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2022年6月20日

 

 

 

 

本日更新する日記はヨシゴイの観察記。

 

日本へ夏鳥として渡来するヨシゴイですが今季は今月5日に第1回目の観察を行いました。

 

この日はノジコの分布域を調べるため大半の時間を割いたことからヨシゴイの観察に当てたのは早朝と夕方の時間帯。

今季初めての観察ということもあり先ずは渡来状況の確認から。

 

広く見渡せる場所から繁殖地の様子を眺めてみると雄のヨシゴイ2羽を発見。

 

 

こちらの2羽、どちらも雄の個体ですが縄張り争いなのか雌を巡っての争いなのか嫌悪な雰囲気。

 

かと思えば仲良さそうに飛ぶ姿も見られ関係性が気になります。

何はともあれ渡来を確認する上で幸先の良いスタートとなりました。

 

 

暫く繁殖地の様子を眺めていると例年に比べ個体数が多いように感じ、ひっきりなしに葦原を飛び交う姿を確認。

 

例年こちらの場所では3~4ペアの繁殖を確認していますが「今季は5~6ペアの繁殖が見込まれるのでは?」といった状況でした。

 

 

個体数の減少が言われている種とあって、このように渡来数の増加を確認できたことは嬉しい限り。

 

おおよその数を確認できたところで本格的な観察を開始。

観察と云っても普段は葦原の中へ潜んでいることから、どの様な姿を見ることができるのか見当もつきません。

 

運要素も絡む観察となりますが、私にとって”隠れる“という生態こそが魅力の一つ。

 

こちらの個体は葦の隙間から周囲の様子を伺っているようです。

 

 

掲載した写真のように間違い探しのようなケースもありますが、時には表立って姿を現すケースも。

 

「この辺に出るかな」と山を張ってジッと待っているとガサガサと音を立てながら不規則に揺れる葦にヨシゴイが動く気配。

 

間もなくしてヨシゴイが姿を見せました。

 

 

活発に動く時間帯を狙えば然程苦労することなく姿を見ることができます。

 

姿を見る頻度、観察の内容についてはその時々で異なりますが運が絡むこともまた面白さの一つでしょうか。

 

 

ここで一旦観察を終えてノジコの観察へ繰り出した為、再びヨシゴイの観察を始めたの夕方から。

 

早朝とは別の繁殖地へ行ってみると葦に掴まり目立った場所に出でいるヨシゴイの姿が。

 

 

ガニ股で葦を掴み周囲を見渡す姿も魅力の一つ。

 

国内で見られるサギ科の鳥としては最小種とあって体重は驚くほど軽く、ヨシゴイだからこそできる芸当です。

 

 

葦が揺れることで姿が見えなくとも何処を移動しているのか見当はつきますが、必ずしも表に出てくる訳ではなくオオヨシキリに騙されることも屡々。

 

オオヨシキリもヨシゴイと同じように葦原で繁殖することから、この日は繁殖中のオオヨシキリにヨシゴイが威嚇される場面も見られました。

 

 

葦原に潜んでいるという生態も然ることながら、魅力の一つとして挙げたいのは伸縮性のある首。

 

 

首を縮めている姿と一変して妖怪『ろくろ首』を思わせる姿は何ともアンバランス。

この不恰好さもまた私にとっては魅力的に感じます。

 

 

この伸縮性のある首は周囲の状況を見渡す際に潜望鏡のような役割を果たしており、葦原からニョキッと顔だけ出している姿も見られます。

 

元々サギ科の鳥が好きなことに加えて、野鳥を観察するにあたって隠れて暮らす鳥に魅力を感じる私にとってヨシゴイは正にうってつけの存在と言っていいでしょう。

 

 

生態・姿形だけではなくユニークとも思える行動に見ていて飽きることはありませんが、この鳥の魅力を活字で伝えるのは難しいものです。

 

加えて私の陳腐な語彙力では言えば言うほどに本来伝えるべきところが伝わらなくなってしまう為、ヨシゴイの魅力についてはここまで。

 

 

今季初となる観察は陽の傾き加減を見て終了としましたが、第2回の観察は先週末の両日(11日・12日)に行いました。

 

ヨシゴイは薄明薄暗性の鳥であることから両日共に早朝の時間帯に観察を計画。

 

私がヨシゴイを観察するにあたって良い場面を見ることができるのは早朝~午前9時という印象を持っています。

 

特に晴れた日はその傾向が強く、出が悪くなったと感じると夕方頃までその状態が続くこともあり活動が活発になる早朝の時間帯に繁殖地へ行ってみると...

