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2018年8月19日 25/15℃ 曇りのち晴れ




今回の日記はキジバトの観察記。

観察の舞台は近所のお肉屋さん。
ツバメが毎年繁殖していることで何度か話題にしています。
こちらのお肉屋さん、どうも鳥に好かれているようでハクセキレイも繁殖していますが今度はキジバトがやって来たとの連絡が入りました。

お店のご主人曰く「巣を作り始めたようだけど作りかけで止めたみたい」とのこと。


なるほど。
一般的に鳥の巣と言えば沢山の枯れ草や枝を複雑に絡ませ精巧に作られたものを思い浮かべますが、キジバトの巣はびっくりするくらい粗末なもの。

おそらく作るのを止めた訳ではなく完成したのだろうと思います。
その旨を伝え暫くすると「今朝お店の前に卵の殻が落ちていました」との連絡を頂きました。


無事に孵化して何より。
しかし喜びも束の間、翌日には「キジバトと思われる雛が1羽落ちていました・・・」との悲しい報告が。

あまりにもご主人がキジバトの様子を心配するので課業終了後にお店に寄ってみるとに。
ご主人が残念そうに見せてくれたのは黄色い羽毛に包まれた雛の亡骸でした。

初めて見るキジバトの雛。
我が家の庭にも毎日のようにやって来る身近な野鳥ですが、実のところキジバトの繁殖を見たことは一度もありません。

過去に巣を見たことがあるだけで、実際問題どのようにして繁殖するかも全く知識がなく雛の容姿には少々驚かされました。

 


同時に見せてもらったキジバトの卵の殻。

 

 

大きさとしてはスーパーに並ぶ鶏卵のSサイズの卵とウズラの卵の中間くらい。
殻は厚くしっかりとしていました。

肝心のキジバトは何処にいるのかというとこんな場所。
矢印の先に営巣しています。

 

 

屋根付きの一等地。

角になっている場所とあって雨風を凌げる良い場所と思いきやこの場所には大きな問題点がありました。

巣の下にはエアコンの室外機が。
店内を涼しく保つ為のものですが、この室外機からは排気熱が吹き付けています。

それに加えて今年は災害レベルの暑さ。
親鳥が嘴を開いたままで相当な暑さになっているのが伺えました。

ハトの類いは通常2個の卵を産むそうで、もう1羽の雛は無事なのか。
野鳥の巣をわざわざ覗き込むことは好ましくない行為ですがご主人の依頼もあり、巣の環境は現状どのような状態にあるのか確認するため脚立を使って確認することにしました。

登って撮影した画像がこちら。

 

 

親鳥は微動だにしません。

「お店のご主人がお宅の雛を心配してますよ」

言葉が通じるはずもありませんが警戒して欲しくない気持ちの表れでついついこんなことを口にしてしまいます。

 

驚かさないようゆっくりとした挙動で巣を覗き込んでみると・・・

 

 

雛を確認することができましたがぐったりとしている様子。
酷い高温で一瞬にして滝のように汗が流れてきました。

「よくこの場所で親鳥は抱卵を続けたな」と現状をご主人に伝え、雛が1羽死んでしまった原因は暑さによる可能性が否めなかったことからご主人と今後の対応を相談。

取り合えず熱が籠らないようにする為、薄ベニヤ板で囲みトンネル状にして外に排気熱を逃がす案に纏りました。

ご主人は行動が早くこの日の営業を終えると近くのホームセンターに走ったようです。

翌日にはこのような状態になっていました。

 


 

念には念を入れ、送風機まで用意するご主人の鳥に対する気遣いと優しさに頭が下がります。

この対応でどれくらいの効果がみられるのか。
再び脚立で登り温度の確認をしてみると実に快適な温度。

前日は首が折れたようにぐったりしていた雛が元気な様子です。

 

 

驚かされたのが雛の成長の度合い。

キジバトは平均して約15日で巣立ちを迎えるそうですが、少しの間に一回り大きくなっているようでした。


~孵化から一週間~

ご主人から連絡が入り「今まで付きっきりだった親鳥が居なくなってしまった」と慌てた様子のご主人。

今回の繁殖にあたって色々調べてみたところキジバトは孵化から約1週間で親鳥は巣を離れるようになるそうです。
その旨をご主人に伝えると間もなく親鳥が巣に戻ってきたとの連絡がありました。


