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2022年 野生動物観察の旅 in 道東(春) ③

 

 

前回の続き。

 

日程3日目は大雨ということもありどの様にして一日を過ごそうかと悩まされましたが、気持ちをポジティブに切り替えドライブがてらタンチョウとエゾシカを観察することに。

 

鶴居村までの道中におよそ20羽ほどのタンチョウを見ることができ、小雨になったタイミングを見計らって撮影も楽しみました。

 

 

鶴居村へ到着してからの予定はノープランだったものの、思い付きで海沿いまで南下すると想定外のラッコに遭遇。

 

生憎のお天気でしたが様々な生き物を見ることができ思いがけず楽しい一日となりました。

 

 

 

2022年5月29日

 

 

3泊4日の旅行もこの日が最終日。

 

13時35分中標津空港発の便に乗るため空港へは12時半頃に着きたいところ。

 

それまでの時間を有意義に過ごす為にはどうしたらよいものかと思案した結果、中標津町の公園巡りをして小鳥の観察を計画しました。

 

始めに足を運んだ公園は宿泊先から3分の距離。

公園へ着いて目にしたのは風に煽られ大きく揺れる木々でした。

 

旅行初日から風の強い状態は依然として続き、これでは良い観察が出来そうにもありません。

 

 

ここでふと思い出したのが前日遭遇したラッコの存在。

「小鳥がダメならラッコはどうだ」と急遽予定を変更して海沿いを目指しました。

 

同じ場所で見られるか見当もつきませんでしたがダメで元々。

 

目的地へ到着し海を覗き込むと...

 

 

波に揺られるラッコが水面に浮いていました。

 

どうやら寝ている様子。

両手を胸の上に置いて寝ている姿は人間そのもの。

 

 

暫くその様子を見ていると突如伸びの姿。

アテレコを入れるならば『あ~、よく寝た』といったところでしょうか。

 

 

伸びの格好まで人間のようです。

 

ここまで人間のような仕草を見せることに驚きよりも笑ってしまいましたが、体を弓形にすると勢いよく潜水。

 

 

浮上すると手にはホタテ貝のような物が。

採餌の為の潜水だったようです。

 

 

前日は巻き上げてくる波飛沫の影響で束の間の観察でしたが、この日は風こそ強かったものの波飛沫が飛んでくることはなかったのでじっくりと観察。

 

背泳ぎで貝を食べる姿はラッコのイメージ通り。

 

 

食べては潜水を繰り返しなかなかの大食漢であるようです。

 

浮上すると貝を2つ3つと抱えてくることもあり種類も様々でした。

ホタテ貝、ホッキ貝の他にバフンウニのような物も食べておりなかなかの食通。

 

 

こちらは貝ひもを食べる場面。

 

 

咥えて引っ張っるだけではなく器用に手を使うこともあり採餌の姿は見ていて飽きません。

 

 

単に写真を撮るだけではなく色んな行動を観察することができ、こちらへ来て良かったと喜んでいたところ『チッチッ チッチッ』といった具合に付近からホオジロ類の地鳴きが聞こえてきました。

 

単調な鳴き方でキーは高め。

ホオジロでないことは確かなのですが直ぐそばから聞こえているはずなのに姿は見えません。

 

再びラッコに視線を移したものの鳴き声が気になります。

 

再度周囲を見渡してみると..

 

 

まさかのシロハラホオジロ。

 

 

これには驚きました。

 

例年この時期に北海道を通過しているのか分かりませんが、こんなにも開けた環境に姿を見せるという行動に驚きを隠せません。

 

 

シロハラホオジロと言えば藪からたまに出て来るようなイメージ。

まるでホオジロのように大胆な行動を見せるとこちら側へ。

 

 

今度は木柵の下を行ったり来たり。

 

少しシロハラホオジロのイメージに近くなりましたが不意に飛び出すと間近で採餌を始め更に驚き。

 

 

羽の特徴から雌のようですが個人的に2度目の観察ということもあり詳しいことは語れません。

 

予期せぬ出会いに嬉々としていたところ風に煽られるように大きく移動してしまい観察できた時間はものの数分でした。

 

