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2021年6月27日

 

 

 

 

今回の日記はヨシゴイの観察記。

 

前回の日記ではコシアカツバメについて記述しましたが、ヨシゴイも私にとって観察の欠かすことができない夏鳥の一種です。

 

毎シーズン観察を行っていることから説明は重複してしまいますが、今季初観察ということもあり先ずは渡来状況の確認から。

 

 

ヨシゴイが活発に活動するのは早朝の時間帯。

少しでも良い観察ができるよう日の出と共に観察地へ赴くと水辺に自生した葦原から『オーッ オーッ』と複数羽の鳴き声が聞こえてきました。

 

しかしながら鳴き声は聞こえてもパッと見た目に姿は見当たりません。

 

時に目立つような場所へひょっこりと姿を現しますが、基本的には葦原の中に潜んでいるため観察をするには丹念にチェックを重ねる必要があります。

 

 

間違い探しをするような感覚で葦原をチェックしていると、葦の隙間からこちらを凝視しているヨシゴイを発見。

 

 

この様な形で対峙した時、相手との距離にもよりますが行動は個体によって大きく異なります。

 

直ぐにその場を飛び立つこともあれば、葦を伝い歩き姿が見えなくなるような場所へ移動する時もあり、場合によってはその場から動かずこちらの動きを探るような時も。

 

 

真っ正面を向いてこのポーズをしている時は擬態をしている時であり、この様にしてその場をやり過ごそうとしています。

 

こちらとしては探して見つけている訳ですから滑稽な姿に見えますが、ヨシゴイは自分の存在に気付かれないよう本能的に擬態をしていることでしょう。

 

ヨシゴイの存在を知らない人であれば気付かず素通りしてしまう、そんな場面。

 

 

暫く様子を見ていると擬態を止めたヨシゴイはそそくさと葦の密集した場所へ移動してしまいましたが、複数の個体が潜んでいるようで葦がガサガサと大きく揺れていました。

 

特に大きく揺れが見られた場所があり、そちらで待機していると雌雄揃って表立った場所へ。

 

 

上に写る個体が雌で下に写る個体が雄。

見分け方は簡単で雌は頸~腹部にかけて縦縞が5本見られ、雄の頭頂は青みがかっています。

 

雄が潜り込み姿が見えなくなると再び葦が不自然に揺れ始め、葦を折るような音が聞こえてきたことから巣作りをしていることが推察できました。

 

ヨシゴイは葦が密集した場所に営巣するため、巣の様子を見て取ることはできませんが繁殖の準備段階だったようです。

 

巣作りは専ら雄が行うのか雌は目立った場所でその様子を見守っているようでした。

 

 

そんな傍ら水辺を行ったり来たりする個体も見られ、暫く観察を続けることで見えてきたのは今季こちらの場所へ渡来した個体数はおよそ8羽ほど。

 

全ての個体がペアになるとは思えませんが、それなりに今季も繁殖することが見込まれます。

 

 

繁殖の妨げにならないよう営巣の準備に入っていたペアとは距離を置き、他の個体の動向を探っていると葦に掴まり周囲の様子を見渡している個体を見ることができました。

 

頸を潜望鏡の様に伸ばし最もヨシゴイらしい姿だと思います。

 

 

他にもこの様な個体が見られ観察を続けていると不意に飛び立ち水辺の中央付近に自生するコウホネの水上葉へ飛来。

 

 

掲載している写真からは伝わりにくいと思いますが、国内最小のサギ類であるヨシゴイは体重が軽いため、コウホネの葉に乗っても沈むことはありません。

 

 

昔の話になりますが交通事故に遭ったと思われるヨシゴイを回収したことがあり、埋葬する前に体重を計測したところ90gと軽く、葦を折ることなく掴まっていられることを納得できた記憶があります。

 

地域によっては蓮の葉の上を歩く“蓮ヨシゴイ”を観察できる場所もあるようですが、同じように水面に葉が浮かべるコウホネはヨシゴイの姿が見え難くなるのが難点。

 

葉の上を伝い歩き魚を捕まえたようでしたが、葉の陰になってしまい姿が見え隠れしていたのでそちらの画像は拡大して掲載。

 

 

普段隠れて暮らす鳥が表立った場所に出てくるといつも以上にカメラを向けてしまいます。

 

時に短い距離を飛んで移動することもあり、飛び立ちの瞬間も撮影させてもらうことができました。

 

 

