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2021年5月13日 24/11℃ 晴れ

 

 

 

 

前回の続き。

 

連休期間中は様々な環境で観察を行いましたが、前回の日記では公園や森林の様子を更新しました。

 

残念ながらお目当てとなる鳥は見ることができなかったものの、林の水溜まりへ飛来するイスカの群れをじっくりと観察。

 

 

第2弾となる今回の日記では農耕地で見ることのできた鳥について観察記を綴りたいと思います。

 

 

連休前半は生憎の空模様が続き、徒歩での探鳥を出来ない時間帯は農耕地を巡回。

雨の降りしきるなか田んぼではノビタキが活発に採餌を行っていました。

 

 

先月までは自宅庭にも姿を見せていたノビタキですが、現在はほとんど見られなくなりこちらの個体も間もなく北上していくことでしょう。

 

秋田で次に見られるのは稲刈りが始まる9月下旬頃。

 

 

前回の日記でもヒタキ類の行動について少しだけ触れましたが、この様に僅かな高さでも彼らにとっては見通しが良くなるようです。

 

ノビタキを暫く眺めていると天候が回復したのでジシギ探しをしてみることに。

 

何羽か確認できたもののいずれも距離が離れていたので、近くで観察できそうな個体を探していると畔に沿うように移動しながら採餌するタシギを見つけることができました。

 

 

徐々にこちら側へ向かってきていたので粘り強く待ってみましたが、あと少しというところで立ち止まりUターン。

 

間近で見れることを期待しただけに残念・・・

近年ジシギ好きが高じてじっくりと観察させてくれる個体と出会うことができれば一日中見ていられる自信があります。

 

 

警戒させてしまうことを承知の上で、車を降りて畔から回り込むと直ぐに伏せるような姿勢に。

 

存在に気付いているからこそ撮影できましたが、潜んでいそうな場所で「探してみよう」と思っても、遠くに居る個体ほど見つけることができても近くに居る個体ほど気付けません。

 

 

人の気配を察知すると身を伏せて動かなくなってしまうため飛ばれて存在に気付くケースがほとんどです。

 

タシギを観察した後に見かけたのはホオアカ。

 

 

こちらは夏鳥として渡来しますが年々個体数が減ってきているように思います。

以前は農耕地を巡回していると当たり前のように見られていたのですが・・・

 

 

初日は自宅周辺で観察を行いましたが翌日3日は少し足を伸ばして秋田市以北の地域へ。

この時期は田起こしを終えた田んぼに水を張る頃で、田んぼでは淡水域に生息するシギチを見ることができます。

 

例年であればシギチを観察するため田んぼを巡回しますが、今年は趣向を変えてツメナガセキレイを探してみることに。

 

過去の観察例や県外での観察経験を元に考えてみると、ツメナガセキレイは湿地帯を好む傾向にあると思います。

 

 

こちらは嘗てGW期間中に自宅近くで見つけることができたマミジロツメナガセキレイ。

 

 

雪融けが一気に進み増水した川から水が逆流することで農耕地が冠水し、湿地状になった田んぼで4羽見ることができました。

 

まだ秋の渡りのシーズンも水張り休耕田でマミジロツメナガセキレイを観察した経験があります。

 

 

この様にツメナガセキレイはシギチの渡来時期と同時期に秋田を通過するものと考え、水の張り始めた田んぼを巡回しツメナガセキレイの捜索を開始。

 

 

しかしながら世の中そんなに甘くはなく、全くもって見つけることができませんでした。

験担ぎに食べたカレーヌードルの効果は発揮できず・・・

 

ツメナガセキレイは見つけることができなかったものの同じセキレイ科であるタヒバリを複数見ることができたのが幸い。

 

 

他の地域では多く見られるようですが、秋田県では見る機会の少ない鳥に部類されると思います。

 

生息環境に地味な色合いがマッチすることで見逃してるケースも否めませんが、タヒバリは田んぼに居てもU字溝の蓋に乗っても景色の一部として絶妙に同化していました。

 

 

トコトコと歩き回って採餌をしており、何かを捕まえた瞬間を連写。

 

獲物は何かの幼虫でしょうか。

 

 

観察の最後には季節感を取り込んだ絵面にしようと植物と絡めて撮影させてもらいました。

 

 

タヒバリを観察した後も暫く田んぼを巡回していましたが思わず二度見したのはこちら。

 

5月に入ったというのにマガンの群れが田んぼに入っていました。

 

 

あちこちに群れが見られ、総数にすると300羽以上入っていたようです。

季節的には北海道の中継地点を離れていてもおかしくはない頃なので、今時期にマガンの群れが見られたことには大変驚かされました。

 

時間の経過と共に天候が回復した3日は、この時期の風物詩とも言えるユリカモメの群れを撮影しようと考え農耕地を移動。

 

 

水の張り終えた田んぼでは次の作業として代掻きが始まり、トラクターに群がるようにしてカモメ類が田んぼに集まります。

 

面白いことに秋田県内においても地域差があり、主に見られるのはオオセグロカモメ・ウミネコ・ユリカモメの3種。

 

こちらの3種のうち例年夏羽に換羽したユリカモメを撮影しているので今年もユリカモメが多く群れている田んぼを探し移動していたところ物凄い違和感を覚え急停車。

 

その際に撮影した画像がこちら。

 

 

田んぼに入るカモメ類は大多数が先に挙げた3種ですが、夏羽に換羽をした亜種カモメも少数見ることができます。

 

しかし私はこちらの個体を見て直ぐに亜種コカモメを疑いました。

ちょうど同じ田んぼにウミネコも入っていたので比較できるよう謎カモメと絡めて撮影。

 

 

最も大きかった違和感は体つきで亜種カモメに比べてると丸い印象を受けました。

また嘴も亜種カモメと比べると長さも太さも異なるように見え違和感しかありません。

 

しかしそれだけでの同定は不可能なので、決定的な識別ポイントとなる外側から3枚目の初列風切(P8)をしっかりと確認できるよう観察を開始。

 

 

しかしここでアクシデント。

 

不意に現れた農家さんを警戒して謎カモメだけが飛び立ちあらぬ方向へ。

肝心要となる飛翔時の撮影は失敗・・・

 

暫く捜索を続けましたが見ることができたのはムナグロの群れ。

 

 

残念ながら謎カモメを再び見つけることはできず迷宮入りとなってしまいました。

あのカモメは一体何者だったのか・・・

 

気持ちがモヤモヤしたままこの日の観察は最後にタカブシギを見て終了。

 

 

連休期間中に観察を行った農耕地の様子はここまでとなりますが、所感としてシギチの激減を肌で感じるものとなってしまいました。

 

年々減少傾向にあることは以前もお話しましたが、今季は異常とも思える少なさで近い将来シギチ自体が珍鳥になってしまう日が来るかもしれません。

これは大袈裟な話ではなく、そう感じてしまうほど渡来数が激減していました。

 

暗い話になってしまいましたが、何故この様な状態になってしまったのか今一度考えてみる必要がありそうです。

 

 

次回は気分を変えて海沿いでの観察記を公開しますが、そちらについては写真の整理ができ次第更新したいと思います。