メールはこちらから

 

 

X (旧Twitter)はこちらから

 

 

2022年9月19日

 

 

 

台風14号の接近に伴い真夏のような暑さがぶり返しました。

夏から秋へと季節は変わり「涼しい」と感じる日も多くなっていただけに気温の変化に体が追いつきません。

 

 

本日更新する日記は先月28日の観察分から。

 

私の住む秋田県はお盆を境にして日に日に過ごし易くなりますが、暑さに滅法弱い私は更なる涼を求めて山へ行ってみることに。

 

 

久しぶりの登山とあって鼻息荒く出掛けてみたものの現地へ到着すると生憎の空模様。

天気図を見る限り怪しいとは思っていたのですが天気予報を信じた私が馬鹿でした。

 

 

本格的な登山であれば引き返すことも一つの勇気でしょう。

しかし私の目的は鳥の観察を主としているため山頂を目指す必要はありません。

 

適度なところまで登りお目当ての鳥を見ることができれば二重丸。

そのため天気の様子を伺いながらの登山となりました。

 

ハイマツ帯がぷっつりと切れる森林限界のラインまで登るとその先にはガレ場が広がります。

眺望の良い場所を観察の拠点とし周囲を見渡してみると...

 

 

「鳥が居ねぇ」

 

しかも涼しいどころか寒いくらい。

温度計を確認してみると13℃を示していましたが、風が強めに吹いていたこともあり体感温度は初冬並み。

 

肝心要の鳥については耳を澄ましてキセキレイの鳴き声が微かに聞こえるといった程度。

 

お目当ての鳥は気配も感じられず途方に暮れていると不意にホシガラスが現れました。

 

 

反射的にカメラを構えましたが、これはこれで良い出会いと考えじっくり観察してみることに。

 

周囲を眺めるよう仕草。

 

 

辺りの様子を伺っているような雰囲気でしたが、暫くするとこちら側へ少し移動しました。

 

 

移動して間もなく見られたのは何かを啄むような姿。

パッと見た目にハイマツの実は見られなかったことから、もしかすると食べ物を隠していたのかもしれません。

 

 

いわゆる貯食の行動ですがカラス科の鳥によく見られます。

 

この時に食べ物を隠したのか或いは隠していた物を食べたのかまでは見て取れませんでしたが、ホシガラスを見ることができたことで空振りに終わらずに済んだとホッと胸を撫で下ろしました。

 

 

観察を続けていると厚い雨雲に覆われ辺りは真っ暗。

天候が大崩れするまでものの数分と考え山小屋へ待避しようと思ったところ...

 

何を思ったのかホシガラスが目の前に。

 

 

登山を趣味とする方であれば至って普通の光景になるのでしょうか。

しかし私にとっては稀に見る光景。

 

この様に観察できるチャンスは滅多にないと雨に降られながらも観察を続けました。

 

 

今まで目にすることのなかった新しい発見がないかと観察を続けていると雨脚が強まりホシガラスはハイマツ帯に潜り込んでしまいました。

 

 

観察対象を失った私は渋々山小屋へ...

 

雨は強弱を繰り返しながらも雲は徐々に捌けていき、小康状態になったタイミングを見計らって定点へ戻りましたが依然として鳥の気配は全くと言っていいほど感じられず。

 

 

ホシガラスの姿も無くなり周囲を眺めるだけの時間が続いたことから下山を視野に考え始めると、視界の片隅に一瞬カヤクグリと思わしき鳥の姿が目に入りました。

 

目にした時間はほんの1~2秒だったでしょうか。

直ぐにハイマツ帯へ潜ってしまい同定には至りませんでしたが、正体が気になり気配を探るようにハイマツ帯を注視していると...

 

 

「出た」

 

 

やはり私が目にした鳥はカヤクグリで間違いありませんでした。

 

一時は下山を考えたもののカヤクグリが現れたことにより観察の炎が再燃。

 

 

亜高山帯で繁殖するカヤクグリですが、冬季には標高の低い場所へ降りてくることから低地でも観察のチャンスに恵まれます。

 

そのため私にとっては今年1月以来の出会い。

 

 

数年前、越冬個体を確認できたことにより毎年同じ場所で観察することができるようになりましたが、今回観察できた個体は冬季に見られる個体と異なり羽に擦れや傷みが目立ちボロボロといった状態。

 

 

過酷な環境で育雛をしていたことに加えて換羽の時期に差し掛かっていることからこの様な状態にあったのでしょう。

 

以前登山した際に育雛中の成鳥を見る機会があり、低地で繁殖する鳥に比べると時期が遅いと感じた記憶があります。

 

こちらは2017年8月14日に撮影した画像。

給餌のため口いっぱいに虫を咥えています。

 

 

カヤクグリはハイマツ帯に潜ったり出たりを繰り返し、時には足元まで近寄ってくることもありました。

 

あまりにも近過ぎて身動きの取れない場面もありましたが、どうやらこの1羽だけではない様子。

 

時々鳴き声を発し何等かの会話をしているようにも感じられました。

 

 

時間の経過と共に分かったのは周囲に4羽居ることが判明し、幼鳥も確認できたことから家族群で行動していた可能性が高いように思います。

 

こちらは複数の個体が同時に表立って現れた瞬間を撮影したもの。

 

 

あくまでも仮説になりますが今回私が目にしたのは周囲の安全を確認する親鳥の姿であったのかもしれません。

 

ちょうど移動しているタイミングに出会したのではないでしょうか。

 

 

次第にカヤクグリとの距離は離れつつあり、再び観察対象を失った私が耳にしたのはお目当ての鳥の鳴き声ではなく連続して聞こえる雷鳴でした。

 

まだ遠くから聞こえる状態でしたが山の天気は侮れません。

ここで下山を決意。

 

結果としてはお目当ての鳥を見ることが出来ないまま下山することになりましたが、空振りに終わらなかっただけでも良しとしたいところ。

 

 

目的が達成されなかったことは残念に思いますが再び山へ登る理由が出来ました。

今度こそ良い結果が残せるよう機会を見てまたチャレンジしたいと思います。

 

本日の観察日記はここまで。