドリが食べる柿の方が美味しそうに見えたのかムクドリを追い払って柿を奪い取るような場面も。

私がムクドリだったら「勝手に混ざってきたくせに図々しい」と思うかもしれません。

 

 

ムクドリ同士で柿を奪い合う様子に「仲良く食べろよ」と思って見ていましたが、その上をいく行動に唖然とさせられます。

隣の芝生は青いということわざがありますが、隣の柿は美味しそうに見えたのでしょうか・・・

 

 

連日のように見られていたホシムクドリはこちらの柿の木が丸裸になると場所を移動したようで姿が見られなくなりました。

まだたわわに実をつけた柿の木は沢山あるので、今も何処かで完熟シャーベットを食べていることでしょう。

あちこち話は脱線してしまいましたが、自宅近くでホシムクドリを観察できたことは本当に嬉しく思いました。

 

 

ホシムクドリのお話はここまでとなりますが、次回更新の日記ではケアシノスリやホシムクドリの観察の合間に見たその他の鳥たちについてお話したいと思います。