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2022年2月14日

 

 

 

 

今回の日記は先月30日の観察分から。

 

この日はまたもや寒気に覆われ一日を通して氷点下の真冬日となりました。

 

朝から断続的に雪が降り観察には生憎の天候でしたが大潟村の積雪はどの様な状態にあるのか確認してみることに。

 

 

約1ヶ月ぶりに見る残存湖(八郎湖)は一部融解している場所も見られ周囲の田んぼも少しだけ雪融けが進んだようです。

それでもまだまだ例年に比べ積雪量が多く、ガン・カモ類の姿はほとんど見られず。

 

吹雪によるホワイトアウトが発生し「観察どころの話じゃないな」と海沿いの観察に切り替えようと思ったところ、目についたのはスズメの大群。

 

 

数が数だけに鳴き声も賑やかですが、この悪天候のなかで元気にしている姿を見て逞しさを感じました。

 

同時に逞しく生きる彼らを見た目通りに写真として切り取ることはできないものかと、同じ環境に身を置いて撮影を兼ねて観察してみることに。

 

 

騒々しいくらいに鳴き声を発していましたが、彼らはどの様な会話をしているのでしょう。

 

こちらの場所は冬季になるとチョウゲンボウやハイタカが現れることも多いため、群れることで的を絞り難くする効果もあると思います。

 

 

幾ら小鳥と云えどここまでの大群になると飛び立った際に聞こえる羽音は大きく迫力を感じました。

 

猛禽が現れると一斉に飛び立ち波打つように飛翔して危険を回避。

数が多いことで敵の急襲にもいち早く察知できるようです。

 

 

餌を採ることが難しいこの季節、もみ殻の山を掘り起こし僅かに残る米粒を探す様子も見られ行動の一つ一つに逞しさを感じましたが、自分の受けた印象を画像に残すことはやはり簡単ではありません。

 

 

そもそも写真に気持ちを乗せること自体難しいと思いますが、狙って撮影するよりも突発的な場面で偶然撮れた写真の方が臨場感に溢れると思います。

 

2時間ほど外でスズメを見ていましたが肝心な場面で吹雪かなかったりと、思うような写真を撮影することの出来ないまま天気は回復傾向に。

 

 

晴れた状態では逞しさを表現できないと考えスズメの撮影はここまで。

 

 

頻繁に雲の隙間から太陽が顔を覗かせるようになり村周辺を偵察。

相変わらず雪に閉ざされた場所が多かったものの、1ヶ月前に比べるとガンの数が多くなったと感じられる地域もありました。

 

そのほとんどはヒシクイですが時々ハクガンが飛んでる様子も見られ、どの程度の個体数を確認できるか重点的に捜索を開始。

 

あちこち巡回してみて分かったことは単独で見られる個体も多く、広範囲に分散していることが見て取れました。

 

 

大潟村周辺に居残り、この厳しい冬を乗り越えてきた個体かもしれません。

 

また少数は秋田県以南の地域から戻ってきた個体もいるでしょう。

 

 

しかしながら曾てないほど餌を採りにくい状態が続いているため普段見られないような場所に居る個体も多く、行動に関しても今までと違った様子を見ることができました。

 

 

僅かに雪の融けた田んぼで餌を採ろうとする個体がいる一方、人の気配を気にする様子もなく羽を休める小規模の群れも見られました。

 

 

この場面について説明するとヒシクイやマガンに比べるとハクガンは警戒心が緩いことに加え、群れの規模が小さかったことと今季の積雪量が関係しているのだと思います。

 

厳しい冬を乗り越えるため無駄にエネルギーを消耗しないようにしていることが伺えました。

 

この様な場面はあちこちで見られましたが、他の個体が休んでいても1羽だけ周囲の様子に気を配る個体が居るのは習性によるものだと考えます。

 

 

場所を変え他の個体群を探していたところ突然目に飛び込んできたのは用水路の中で餌を採っていたハクガン。

 

これも今までに目にしたことのないケース。

 

 

この場所は車通りだけではなく人通りも多く、直ぐそばには民家も立ち並んでいます。

 

幾らハクガンの警戒心が緩いとは言え、生きるために形振り構っていられないといった様子が伺えました。

 

 

1羽が用水路の中に入って採餌をしているともう1羽も降りてくる様子が見られ、観察を続けていたところ何処からともなく別個体が飛来。

 

 

目の前に飛来してくる様は本当にお構い無しといった状態です。

 

飛来した個体も用水路に入ると3羽で採餌をする様子を観察することができました。

 

 

水路脇に生えた草を貪るようにして食べています。

 

3羽とも私の方へ近寄って来ましたが餌を採ることに夢中といった様子。

厳しい冬だからこそ見られたシーンといっても過言ではないでしょう。

 

 

時には水を飲む場面も。

 

 

二度と見ることのないシーンなのではと思い、貴重な記録としてその様子を動画でも撮影しました。

 

 

時々用水路から上がって休憩を取ることもありましたが、私が観察を続ける間は餌を取る時間がほとんどだったと思います。

 

田んぼで採餌をすることが通常の為、こうした形で観察することによりハクガンの持つ餌や水の要求量を知ることができたのは私にとって良い経験となりました。

 

 

2月に入り北帰行が始まり秋田市上空を北上するガンの群れを目にするようになりましたが、今朝北上した群れもお昼頃には再び南下したようです。

 

おそらく中継地となっている大潟村が未だ雪に閉ざされている状態を見て引き返さざるを得なかったのでしょう。

 

 

例年であれば大潟村が賑やかになってくる頃ですが今季はまだ少し先のようです。

今後この積雪がガンの北帰行にどのような影響をもたらすか注視したいと思います。

 

本日の観察日記はここまで。