この日その様子を見てみようとお店に寄ってみるとちょうど親鳥が留守にしており雛の様子を見てみると・・・


きな粉大福が巣の中に。

 

 

驚くべき成長を見せる雛の容姿に圧倒されているとちょうど親鳥が給餌の為に帰還。

親鳥と一緒に撮影する機会は少なくなると思うので記念撮影。

 

 

この場を離れご主人と一緒に観察していると親鳥が雛に給餌しているようでしたが私たちの居る場所からは角度的にその様子を見ることができません。

キジバトを含めハトの類いは親鳥が体内で作りだすピジョンミルクというものを吐き出すようにして与え雛を育てるそうです。

 


このピジョンミルクについて調べてみたところ、雛が孵化する約二日前から親鳥のピジョンミルクが作られ始めるのだとか。
生まれたばかりの雛は固形物を消化できないようで、親鳥はピジョンミルクが作られ始めると同時に採餌を止め、雛に与えるピジョンミルクに固形物が混入することがないようにするそうです。

つまり孵化後一週間の間は水分しか採らないということでしょうか
何とも健気で慈愛に満ちたお話。


雛は孵化から一週間程度ピジョンミルクだけで育ち、その後親鳥は自らの素嚢で柔らかくした餌をピジョンミルクと共に雛に与え始め、ピジョンミルクは孵化後二週間程度まで与えられるようです。

これが巣立ちのタイミングとなるのでしょう。


この日から2日後の雛の様子。

 

 

更に大きくなっていて成人男性の握り拳くらいの大きさになっていました。

黄色の産毛が少なくなり、キジバトの特徴を示した羽が伸びてきています。


更に2日後は8月10日、ハトの日。
巣の中にはどっしりと構える雛の姿がありました。

 

 

見る度に成鳥の特徴が強くなっていきます。


この日から3日後、お盆に入りお店は翌日からお休み。
ちょうど孵化から二週間を迎えました。

 

 

更に一回り大きくなり黄色い羽毛もかなり少なくなり、もういつ巣立ってもおかしくありません。


巣立ちと云ってもツバメのように巣から飛び立つ訳ではなく、巣から出てアングルの上をウロウロするだけで巣立ちとなるので巣の中に居るのもあと僅か。

この姿を見るのは最後かもしれないのでスマホでちょこっと動画を撮らせてもらいました。
喉元の素嚢と呼ばれる部分がパンパンに膨らみ、親鳥からしっかりと給餌してもらっていることが見てとれます。

 

 

 

~更に2日後~

約15日で巣立ちを迎えるというキジバトですが、孵化から16日目となる8月15日の午後にお店のご主人から『立ち上がってる姿が見える』と連絡を頂きました。

巣立ちを迎えたのでしょうか。
確認のため直ぐにお店に足を運び雛の様子を見てみると・・・

 

 

巣は目の前ですがこれがこの子にとっての巣立ち。

1羽の雛が孵化して間もなく死んでしまったという連絡を受けた時はどうなることかと思いましたが、ご主人の気遣いが功を奏してもう1羽の雛が無事に巣立ちを迎えることができました。

 

 

少しの間ここで餌を貰い徐々に行動範囲が広くなっていくのだと思いましたが、翌日には巣から完全に離れお店の駐車場でヨチヨチ歩きの巣立ち雛が水溜りの水を飲む姿が見られたそうです。

鳥に好かれるお店のお陰でキジバトの繁殖を目の当たりにできたことは私にとって良い観察経験となりました。



キジバトの観察記はここまでですが最後にお店の宣伝を。
以前ツバメの記事を掲載した時と定休日が変わりました。

 

 

肉のろくふく

 

お店では精肉の他にお弁当やお惣菜も販売。
AM9:00~PM6:45の間には電話予約のフライヤーサービスを実施中。
来店の時間に合わせて揚げたての商品を提供してもらえます。

 【住所】 秋田市御野場新町3-4-5
【TEL/FAX】 018-893-4299
【営業時間】 9:00~19:00
【定休日】 毎週月曜日(年末年始・お盆)

※月曜日が祝日の場合は火曜日が休業日