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2022年 野鳥観察の旅 in 道東 (冬) ③

 

 

2022年2月12日

 

 

 

 

前回の続き。

 

日程2日目は今回の旅において楽しみの一つとしていた落石ネイチャークルーズの船で海鳥の観察を行いました。

 

沖に出て見られた海鳥はケイマフリが多く、私にとって目新しかったのはアリューシャンウミバト。

 

 

2時間半の観察はあっという間に終わり、その後はエゾフクロウの観察をして羅臼町へ移動しました。

 

 

日程3日目は旅のメインイベント、船上から見る流氷と海鷲の観察です。

 

実は一年前にもこの旅を計画していましたが旅行自体旅中止となった経緯があり、一年越しで無事この日を迎えることができました。

 

一番の気掛りだったのが流氷の動向。

今季は秋田県も含め北日本は荒れる日が多く、お天気も心配でしたが流氷の動きも重要です。

 

流氷は潮の流れや風向きによって刻々と状況が変わることから必ず見られるものではないのだとか。

 

この日の天気予報は曇りで風は穏やか。

後は流氷が接岸しているかどうか..

 

 

宿を出て羅臼港を目指したところ、橋から望む海側の景色は一面流氷に覆われていました。

 

嬉しさ爆発で血圧は急上昇。

心なしかヒグマも喜んでいるように見えます。

 

 

羅臼港周辺から海の様子を改めて確認してみたところ観光船や漁船がいっぱい。

 

私が予約するエバーグリーン号も確認できました。

背景に写るのは泳いで渡れる国後島。

 

 

流氷の上に佇むオオワシやオジロワシの数は想像以上でこれほど依存性が高いのかと驚き。

 

流氷と海鷲を観察する観光船は幾つかありますが、料金や内容としてはだいたい同じようです。

 

8時頃、早朝に出航した船が港へ戻ってきました。

 

 

早朝便と呼ばれるコースは午前5時半頃に港を出航し、国後島から昇る朝陽を見ながら幻想的な雰囲気で流氷と海鷲を観察できるそうです。

 

私は早朝便と午前便の2便を予約していましたが、この日は曇り空で日の出が見られそうもなかったことから早朝便はキャンセル。

※前日までのキャンセルは無料。

 

 

9時出航の乗船を前に手続きをしようと港へ降りてきた係の方に声を掛けると『手続きの受付は道の駅の裏側で』とのこと。

 

おそらく乗船の手続きについてはホームページにしっかりと記載されていたはず。

私としたことがとんだドジを踏みました。

 

幸い時間に余裕があり港と道の駅は徒歩圏内であったことから無事に手続きを終えて後は出航時刻を待つのみ。

 

 

定刻に港を出てると流氷の隙間を縫うようにして船が進みました。

 

流氷の上にはオオワシやオジロワシがいっぱい。

 

 

流氷が密集する場所へ到着すると船は止まり給餌が始まります。

 

船首に構える係の方が餌となる魚を放り投げると、オオワシやオジロワシが近くに集まり始めました。

 

 

オオワシやオジロワシは羅臼町の山肌に自生する樹木や流氷に止まり羽を休めていますが、給餌が始まるとあちこちから寄って来ます。

 

船上はシャッター音が鳴り響き撮影会状態に。

 

 

どの個体を撮るか、どのアングルで撮るかは人各々。

求められるのは個人のセンスとあって私に言えることはありません。

 

餌は人が放り投げるものなので飛距離にも限度があり獲物狙って飛来する個体との距離は否応なしに近くなります。

 

 

船は2階のデッキからも撮影可能でしたが私は終始1階から撮影を行いました。

 

そのため獲物に飛びつく場面は目線の高さとなります。

 

 

今回私が撮影に用いた機材はフルサイズのボディに500mmの単焦点レンズと、もう一台のフルサイズのボディに24-70mmのズームレンズの2台。

 