 

探して見つかるような状況ではなかったため再びラッコの観察を始めるとシャンプーをするように頭をゴシゴシ。

 

 

次に見せたのは顔をマッサージするような姿。

 

 

当時、一体何の為の行動なのか分かりませんでしたが「中に人が入っているんじゃないのか?」と思うほど人間のような行動のオンパレードに笑いが止まらず。

 

後日この行動について調べてみたところ一連の行動は体毛の中にある空気の層を保つ為なのだとか。

 

ラッコは体温を保つためびっしりと体毛が生えており丁寧なお手入れは欠かせないようです。

 

また手のひらに毛が生えていないことから睡眠時に胸の上へ手を置いくのは手が冷えないようにしているのかもしれません。

 

 

ラッコを観察しているとゼニガタアザラシも登場。

 

 

何でもアリの北海道。

 

 

暫く観察を続けていたところ地元の方が声を掛けてくださりラッコに纏わる色々なお話を聞かせてもらうことができました。

 

こちらでは赤ちゃんを抱っこしたラッコのお母さんが見れるとのことでしたが、この日は波の影響があり『現在は沖の方へ移動しているようだ』というちょっと残念なお話。

 

 

しかし前回のパターンを考えると10時半頃に戻って来るかもしれないというお話もあったことから、一端トイレ休憩の為にその場を離れました。

 

 

最寄りの公衆トイレを目指していたところ聞こえてきたのはノゴマの囀り。

 

ふと見ると電線に止まるノゴマが強風に煽られながらも元気に囀っていました。

 

 

人や車の往来を警戒する様子もなく囀っていたことから、スマホで動画撮影をしてみたものの拾っていたのは風の音ばかり...

 

しかし周囲では沢山のノゴマを見ることができ条件良く撮影を楽しむことが出来ました。

 

 

秋田県で見られるのは渡り期に限られており、ほとんどは藪の中にいる姿です。

 

 

繁殖地ならではの姿とは云えどうしてこんなにも行動が変わるのか。

 

 

高密度に分布していると縄張りの競合など疑問に思うことが多々あります。

 

 

北海道の生き物全般に言えることですが、対峙する距離が近いため観察するにあたって羨ましく思えることばかり。

 

 

風に煽られるながらも縄張りを主張するかの如く懸命に囀る姿が印象的でした。

 

 

北海道マジックを楽しんだところでトイレを済ませラッコの様子を見に戻ると...

 

 

『一足遅かった!』

 

開口一番、地元の方から発せられた残念な言葉。

 

なんでも今し方ラッコの親子が戻ってきたとのことでしたが高波を避けて内側の見えない位置に隠れてしまったそうです。

 

バードウォッチングにおいてもよくある話ですが、諦めきれず崖の上から眼下を覗きこむとまさかのラッコの親子を確認。

 

 

幸運にも再び見える位置に出てきたことで赤ちゃんラッコと初対面。

 

お母さんラッコが赤ちゃんラッコを抱っこしています。

 

 

地元の方のお話によると『赤ちゃんラッコは少し泳げるようになっている』とのことで、お母さんラッコが赤ちゃんラッコを放す場面が見られました。

 

故意によるものなのか偶然なのかは分かりませんが、確かに赤ちゃんラッコは背泳ぎをしていました。

 

 

お母さんラッコが赤ちゃんラッコを再び抱えた場面を見たところでタイムアップ。

 

 

最終日は小鳥の観察から転じてラッコの観察へ予定を変更しましたが、蓋を開けてみれば想定外のシロハラホオジロ、沢山のノゴマ、ラッコの親子、おまけのゼニガタアザラシと短い時間ながらも充実の内容となりました。

 

今回の旅は天気に恵まれずなかなか思うような観察はできなかったものの、振り返ってみれば初日と最終日は濃い内容だったと思います。

 

 

まだまだ見たい生き物、見たい景色がいっぱいの北海道ですが道東は近いうちに再訪の予定有り。

 

今度こそ計画通りに物事が運びますように...

 

 

2022年 野生動物観察の旅 in 道東(春)はこれにておしまいです。