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2024年6月24日

 

 

 

本日更新の日記は6月2日の観察から。

 

この日は職場で野鳥観察。

以前も話した通り私が勤める職場は広大な敷地を有しており、一年を通じて様々な野鳥を見ることができます。

 

また渡り鳥のルート下にあることから職場にいながらにしてガンやハクチョウの渡り見られるだけではなく、タカの渡りも観察できその様子はX(旧Twitter)でリアルタイムに発信してきました。

 

 

今回職場で観察を計画したのはサンショウクイ。

例年4月~7月の繁殖期は沢山の野鳥が繁殖しており、その様子は時々記事にしていましたがサンショウクイがこの時期に定着したのは初めてのこと。

 

これを良い機会と捉えいつも通りの時刻に出勤してみるとサンショウクイが頭上を通過。

 

 

やはり職場へ定着しているのは間違いないようでした。

 

但し私がサンショウクイを観察できるのは朝夕の僅かな時間。

課業中は職場を離れることが多く、どのような形で定着しているのか分かりません。

 

そのためこの日はサンショウクイの行動を調べることから始めました。

 

時々聞こえる『ヒリヒリヒリ』というサンショウクイの鳴き声。

声の出所を探りましたがその時々で聞こえる場所が異なります。

 

こうした様子から広範囲に動いていることが伺え、観察に漕ぎ着けるまで相当な時間を要するものと考えていたところ...

 

 

視界に入ったのはコチドリの巣立ち雛。

 

 

“歩く毛玉”と表現できないほど成長しており雛と呼ぶにも躊躇を覚えます。

 

 

便宜上雛と呼びますが周囲を見渡してみたものの確認できたのはこの1羽のみ。

 

 

おそらく3~4個の産卵があったものと思いますが、成長する段階で命を落としてしまったのでしょう。

 

 

場所が場所だけに飛べるようになるまで成長できる確率は低く、この1羽だけでも生存できたのは良かった方かもしれません。

 

 

今季職場へ渡来したコチドリは4ペア。

 

何が原因なのか分かりませんが職場で繁殖する個体は他の場所で見られる個体よりも繁殖行動が遅いため、例年雛が見られるのは7月前後。

 

そのためこちらの雛は随分と早く孵化した個体と言えます。

 

 

この日時点で他の2ペアは抱卵中。

残りの1ペアは翌日(6月3日)交尾している姿が見られました。

 

忙しなく動き回る雛を観察していると親鳥が発したのは警戒の鳴き声。

ふと見るとハシボソガラスが私の直ぐそばに飛来しました。

 

 

こちらのカラスは私の友達。

ご覧の通り片足がおかしな方向に曲がっています。

 

数年前、不慮の事故に遭ったことをきっかけに面倒を見るようになり、それから付き合いが始まりました。

 

飛ぶことには支障が無いものの二足歩行はできなくなってしまい、事故後は片足で跳ねるようにしか移動できません。

 

随分と付き合いが長くなり今では遠く離れた場所に居ても呼ぶと飛んでくるようになりました。

 

 

最近はもっぱらカラス語を研究中。

勿論カラスと話せる訳ではありませんが、彼の鳴き方・仕草などからどういった意図を持って私に接しようとしているのか研究する毎日です。

 

カラスについて語り始めると終わりが見えなくなってしまうためこの辺で割愛。

 

話を元に戻し、警戒の鳴き声に反応したコチドリの雛は地面に伏せ保護色を最大限に活かしていました。

 

 

親鳥はハシボソガラスの様子を伺っているようです。

 

 

このままではコチドリ親子が可哀想であったため、友達には「この場所へ留まらないように」と移動をお願いしました。

 

カラスの姿が見えなくなると親鳥が発したのは『ビュルルル』という優しい鳴き声。

 

この声に反応した雛は直ぐに立ち上がり親鳥の近くへ駆け寄り一緒に採餌を開始。

 

 

前置きが随分と長くなってしまいましたがここから観察日記の本題へ進みます。

 

コチドリの観察をしながらサンショウクイの動きを探った結果、1本のニセアカシアの木に執着していることが判明。

 

何処へ飛んで行っても必ずニセアカシアの木へ戻ってくることが分かりそちらへ移動してみることに。

 

 

サンショウクイは見え難い場所へ止まることが多く、2分前後でニセアカシアの木を離れてしまいます。

 

 

そのため何の為に行き来を繰り返しているのか理由が分からず...

 

 

常に2羽で行動していましたが飛んで行く方向はその時々によって異なり、目線の高さまで降りてくる場面もありました。

 

 

しかし採餌しているようには思えません。

 

 

そこで角度を変えて様子を探ってみたところ造巣中であることが判明。

巣材を集めるためにあちこちへ飛んでいることが分かりました。

 

巣材を持ち帰った場面は画像を拡大。

こちらは雄の個体。

 

 

巣は高さ10mほどの位置に造っており巣材のほとんどは樹皮。

クモの糸を巧みに絡め外側には苔を張り付け木肌に似せることでカモフラージュをしているようでした。

 

こちらは雌の個体。

 

 

一方の個体が造巣を終えると少しだけ場所を移動し、もう一方の個体が造巣を終えるまで営巣木を離れることはありません。

 

こうした様子からペアの絆が強いことが伺え、常に離れず行動していることが分かりました。

 

 

低い位置へ降りてきた理由はクモの糸を採集するためだったのでしょう。

 

 

ペアの共同作業とは言え巣を造り終えるまでには相当な時間を要するだろうと考え、この日は何度か巣材を運搬する様子を見て観察を終えましたが巣が完成したのは4日後の6月6日でした。

 

6月6日、16時頃に様子を伺うと頻繁に行き来する様子は見られず仕上げの段階に入っていたように思います。

 

 

現在、サンショウクイは抱卵中。

抱卵期間は概ね18日であることから間もなく孵化する頃でしょう。

 

順調に育雛が進んだ場合、私の予想では7月11日前後に巣立ちを迎えるものと思いますが恐いのはこの時期の大雨。

 

梅雨時期ということもあり心配が絶えません。

親鳥は自らを犠牲にして懸命に雛を育てることでしょう。

 

今は無事に巣立つことを願う毎日です。

 

 

本日の観察日記はここまで。