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2022年2月7日

 

 

 

 

早いもので新年を迎えてから1ヶ月が経過しました。

 

この1ヶ月を振り返ってみると秋田県は悪天候の日が多く、平年より積雪量の多い状態が続いています。

 

その影響もあってフィールドは未だ雪に閉ざされたまま。

野鳥観察は困難な状況にありますが、今回は敢えてこの状況を活かし普段なかなか目にすることのできない鳥を探してみることにしました。

 

 

今回お目当てとした鳥は半夜行性で警戒心が強いとされるクイナ。

 

昨季もこの時期に観察をしましたが、本県で見られるクイナは謎が多く生態については詳しく分かりません。

 

その点について記載した観察記は下の画像をクリック。

※昨年の観察の様子を見ることができます。

 

 

今季も越冬個体が見られるのか、はたまた空振りに終わるのか、特に当ての無かったこの日はダメ元で探してみることにしましたが、クイナが生息する環境も雪が深く膝丈まで埋まるほどでした。

 

葦原の広がる水辺も雪に閉ざされていましたが所々に凍ることなく水の流れる場所があり、僅に雪の融けた部分が観察の狙い目。

 

雪深いこの時期は生息する範囲が狭まり、観察することの難しい本県においても遭遇率が上がります。

 

 

今回の観察場所に選んだのはこの様な環境。

 

 

見ての通りパッと見た目には雪に埋もれたただの藪。

手前側は僅に雪が融けており、奥まった場所は少しだけ水の流れがある環境です。

 

来てみたところでこの場所で見られるのかは分かりません。

そこで始めに行うのは生息の確認から。

 

特に難しいことはなく寒空の下、ただひたすら待つだけ。

観察力よりも根気勝負。

 

但し藪が混んでいるため視認性が悪く集中力を切らさず待つ必要があります。

 

 

待つこと約1時間が経過..

全くと言っていいほど出てくる気配無し。

 

この場所には生息していないのかと場所を移動しようとしたところ、最も奥まった所から黒っぽく見える鳥が水辺に出て来る姿を目にしました。

 

動きの特徴と大きさから間違いなくクイナと判断。

後は少しでも開けた場所に移動してくれることを待つだけ。

 

藪が混んでいてなかなか動向が掴めず難儀させられましたが、先ずは藪の隙間から証拠写真を撮影。

 

 

こちらの画像、簡単に撮影したものではなくピンボケ写真を量産したなかで唯一それらしく写すことのできた画像です。

 

あまりにも藪が混んでいるためAFは全く役に立ちません。

更に言うと三脚を立てる状態にないことから手持ち且つMFでの撮影になります。

 

 

証拠写真の撮影ができたところで動向を注視していると奥まった場所から水辺の縁に沿うようにして移動してることが見て取れました。

 

餌を探しながら移動しており徐々にこちら側へ歩いてきたので葦の隙間から撮影を試みます。

 

 

警戒心の強い鳥とされていますが藪が混み葦も生えているせいか距離としてはかなり近くまで近寄ってきました。

 

この環境がこの場所に生息するクイナにとって安心感を与えているせいなのかもしれません。

 

肉眼では手に取るように見えても撮影となると幾ら連写したところで残った画像は悲惨なものばかり。

 

そのため掲載している画像は偶然撮れたものを並べているだけ。

 

 

行動のパターンとしては必ず奥まった場所から現れ、水辺の縁を沿うように移動しながら採餌をして同じルートを戻って行くということが判明しました。

 

 

葦原の奥へ姿を消した後の行動については全く分かりません。

 

身を隠して休憩しているのか、奥にも餌場となるような場所があるのか分かりませんが長い時で2時間ほど姿の見えない時間もありました。

 

 

丸一日出待ちをするなかで『クイーッ』という鳴き声を聞くこともできましたが、とても満足できる内容ではなく翌日も懲りることなく出待ちをしてみることに。

 

前日と同様の行動パターンで採餌をしており直ぐ目に前までやって来ます。

 

 

あと少し手前に出てくれると葦の陰になることなく観察できますが、開けた場所に出て来ることはなく寸前のところで必ずUターン。

 

残念な気持ちがある反面、考え方によっては観察の難しい環境であるからこそ近くまで寄ってきている可能性もあるでしょう。

 

また観察を続けるにあたり図鑑に記載されるような半夜行性という生態については必ずしも当てはまるものではないと感じました。

 

不定期ではありますが両日共に何度も姿を見せていましたし、日射しのある時でも活発に採餌をしていたことから活動時間は個体によって異なると思います。

 

 

連写画像。

 

 

2日目の観察では鳴き声を耳にして間もなく、別の個体が突然現れる場面も。

 

雪原を走る姿を目撃して慌ててカメラを構えましたが、あまりの速さにピント合わせが間に合いませんでした。

 

 

葦の混み合った場所を縫うようにして駆けて来ると私が観察していた場所へ進入し、観察を続けていた個体に威嚇されていたことから縄張り意識が強い鳥なのかもしれません。

 

後からやって来た個体は雪の上で採餌を始めた為、落ち着いたタイミングを見計らって撮影。

 

 

こちらの個体、葦を頻りに突っついており葦の中に潜む虫を食べているようでした。

 

この様な方法でも採餌をすることに意外性を感じましたが、肝心の場面は撮影の難しい状態にあり画像に残すことができなかったのは残念。

 

ここで撮影できたのは葦に掴まりながら採餌をしていたオオジュリン。

 

 

エナガも葦原で採餌をしていました。

 

 

雪原で採餌をしていた個体が一度だけ開けた場所へ出る場面があり、やっと全身を撮ることができると思いきや開けた場所へ出た瞬間突然のダッシュ。

 

まるでターボが掛かったように駆けていきましたが、やはり開けた環境は落ち着かないようです。

 

そのため画像に残すことができるのは葦の隙間から見え隠れする姿のみ。

 

 

しかしこれが本来あるべき姿なのでしょうから自然な写真と言えるのかもしれません。

 

綺麗に全身を撮影するためには葦を切るなり折るなりすると見映えの良い写真を撮ることはできるでしょう。

 

確かに手っ取り早い方法ですがそれをしてしまうと寒空の下、二日間も我慢した意味が無くなってしまいます。

 

私は研究者でもありませんし、趣味の範疇で観察を楽しんでいるだけの人間ですから自己満足の為に生息環境に手を加えることはしませんでした。

 

 

同じ鳥であっても地域によって行動も警戒心も異なる場合があります。

 

Web上で見られるクイナは開けた場所に出て観察される例も多く、やはり地域性の違いを感じさせられました。

 

単純に画像を見るだけで全てを判断できるものではありませんが季節によっても行動は変わってくるでしょう。

 

 

クイナについてはまだまだ分からないことが多く、これから少しずつ生態に迫っていけたらと考えています。

 

繁殖期の行動など今までと違った観察ができれば再び観察記として公開したいと思います。

 

 

本日の日記はここまで。