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2022年8月8日

 

 

 

本日更新する日記はヨシゴイの観察記。

 

今季も5月に渡来を確認して以降、足繁く繁殖地へ通い観察を重ねてきました。

 

前回は6月20日に記事を更新し繁殖地での暮らしぶりについて触れましたが今回は繁殖状況について。

 

 

例年7月に入ると雛が孵り親鳥となった成鳥の動きが活発化します。

そのためヨシゴイを観察するにあたって最も良い時期と言えるでしょう。

 

7月3日の観察では繁殖場所となっている水辺を回ってみると採餌している個体を複数確認できました。

 

こちらの個体はガニ股で葦に掴まり水面を見つめています。

 

 

水面近くを泳ぐ小魚を捕獲するためゆっくりと首を伸ばすと...

 

狙いが定まった瞬間、更にもう一段首を伸ばし一瞬のうちに小魚を捕獲。

 

 

こうした行動を何度か繰り返した後、営巣場所と思われる葦原へ移動する様子が見られました。

 

 

巣は葦原の中にあるため潜り込んでからの行動は憶測に過ぎませんが雛へ給餌していたものと思います。

 

給餌を終えて葦原から飛び出すと浮水葉を伝い歩き小魚を捕える場面もあり、営巣場所を何度も行き来する姿を見ることができました。

 

 

水辺では葦をグイグイと引っ張り千切った葉を咥えて飛ぶ個体も。

 

この時期から新たに繁殖をすることは考え難いため巣材となる葉を運搬し巣の補強をしていたのかもしれません。

 

 

時には水田に移動する個体も見られ採餌をしていたものと思いますが、残念ながら何をしていたのか見て取ることは出来ませんでした。

 

 

活発に動くからこそ近距離で観察できる機会も多くなり近過ぎて驚かされることも屡々。

 

個体の性格によって行動は異なり、こちらを気にすることなく行動する個体も見られます。

 

 

野鳥観察するにあたり観察対象となる相手に飛ばれてしまうと間合いの取り方に誤りがあったと多少なりとも後悔しますがヨシゴイについては異なるケースも。

 

擬態するヨシゴイについては過去に何度も説明した通り、脅威となる者を認識した際に擬態してその場をやり過ごそうとします。

 

 

飛んで逃げるより擬態する方が身の安全を確保するうえで合理的と考えているのかもしれません。

 

近距離であっても飛ばれずに済むということは観察する者にとって絶好のチャンス。

 

 

しかしながら警戒している鳥に対してカメラを構えるという行動は決して褒められたものではありません。

時と場合を考え速やかにその場を離れなければならない場面もあるでしょう。

 

俗に云う“観察圧”についてはWeb上でも度々議論になっているようです。

 

 

この点について前述とは矛盾する部分もありますが、サギ科の擬態=警戒ということは必ずしも結び付かないと思う節もあります。

 

あくまでも個人的な見解ですが擬態については反射的な行動ではないのかと思うこともあり、ヨシゴイの観察経験が長くなればなるほどその様に思わされることも多くなりました。

 

 

擬態とは他の様子に似せることを言いますが、嘗て道路上で擬態のポーズを決めていたオオヨシゴイこそ反射的と思える例。

 

何に似せているのか説明がつきません。

 

 

憶測の域を出ませんが実際のところどの様な気持ちで擬態のポーズをしているのかヨシゴイに聞いてみたいところ...

 

 

7月3日以降も時間の合間を見て観察を行いましたが、そろそろ巣立ち雛の姿が見られると思った7月18日の出来事。

 

繁殖場所へ足を運ぶと水辺を整備するため周辺の草刈りが進められていました。

葦原も一部が刈り取られており繁殖への影響はなかったものかと平時よりも慎重に葦原を見て回ると...

 

 

巣立つにはまだ早そうな幼鳥を確認。

 

 

周囲を見渡してもこの場所で確認できたのはこの1羽。

兄弟と思われる個体は見当たりませんでした。

 

 

同じ場所に留まり動く気配が見られなかったことから移動を始めたところ見慣れない鳥が水面を泳ぐ姿を目撃。

 

一体何が泳いでいるのかと思いきやヨシゴイの幼鳥と分かり慌てて撮影した画像がこちら。

 

 

過去に一度だけ水路を泳ぐヨシゴイを見たことがあり今回が二度目の例となりましたが、本来の生態とは異なる行動であることからイレギュラーな場面と言えます。

 

泳ぐ場面を目撃した当初は水辺の中央に浮かんでいましたが、対岸側へ辿り着くと直ぐに葦原の奥へ潜ってしまったことから再び捜索を開始。

 

 

他に幼鳥が見られないかと葦原を見て回るとそれらしき物体がこちらを見ていたような気がして車を後退。

 

やはり見間違いではなく毬栗頭の幼鳥がこちらを見ていました。

 

 

成鳥にも見られますが目立った場所に現れ周囲を見渡すような行動は一体何の為なのでしょう。

 

一見して同じように見えて幼鳥は好奇心からの行動という可能性もありますが想像の範疇に過ぎず実際のところは分かりません。

 

暫くするとそそくさと葦原へ潜り込んでしまったことから他の個体を探して回るとまたもや擬態する幼鳥に出会うことができました。

 

 

生まれて間もない幼鳥であっても擬態のポーズを取るのは本能なのでしょうか。

 

この時は動画でもその様子を記録しました。

葦原へ潜り込むまでの様子を見ることができます。

 

 

こうして今季も繁殖が順調に進み次の世代へ命が繋がっていることを確認することができました。

 

渡りの時期までもう少しありますが、また来季も同様の観察ができるよう無事に成長することを願っています。

 

 

本日の観察日記はここまで。