次に掲載するのは別個体が葉の上を走って移動する場面。

 

意外にも俊敏な動きをすることがあるようです。

 

 

葉を移動しながら狩りをする個体を見ていると、いつの間にか目の前にもヨシゴイが。

 

 

いずれの個体も未だ放卵している気配は無く、今季の繁殖時期は例年に比べても遅くなっているようです。

 

最初に観察できたペアの繁殖が順調に進んだとしても雛が巣立つのは8月上旬頃になるでしょうか。

 

 

こちらの場所では増水の影響などにより暫く巣立ち雛を見ることができていないので今季は無事に繁殖することを願うばかり。

 

この環境が維持されているからこそ観察を楽しめていることから、変わらぬ自然に感謝しつつ今後も観察を続けていきたいと思います。

 

 

ヨシゴイの観察記はここまでとなりますが、ここからは先日嬉しい出来事があったのでそちらの話題を。

 

 

話は遡ること12日(土曜日)の午後、仕事先で慌ただしくしていると携帯電話に不在着信がありました。

 

確認してみたところ知人バードウォッチャーからの着信だったようで、仕事が一段落したところで電話をしてみたところ『ミゾゴイがいます』とのこと。

 

 

 

「・・・ミゾゴイ?」

 

突然降ってきた話に思考回路が停止。

 

事態を飲み込むまで数秒かかったような気がします。

 

去年は毎夜のように鳴くミゾゴイを一目見ようと頑張ってみましたが、半径5m以内まで近付けたものの結果的に姿を見ることは叶いませんでした。

それから一年が経過して千載一遇のチャンスが到来。

 

知人によると『メールで画像やマップを送ってあります』とのことで、早速メールを開いてみたところ・・・

 

 

「こ・・・これは・・・」

 

 

とんでもない画像を目にしました。

 

ミゾゴイと言えば低山の森林であったり、自然環境の少ない地域では都市公園などで見られることが一般的だと思っていましたが田んぼにミゾゴイとは・・・

 

 

私の知る限り秋田県内で画像が残されたのは2013年5月以来。

 

狙って観察することは困難なことから直ぐにでも現地へ駆け付けたい気持ちでしたが、ここのところ仕事が立て込んでおり【早退しないと腹痛が治らない病】を発症することができず。

 

 

しかし仕事先から次の仕事先までルートを変えると少々遠回りになってしまいますが情報のあった場所を通過できることが判明。

生憎カメラは持っていませんでしたが、課業時間が終了するまでに抜けてしまうことを考えると肉眼で見ておきたいと考えルートを変更することに。

 

情報のあった場所に到達というところで目に飛び込んできたのは、田んぼの畔にポツンと佇み誰も居ないのに擬態しているミゾゴイでした。

 

 

この時私が目にしたミゾゴイと酷似してるイメージ画像。

 

※画像の鳥はオオヨシゴイ

 

「一体1人で何をしている!?」と思わず吹き出しそうになりましたが、果たしてこのまま居てくれるものなのか・・・

 

一瞬ではあったものの実物を初めて見ることが出来たので後は残った仕事を片付け現地へ戻るのみ。

この様な時に限って仕事が詰まっており、些か焦りを感じながらも仕事を終えて現地へ戻ってみるとミゾゴイは未だ同じ場所に佇んでいました。

 

初めての観察ということもあり、どの程度距離を保つとよいのか分からなかったので先ずは証拠写真の撮影から。

 

 

車で徐々に近付いてみたところ初見の時と同じく擬態のポーズを見せました。

通りすがりに見たのは車を警戒していたのかもしれません。

 

 

車内からその様子を暫く見ていたところ警戒が解けたのか姿勢を変えて横向きに。

 

 

この姿勢になると全くと言っていいほど動きがなくなり、どうやら暫く前から休憩に入っていたようです。

お陰でミゾゴイの特徴をじっくりと見ることができました。

 

活発に動く様子も見てみたかったのですが、採餌を終えて満腹だったのかこれといった動きはなかったので別角度から撮影させてもらうことに。

 

 

課業終了後の観察ということもあり、あっという間に辺りは暗くなってしまいましたが、鬼門と感じていたミゾゴイを地元で観察できたことは何にも代え難い喜びです。

 

情報を寄せて頂いた知人には感謝しかありません。

 

 

今後観察できる日がいつになるのか想像もつきませんが、また出会えることを願い本日の観察日記はここまでとします。