 

こちらの繁殖地にはコウホネという水草が自生しており、浮水葉の上に止まるヨシゴイの姿が見られました。

 

 

これも体重が軽いヨシゴイだからこそできる芸当。

 

葉の上に止まり首を伸ばしています。

どうやら水面近くを泳いでいる魚を狙っている様子。

 

 

間もなく水面を突っつくような場面。

その直後の画像を拡大してみるとしっかりと魚を捕らえていることが分かりました。

 

 

こちらの場所は流石のヨシゴイも安定性が悪かった為か茎や葉を伝って場所を移動。

 

葦原の中に潜んでいる時と違い、こうした姿を観察できることは楽しいの一言。

 

 

何かに掴まるといった場面が多い為か足の指は長く、移動する際に体重を分散させる役割があるように思わされました。

 

例えて言うなら雪上を歩行する際に用いるスノーシューでしょうか。

昔でいうところの”かんじき“です。

 

 

移動した先では魚を捕らえる姿が見えなかった為、飛び出しの瞬間を狙ってカメラを構えまました。

 

ヨシゴイは飛び出しの前に首を伸ばす傾向があることから他の鳥に比べると狙い易いかもしれません。

 

 

進行方向に余白を置いて置きピンでシャッターを押すだけの簡単な作業。

 

AFのままで撮影すると飛び出した瞬間にピンが抜けてしまうことからMFでの撮影になります。

 

現代の高機能なカメラではそんなことをしなくても撮影できてしまうのかもしれませんが私はアナログ人間なので...

 

 

飛び出しの撮影を終えて繁殖地をゆっくりと巡回するとコウホネに止まるヨシゴイが沢山。

 

こちらは近過ぎて流石に距離を取られてしまいましたがコウホネの葉と比べることでヨシゴイの小ささが分かるでしょうか。

 

 

しかし大きく撮れただけの画像がちょっと残念。

 

距離としてはこのくらいが適当かもしれません。

 

 

しかしこちらの個体は食後だった為か間もなく飛び立ってしまったことから別の個体を探してみると狙いを定めるように首を伸ばしている個体を発見。

 

 

魚を捕らえる瞬間を狙いカメラを構えると...

 

驚いたことに体ごと水中にダイブ。

こちらの場面を拡大すると完全に体が水没している様子を見て取れます。

 

 

水中から葉の上へ上がるとしっかりと魚を捕らえていました。

 

 

このサイズの魚はなかなか食べ応えがありそう。

 

魚を咥えたまま少し場所を移動。

 

 

移動した先で魚を丸呑みしましたが今まで見たことがなかった場面だけに随分と驚かされました。

 

 

過去に一度だけ水面を泳ぐヨシゴイを見たことがあり、水中へダイブする方法での採餌も環境によっては多く見られるかもしれません。

 

現にこちらの繁殖地も以前に比べるとコウホネの自生する面積が広くなってきた影響からか、コウホネの葉に止まり採餌をする場面が多くなりました。

 

 

私がヨシゴイの観察を始めた当時は葦に止まる姿がほとんどでハスの葉の上を歩くヨシゴイに憧れを抱いていましたが、現在は似たような場面を見ることができるようになり観察できる行動も変わってきたように思います。

 

回数を重ねるだけではなく年月を重ねることにより観察できる内容は変わっていくかもしれません。

 

 

環境の変化も相俟って今までとは違う場面を見ることが出来ましたが、今季も様々な環境でヨシゴイの観察をしたいところ。

 

間もなく営巣を始め抱卵~孵化~育雛と繁殖の状況に伴いどの様な変化が見られるのかなど、機会を作り観察を重ねたいと思います。

 

 

本日の観察日記はここまで。

 

 

※今週から来週にかけて旅行に出るため日記の更新はしばらくお休みとなります。

旅の様子は写真の整理ができ次第、順次更新する予定です。