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2022年 野鳥観察の旅 in 石垣島 ③ (冬)

 

 

前回の続き。

 

日程3日目はカタグロトビの観察を第一の目的として探鳥を始めました。

 

朝の早い段階では巣材を運ぶ2羽のカタグロトビを観察し、夕方には偶然目撃した個体を近距離から観察。

 

 

特にこちらの個体に関しては過去の観察を振り返ってみても最も良い形で観察することができ、充実感を得られる一日となりました。

 

 

2022年11月26日

 

 

日程4日目。

 

夜に雨予報のなかったこの日はナイトウォッチングが大一番。

 

夜の観察に備えて日中の観察は15時頃を目処として探鳥を開始しました。

先ずは市街地の公園を散策し小鳥のチェックから。

 

ヤエヤマシロガシラの声が賑やかな公園を歩いていると電線に並ぶカラムクドリを発見。

 

 

しかし曇天空抜けの状態であったことから双眼鏡を覗いてみても今一つ。

色合いや細部の特徴をしっかりと見るには厳しい条件でした。

 

どうにか良い形で観察することができないものかと立ち止まっていたところ付近の樹木へ次々と飛来。

 

これはチャンスとカメラを構えましたが動きが速く思うように撮影することができません。

 

 

カラムクドリに弄ばれるような時間が続き正直なところ単に写真を撮っているだけの状態が続きました。

 

「こんなに観察の難しい鳥だったかな...」と思わされましたが、間もなくしてこの原因が判明。

 

木の実を食べる為に飛来するカラムクドリをヤエヤマシロガシラが追い払っていたのです。

 

 

ヤエヤマシロガシラにとってカラムクドリは季節的に現れる余所者でしょう。

 

その為か横暴にも思える様子でヤエヤマシロガシラが木の実を食べる姿を目にしました。

 

 

こちらの木の実はヤエヤマオオコウモリも好んで食べており、併せてその様子をじっくりと観察。

 

 

一度だけ視界にギンムクドリの姿が入ったものの、こちらは残念ながら証拠写真も残せず敢えなくロスト。

 

他にこれといって目新しい鳥が見られなかったことから公園での探鳥を終えて次に足を運んだのは市街地の河口。

 

こちらではお目当てのオニアジサシを見ることはできませんでしたが防波堤に止まるクロハラアジサシを観察することができました。

 

背景に写るのは竹富島。

 

 

ここでお客さんより『シロハラクイナを観察したい』というリクエストを受け最寄りの休耕田エリアへ移動。

 

道すがら見られたコウライキジを少々観察。

 

 

シロハラクイナの鳴き声は至るところで耳にしますが、なかなか観察に結びつきません。

 

道路に飛び出してくる個体の目撃も夏季に比べると少なかったことから、冬季における観察は難易度が上がってしまうようです。

 

それでもこの日は運良く表立った場所で鳴き交わす2羽のシロハラクイナを見ることができました。

 

 

一体何の為に鳴き交わしていたのかについては不明。

 

物凄い剣幕でまくし立てていたというのが正直な印象。

いわゆる近隣トラブルなのか、痴話喧嘩なのか...

 

 

シロハラクイナを観察する傍ら、セッカを撮影。

 

シロハラクイナと同様に『チャッチャ チャッチャ』と鳴き声はあちこちから聞こえますが、こちらもなかなか撮影を許してもらえません。

 

特に珍しくはありませんが撮影できるとちょっと嬉しくなる鳥です。

 

 

付近にはシマアカモズの姿も。

 

 

一頻り休耕田での観察を楽しんだ後は海岸で探鳥してみることに。

 

海岸ではシギチの姿が多く見られ特に数が多かったのはキョウジョシギ。

 

 

冬羽となったキョウジョシギは保護色の効果が増し岩礁に溶け込んで見えました。

 

そしてクロサギの白と黒。

 


 

時刻はあっという間に正午を迎え海岸に隣接するお洒落なお店でランチを頂くことに。

 

私が選んだ昼食は...

 

話に夢中になっていたせいか写真を撮り忘れていました。

痛恨のミス。

何を頂いたのかは想像にお任せ。

 

お腹いっぱいご馳走になったところで別の休耕田エリアへ。

 

こちらは道中に撮影したチョウゲンボウ。

 

 

遠巻きにチュウヒの姿も見られましたが石垣島でチュウヒが見られるとは意外でした。

 

あまりにも距離が離れていた為、拡大して分かる程度の証拠写真。

 

 

この様に猛禽類が多く見られるということは生態系豊かな証拠であると思います。

隣の芝生は青く見えると言いますが、この環境が羨ましい...

 

 

ヘラサギの滞在も確認しましたが、せっせと餌を採る様子を動画を撮るべきだったと今更ながら後悔。

 

 

しゃもじと揶揄されるヘラサギですが私の感覚ではトングが適当であると思います。

 

 

石垣島では数の多いハシビロガモを見たところで日中の観察は一先ず終了として宿泊先へ。

 

 

ナイトウオッチングの開始を18時半に設定しそれまで暫しの休憩を取ることに。

 

 

これまでに撮影した画像の整理や観察前の腹ごしらえを済ませるとあっという間に日没時刻を迎えました。

 

お客さんにとっては初めてのナイトウオッチングということもあり期待値も大きかったことでしょう。

 

お目当てとしたのはリュウキュウコノハズク。

これまでの観察経験から容易に見られるものと高を括っていましたが...

