2021年4月11日 13/0℃ 晴れ
久々に晴れ予報の日曜日。
つい最近まで寒さに震える日々を送っていましたが、私の住む秋田市では異例の早さで桜が開花すると瞬くに満開となり、早いところでは葉桜になっている所も見られました。
例年はGWの頃まで梅や桜を楽しむことができ、渡来直後の夏鳥と花のコラボを楽しんでいましたが今年は駆け足で春が過ぎ去りあっという間に初夏を迎えそうな気配さえ感じられます。
春爛漫の雰囲気が漂うなか花より団子の私は今回も渡り鳥との出会いに期待をして早朝から海沿いを巡回。
やはり早朝の時間帯は鳥たちが活発に動いており行く先々で様々な鳴き声を耳にします。
その中でも場所を問わず観察の機会に恵まれたのがマヒワ。
アトリほどではありませんが昨年の秋からマヒワを目にする機会が多く、例年に比べても渡来数が多いことを伺わせます。
樹上で採餌をしていることもあれば地面で採餌をすることもあり、大きな挙動を見せずジッとしているとどんどん近寄って来ました。
この様に相手側から接近してくれることは観察する者にとって至福の時間。
夢中になっていると周囲の状況が見えなくなるもので、思い出したように見上げてみるといつの間にか私の方が観察対象に・・・
カモシカがこちらを凝視。
暫く目の合った状態が続きカモシカもこちらに接近して来ないものかと期待しましたが、そんなうまい話もなくのそのそと林の中へ。
マヒワの他にはイスカ・ベニマシコ・ジョウビタキなど冬鳥の観察を楽しむことができたものの、この時期のお楽しみとも云えるような鳥との出会いにはなかなか恵まれませんでした。
食べ物に旬の時期があるように鳥の観察にも旬の時期があるので、特上のご馳走にありつけるよう目を凝らしながら移動を続けていると道路脇で採餌中のヤツガシラを発見。
しかし光線の状態がイマイチ・・・
ヤツガシラの警戒心は個体差が激しいので不用意に近付くと飛んでしまう恐れがあります。
前回観察した個体のようにのんびりとした性格であれば近距離での観察も可能ですが、先ずは性格を知る為に遠巻きからの観察。
どの様にして観察しようか悩みながら眺めていると前方から軽トラが爆走。
「こりゃいかん」
当然のように驚いたヤツガシラは飛んでしまいあらぬ方向へ・・・
毎度のことながらタイミングが悪過ぎます。
高い木を越えたあと完全に見失ってしまい方々探してみましたが、再び目にすることはありませんでした。
その後は鳴かず飛ばずの時間が続き、集中力が切れた状態でぼんやりと移動しているとシマヘビを捕獲したノスリが前方を通過。
これ見よがしに獲物を持ったまま何度も旋回していました。
思ったような成果を得ることができず疲れ果てた私はとある公園へ。
気分転換でもしようと桜を眺めながら園内を歩いていると、こちらでもマヒワの群れに遭遇。
細い枝にしがみつき蕾をせっとと食べている様子。
冬鳥として渡来するマヒワですが、手持ちの図鑑によると北海道や本州北部の山地で繁殖する個体もいるとの記載があるので機会を作って探してみたいところ。
今年の夏は今までと違った観察をしたいと考え、何ヵ所かの山で探鳥を計画しているので運が良ければマヒワの幼鳥を見ることができるかもしれません。
忙しなく採餌をするマヒワを眺めていましたが「場所によっては見映えの良い写真を撮ることが出来るのでは?」と思い助平根性丸出しで撮影をしてみることに。
モニターをチェックしながら試行錯誤を繰り返し理想の場面に近付けていきます。
徐々に理想に近付いてきたところで、後はマヒワが狙った場所に来てくれることを願い粘り強く観察を続けたところ、何とか理想に近い写真を撮ることができました。
鶸色を忠実に再現した“侘び寂び”の赴き。
当初の予定では渡り鳥を探しているはずでしたが蓋を開けてみればマヒワに夢中になっている時間がほとんどで、結局のところじっくり観察できれば何でも良いのだなと・・・
もっと色んな場面を切り取ろうと思いマヒワの動向を注視していると桜の木に止まり囀ずっている個体を見ることができました。
採餌のため松の木に止まることがあっても桜の木には止まることは無いだろうと思っていただけに想定外の絵面です。
こちらの桜は満開まであと少しといったところでしたが、陽当たりの良い場所に移動してみると変な桜が咲いていました。
変な桜の正体は花切りスズメ。
花弁に顔を突っ込み花粉まみれになって蜜を吸っているメジロやヒヨドリはよく目にしますが、スズメは嘴の形状の違いからか花を切り取って蜜を吸うようです。
蜜を吸い取ると『ポイっ』と花を捨てるのでスズメの居る桜の木の下には不自然に落ちた花がいっぱい。
こんなスズメを見ていると途端に形相が悪く見えるのは私だけでしょうか?
花切りスズメを観察していて驚いたのがシジュウカラも同じように花を切り取っていたこと。
決定的場面は撮影に至りませんでしたが、間違いなく花切りシジュウカラは存在します。
私が知らないだけで周知の事実かもしれませんが、思いがけない収穫に気分上昇。
そんな私の気持ちなど周りに伝わるはずもなく、カップルや親子連れの多い公園で桜の木に見たこともないようなレンズを向けている私はさぞかし異様なものに見えたことでしょう。
スマホでも綺麗な写真を撮れてしまう昨今、怪訝な表情でこちらを見ているカップルが印象的な休日となりました。
おしまい。