船上でレンズの付け替えは理想的ではなく当初は100-400mmのレンズ1本で挑む予定でしたが、悩みに悩んだ結果2台構えとなりました。

 

 

実際に体験をしてみて言えることはレンズ選びに正解がないということ。

しかしながら撮影を重ねて思ったのは望遠のズームレンズがあったら便利だったなというのがこちらの場面。

 

距離が近過ぎて単焦点の望遠レンズでは翼が切れてしまいました。

 

 

至近距離で撮れているため迫力があるという見方もできますが個人的にはちょっと残念。

 

船上からの撮影は動ける範囲が限られることから単焦点では思ったような構図を作ることが出来ないことも多く、そう言った意味で望遠のズームレンズがあればマルチな活躍をしてくれることでしょう。

 

 

しかし単焦点が持つ解像度のキレというのもありますし、其々レンズは一長一短。

色んなレンズで撮影してみたいと思わされました。

 

私のようなズブの素人の言うことですから何の参考にもなりませんが短いズームレンズで撮影した画像も掲載。

 

 

大きく撮ると何処で何時撮影しても同じような画像になってしまいますが、風景を取り込むことで場所の違いや季節感を出すことができます。

 

国後島を背景に。

 

 

船は時々場所を変えながら給餌を行いますが、一時間も経つとワシの動きが鈍くなったような..

 

おそらく早朝から給餌が行われていた為、既にお腹いっぱいだったのでしょう。

 

 

素嚢が膨れあがった個体が多くこれ以上の餌を必要としていないようでした。

このことから餌を巡って見られる激しい争奪戦は早朝便の方が高確率かもしれません。

 

ここでWeb上ではあまり見られない餌が写った画像を掲載。

野鳥とはいえ餌付けで見られるものとあって餌が写った画像はあまり見掛けないように思います。

 

敢えて載せようと思う私はひねくれものなのかもしれません。

 

餌は冷凍されているお魚。

 

 

時間の経過と共に激しいシャッター音も鳴り止み、皆さんスマホで撮影したり肉眼での観察したりとゆったりとした時間に変化していました。

 

高揚していた気持ちもだいぶ落ち着いたところで幾つか動画を撮影。

 

先ずはズームレンズの動画から。

 

 

続いて単焦点レンズの動画。

 

 

曇り予報だったはずが良い方向に予報はハズれ陽射しの照り付ける時間も多くなりポカポカ陽気に。

 

今回は天気に恵まれたことと風が穏やかであったことから呑気に撮影を楽しめましたが場合によっては死ぬほど寒いはず。

 

 

落石ネイチャークルーズを含め、真冬の船上で観察をするにあたり私の防寒対策は以下の通り。

 

・耳まですっぽりと覆える厚手のニット帽

・手袋は薄手と厚手の2枚重ね

・上半身はダウンジャケットの上に防寒ジャンパーの重ね着

・下半身は極暖の肌着にジーンズの上に防寒ズボン

・足は底冷えしないよう防寒靴に二重の靴下

 

道東の海沿いは内陸ほどの冷え込みはないとは言え寒いことに違いはありません。

 

参考までにこの日の羅臼は-7℃でしたが予報を見ると-10℃以下まで冷え込むこともあり、風の状況によっては極寒の体感となることでしょう。

 

 

真冬の羅臼町で観光資源となっている流氷と海鷲の観察はここまで。

港へ戻る途中は船が進む様子を動画で撮影。

 

 

給餌に対しての依存など様々意見もあるようですが、実際に体験してみた感想としては「もう少し給餌の量を減らした方がいいのでは?」と思いました。

 

今季道東では鳥インフルエンザによって落鳥している個体も多く確認されていたことから、過密な状態を避けた方がよいと考えます。

この日見える範囲で確認できたオオワシとオジロワシは350羽ほどとのことでした。

 

 

港へ戻ってからは道の駅直ぐ横の売店でご当地名物を頂くことに。

 

ホッケフライバーガー。

 