 

 

頻繁に耳にするはずの鳴き声がほとんど聞こえません。

鳴き声を頼りにするつもりでしたが目視での捜索を余儀なくされ、ここは自分の目だけが頼り。

 

ゆっくりと車を走らせながら捜索を続けていると前方を横切るリュウキュウコノハズクを目撃。

 

樹木へ止まっている姿を確認できたものの直ぐに飛んでしまい、お客さんは見ることもできず。

 

この後もう1羽飛翔する姿を目にしましたが残念ながらこちらも観察には結びつきませんでした。

 

暗がりのなか歩道に佇むシロハラクイナに遭遇しましたが、観察し難い場所に移動してしまったため観察を断念。

 

リュウキュウアオバズクを見つけるもこちらも直ぐに飛去してしまい、想定外の展開に焦りさえ感じ始めました。

こうした状況にお客さんは諦めの気持ちも出ていたのではないでしょうか。

 

 

当初の予定では最初の探鳥ポイントで2時間ほど掛けて観察を行う予定でしたが、早々に探鳥場所を変えることを決意。

 

1羽でも良い条件で見せてあげたいという気持ちから移動先で捜索を始めたところ...

 

 

やっと見つかった。

 

 

「絶対に見せる」と公言していただけに私は安堵感でいっぱい。

 

そして最高の笑顔を見せるお客さん。

 

 

お客さんにとっては今までの観察が全て吹き飛ぶほど強烈なインパクトだったそうです。

 

この個体の他にもう1羽見られましたが採餌に忙しそうにしており撮影は難しいと判断。

 

結果として撮影できたのは1羽に留まりましたが非常に条件が良く、最高の笑顔で宿泊先へ戻ることができました。

 

 

2022年11月27日

 

 

日程5日目。

 

4泊5日の日程で計画した石垣島での観察旅行もこの日が最終日。

雨の日が多かった石垣島は最終日にしてようやく終日晴れ予報のお天気に恵まれました。

 

朝一番で観察できたのはタシギ。

 

 

複数の個体を同時に観察し、その後に観察したのはハイイロガン。

 

曇天時に比べると嘴の赤みが強いように見え、光線の状態も相俟ってメリハリが強い印象を受けました。

 

 

ヒシクイと仲睦まじい様子は変わらず、ハイイロガンはヒシクイに見守られているようにも感じます。

 

勝手な人間目線の話ですので実際のところどうなのかは分かりませんが、一緒に稲穂を啄む微笑ましい場面も見られました。

 

 

私にとっては微笑ましく思えても農家さんにとっては困り者といったところでしょうか...

 

 

ハイイロガンをしっかり観察した後は友人の情報を基にタゲリ観察。

 

その後はカンムリワシの幼鳥を探すため場所を転々としていると成鳥のカンムリワシと遭遇。

 

 

こちらの個体、交通量が多い車道から直ぐ脇の木に止まっており事故に遭うのではないかとこの先が心配です。

 

カンムリワシとの事故を無くすため啓発活動の一環で島内の至るところで注意看板を目にするようになりましたが、それでも速度超過で走る車は後を絶ちません。

 

 

実際問題、道路脇からいきなり飛び立たれると制限速度で走っていても事故を回避することは難しいでしょう。

 

こうした現状を考えながら観察を続けていると上空にはサシバの姿が。

 

 

その直後、正体不明の獲物を捕まえたカンムリワシは視界から消えてしまいました。

 

 

この時、時刻を確認してみると間もなく正午といった頃。

石垣島での観察もあと僅かです。

 

 

ここでふと思ったのは、今回石垣島へ遊びに来て未だ綺麗な海を一度も眺めていなかったことにやり残しのようなものを感じました。

 

観光地として名高い石垣島を訪れ『何処を見て来たの?』と聞かれた時「田んぼ」としか言えないのも寂しいものです。

 

その様な思いから一般的な石垣島旅行で誰しも足を運ぶ川平湾へ。

 

 

行って正解。

綺麗な景色を堪能できました。

 

ここで友人よりバライロムクドリ確認のリアルタイム情報が...

 

 

「こりゃ大変だ、善は急げ」

 

節操のないバードウォッチャーは海を見ている場合ではありません。

 

現地へ到着するとムクドリが集まりそうな牛舎を発見。

牛舎を中心に捜索を続けると電線に止まるムクドリの群れを目にしました。

 

1羽1羽丁寧にチェックしてみるとホシムクドリは見つかったもののバライロムクドリは見当たらず...

 

このタイミングで友人と顔を合わせましたが残念ながら確認には至りませんでした。

 

 

時刻を確認してみるとタイムリミットはあと20分。

残り少ない時間をどの様に過ごすと良いのか考えていたところ『あの白い鳥は何?』とお客さんの声。

 

「ソリハシセイタカシギ!お客さんが見たいと言っていた鳥だよ!」

 

 

土壇場でお客さんがソリハシセイタカシギを発見。

 

休憩中だった為かこれといった動きは見られませんでしたが、石垣島での観察旅行は有終の美を飾ることができました。

 

これも友人がこちらへ導いてくれた結果によるものでしょう。

出会いは偶然にして必然です。

 

 

振り返ってみるとあっという間に終わった観察旅行でした。

毎回のように新しい出会いに恵まれる石垣島ですが、また機会を作り再訪したいと思います。

 

 

2022年 野鳥観察の旅 in 石垣島 (冬)はこれにておしまいです。