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2021年2月23日

 

 

 

 

今回の日記はぶらりぶらりと歩きながら目にした小鳥たちの観察記。

 

当ホームページの野鳥観察日記では俗にいう“珍鳥”や観察の難しい種を話題にすることが多く、普通種は観察しない人と思われがちかもしれません。

 

しかし話題として取り上げることが少ないだけで実際はスズメやカラスでも時間を掛けて観察をしています。

 

 

誤解を払拭する意味でも今回は普通種を何種か取り上げてみようと思いますが、先ずはマヒワの話題から。

 

 

日本各地に冬鳥として渡来するマヒワですが、群れで行動することが多い為この時も20羽程の群れを見ることができました。

 

細い声で『チュイーン』という鳴き声を頻繁に発し、群れが飛び交っていると非常に賑やかな印象を受けます。

 

警戒心はそれほど強い鳥ではないので場合によっては肉眼でも観察を楽しむことが出来るでしょう。

 

 

雄は黄色みが強いのに対して雌は淡い色をしており識別は容易。

 

食性が植物食とあって種子を好んで食べることが多く、枝にぶら下がったり茎にしがみついて採餌をする姿をよく目にします。

 

地面に落ちた種子も食べることが多く、この時も私の存在など気にする様子もなく採餌する姿が見られました。

 

 

平地から山地にかけて主に針葉樹林などに生息しますが、北海道や本州北部では留鳥として繁殖する個体も居るようです。

 

しかし私は蚊を嫌って夏場の森林に足を踏み入れる機会が少ないため繁殖個体を見たことがありません。

 

過去の記録を振り返ってみたところ5月4日が最も遅い観察でした。

 

 

画像で見ても分かる通り雄のマヒワは緑がかった黄色い体色をしていますが、日本には鶸色(ひわいろ)という明るい黄緑色を指した色があるようで、これはマヒワの雄を模してつくられたそうです。

 

カラーサンプルを調べてみたところ正にマヒワの雄そのもの。

 

 

聞き慣れない鶸色に関して調べてみて初めて知りましたが、こちらは鎌倉時代の武士が礼服に用いた色として伝統色として知られているのだとか。

 

 

ついつい雄にカメラを構えがちですが、雌の淡い体色は優しい印象を受けます。

 

 

マヒワだけで一つの日記が書けそうなくらいですが、次はヒヨドリの話題へ。

 

日本では身近な鳥として親しまれているヒヨドリですが、世界的に見ると分布域が狭く海外では珍鳥扱い。

 

 

そのため海外のバードウォッチャーが来日すると喜んで観察する姿が見られます。

 

花の密を好むヒヨドリは春になると顔が花粉まみれになっている姿を目にしますが、秋田の春は遅く花が咲くにはまだ早いのでこの時は種子を啄む姿が見られました。

 

視線の先には飛び散った種子。

 

 

ナイスキャッチ。

 

 

上手いこと食べていました。

 

民家の軒先でも見られることから観察も非常に容易なヒヨドリは古来から身近な鳥として親しまれていたようで、非常に慣れることから平安時代には貴族の間で盛んに飼われていたようです。

 

 

その様子は古今著聞集に記述があり、第690話では後白河院が“鵯合わせ”と呼ばれる遊戯を院の御所で開き、貴族たちが自慢のヒヨドリを持ち寄って鳴き声を競わせたとありました。

 

またヒヨドリに和歌を添えて贈ったり、大切にしているヒヨドリを譲ってくれと言われ思い悩む貴族の話なども収められており、ヒヨドリが風流な遊びには大事な存在だったことが分かります。

 

 

可愛がっていた愛鳥を譲ってくれとせがまれ悩んでる姿を想像すると昔話とは云え胸中を察するに余りある・・・私なら無理。

 

(※現在は鳥獣保護法により野鳥の飼育は禁止されています)

 

 

話が大きく脱線し過ぎて観察日記なのか何なのか自分でも分からなくなってきました。

 

話を観察の様子に戻して今季渡来数の多いアトリの話題に。

 

 

全国版のニュースでも報道されるほど今季は纏まった数で見られることが多く、規模こそ違えど至る所で目にします。

 

こちらも人を恐れない鳥とあってじっくりと観察することができました。

 

 

少しずつ移動しながら地面で採餌を行っていたので、進行方向に先回りして待っているとお構い無しに近寄って来ます。

 

アトリ単体で見てみるとオレンジ色の目立つ鳥ですが、所々に黒と白の羽を持っているせいか雪の無い地面に居ると良い塩梅に保護色となり意外にも目立ちません。

 

 

この体色から木に止まると花が咲いているかのように見えることから漢字では「花鶏」と書くようですが、その様なシーンを一度見てみたいと思っていたので枯れ木に止まったタイミングを狙い撮影してみましたが・・・

 

これじゃない感が半端ない。

 

 

私のイメージとしては昔話に出てくる『はなさかじいさん』が枯れ木にパッと花を咲かせてる場面。

 

そんな絵面を連想させるような写真を撮影したかったのですがイメージとは程遠いものになってしまいました。

イメージ通りの絵面にするには晴天で順光の位置から撮影しないといけないようです。

 

 

アトリを観察しているとカワラヒワが1羽だけ混ざっていました。

三列風切の外弁が白く太いので亜種オオカワラヒワであることが分かります。

 

 

冬季になるとよく見られますが、こちらも群れる鳥とあって単独で見たのは初めてだったような・・・

 

 

今回締めを飾るのは害鳥扱いのムクドリ。

 

観察難易度を表すとどら焼き1/4と言っても過言ではないほど容易に見ることが出来るため普段は見かけることがあっても素通りしがちですが、冬季や渡りの時期には珍しい種が混ざることが多く侮ることが出来ません。

 

この時もあちこちで群れを見掛けていたので時期的に考えホシムクドリが混ざっていないかと見て回ってみたものの1羽も確認できず。

 

しかし群れのなかの1羽が何かを咥えているようだったのでよく見てみたところカエルと判明。

 

 

以前ホシムクドリを観察した際には柿を食べるムクドリも併せて観察していましたが雑食性の強いムクドリは何でも食べます。

 

画像を拡大。

 

 

冬眠中だったところを叩き起こされ、突っつかれるわ振り回されるわでカエルとしては訳が分からないことでしょう。

 

以前も真冬にカエルを捕食する場面を見たことがあったので、北国の厳しい冬を越す為に貴重なタンパク源となっているのかもしれません。

 

 

他の個体に奪われないようにとカエルを咥えて離さないムクドリでしたが、最後は丸呑みの形で胃袋の中へ・・・

 

生前最後のカエルの姿です。

 

 

南無阿弥陀仏。

 

今回の日記では普通種を何種か取り上げてみましたが、普段はこの様に行動の中でも“食”に着目して種を問わず観察を行っています。

 

珍しい種との出会いは格別ですが、しっかりと普通種の観察があってこそ珍鳥の観察に繋がることでしょう。

 

普通種の観察記になると四方山話が多くなりがちですが、また近いうちに何種か纏めてご紹介できればと思います。

 

本日の観察日記はここまで。