 

食した感想は「うまい!」その一言。

モスバーガーやマクドナルドのフィッシュバーガーより断然美味しい。

 

この頃になると青空の範囲が広くなり、羅臼町を離れる前に改めて流氷を眺めてみました。

約25km先の国後島を眺めつつ記念撮影。

 

 

午後の時間の使い方は未定でしたが、羅臼町から海沿いを南下し再び野津半島へ行ってみることに。

 

羅臼港から野付半島までの所要時間はおよそ一時間半。

 

 

野付半島へ着いて直ぐ、目に入ったのはエゾシカの決闘。

 

 

決闘とは言っても死闘と云うような激しいものではなく、ツノとツノをゆっくりと絡ませてからお互いを押し合う力比べのようなもの。

 

 

ツノとツノがぶつかる時には『カラン カラン』といった乾いた音が響き、初めて目にする光景に興味津々。

 

その様子を動画でもと思い録画を始めて間もなく、観光客が車を降りて撮影を始めたことから決闘はやむ無く中断。

そのため動画は短いものに。

 

 

この時何気なく海側に目を移すと水面には白と黒の帯状に見えるものが。

 

白く見えるのは国後島に接岸した流氷で、黒く見えるものはヒメウの群れでした。

 

 

暫し眺めていると流氷の帯が動いているように感じ、目印になる物を決めて注視したところかなりの勢いでこちら側へ動いていることが判明。

 

羅臼で見られる流氷も潮の流れや風向きによってあっという間に流されてしまうこともあるそうですが、実際に流れる様子を目の当たりにして納得できました。

 

 

野付半島は日程初日と同様に依然として鳥が少なく、ざっと見て回りましたが小鳥は見当たりません。

 

ユキホオジロに限っては努力次第で見られるだろうと思い半島の先端まで徒歩での移動を覚悟。

 

その道中に遭遇したのはキタキツネ。

 

 

私の存在を気にすることなく餌を探しているようでした。

 

目の前を通り過ぎていきましたが、やはり餌をねだるような素振りはなく野付半島での餌付け禁止は浸透しているようです。

 

 

先端を目指し歩いてものの数分、背後からユキホオジロの群れが飛来。

 

なんという幸運。

せっかくのチャンスを逃さないよう大きく迂回して順光側から観察しました。

 

 

初日と同様に漁具やゴミの中に紛れ込むようにして採餌をしているようです。

 

半島先端に自生するハマニンニクを食べ尽くしてしまったのか、それとも雪に埋もれてしまったのか..

 

いずれにしても先端では餌が採れないことであちこち移動しながら採餌をしていることが伺えました。

 

 

秋田でもユキホオジロを観察することはできますが、雪景色のなかで見ることは滅多にないことから雪の上を移動する瞬間を狙って撮影。

 

何処かで水浴びをしてきたのか、水浴び後の羽繕いをする個体も見られました。

 

 

刻々と陽は傾きネイチャーセンターへ戻らなければならなかったのでユキホオジロの観察はここまで。

 

 

日没時刻まで夕焼けに染まる景色のなかエゾシカやキタキツネを見たりとゆっくりとした時間を過ごすことができました。

 

 

観察後はこの日の宿泊先である中標津町へ移動。

 

3泊4日の旅も翌日はいよいよ最終日ということで、道東最後の夜は花咲ガニのてっぽう汁を頂きました。

 

 

道東ではカニを入れた味噌汁を『てっぽう汁』と呼び、古くから根室地方の漁師料理として食べられてきたそうです。

 

食した感想として美味しいのは勿論のこと、とにかく濃厚。

お寿司で頂いた時もそうでしたが、花咲ガニは特に味が濃いのかもしれません。

 

この日は五感を使って北海道を満喫した、そんな充実の一日でした。

 

 

翌日は道東を離れるまで短い時間でしたがタンチョウを観察。

そちらの様子は後日更新の日記へ続きます。