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2020年2月15日 11/4℃ 曇り時々晴れ




今回はバードウォッチングガイド記。

この度秋田にお越しのお客様は近畿地方在住の方。
お客様には昨年秋にガイドの依頼を頂き、秋田で氷上に佇むワシを撮影したいというリクエストがありました。

ガイドを承った頃は異常とも思える暖冬になろうとは思いもせず、快くガイドを引き受けましたが氷上のワシを観察できる八郎潟調整池は暖冬の影響で結氷する気配はなし・・・

しかしお客様がお越しになる一週間前に強い寒気が南下してきたことで水路の一部が凍りつき俄に期待が高まりました。


ガイド当日。
お客様をお迎えにあがり大潟村に足を運びましたが、寒気が抜けた後は3月下旬頃の陽気に包まれたことで水路の氷は全て融けてしまい残念ながら氷上に佇むワシを見ることは出来ませんでした。

遠路遥々秋田までお越しになられたのですから、先ずは冬鳥の代表とも言えるハクガンを観察して頂くことに。

 

 

初めて見るハクガンはお客様の目にどのように映るのか。

猛禽類が好きだと仰っていたお客様に目的とは違った鳥を見せられて満足するのだろうかと不安を感じながらも観察を続けると群れが一斉に飛び立ちました。

 

 

ハクガンの飛翔シーンを見て『白と黒のコントラストが綺麗!』と大変喜ばれているご様子。
この後シジュウカラガンも観察して頂いたところでワシを探して大潟村を一週してみることに。

いつも見ている個体と別のオオワシが飛んでいましたが残念ながら距離が遠く写真としてはイマイチ。

 

 

田んぼに佇むオジロワシは警戒心が強く近付ける雰囲気ではありませんでした。

 

 

その他見たのはディスプレイフライトをしているようなオジロワシが2羽。

 

 

いずれも距離が遠かったり逆光だったりと思ったような観察ができず、ガイドする身として悶々とした時間が続きました。

 

 

ワシの撮影に四苦八苦していると、ご夫婦バードウォッチャーから連絡があり内容を確認してみたところ『ノハラツグミを見つけたのですが、これそうですよね?』と写真が・・・

 


画像を確認してみると紛れもなくノハラツグミ。

幸いなことにノハラツグミが出ている場所は然程遠くなかったので現地へ急行。
リアルタイムな情報を戴けたことで幸運にもノハラツグミを観察することができました。

 

 

ノハラツグミの詳しい観察の様子は日を改めて観察記を綴りたいと思います。

この後は猛禽類の観察へ。
いつもの御仁がハイイロチュウヒ♂を観察中で、私たちも腰を据えて観察することにしました。

 

 

この時は運良く近くを飛んでくれたことでお客様は大喜び。

その興奮が伝わってくるような物凄い連写音が響いていました。
ハイイロチュウヒだけで数百枚撮影されていたのではないでしょうか。

 

 

ヒラヒラ飛び回るハイチュウ♂は獲物を狙った訳でもなく不意に地面へ降りました。

♂に限らずハイチュウは地面に降りたり飛んだりを頻繁に繰り返します。

 

 

今季大潟村に渡来したハイチュウ♂は広範囲に動いているようで、観察のチャンスは限られておりこの時も長居することはありませんでした。

♂が視界から消えて間もなく今度は♀が登場。

 

 

♀は一度飛び始めると長時間観察することができるので、この日は終日観察を行いました。

日没寸前まで♀を観察し、この日のガイドはここまで。

 

 

 

 

2020年2月16日 8/1℃ 曇りのち雨


 

ガイド日程二日目。

この日の早朝、お客様の送迎で宿へ向かう前の出来事。
自宅近くに集まっていたレンジャクの群れが大きく移動する姿を目撃しました。

移動する方向には別の個体群が長期滞在している住宅街があり、群れが合流するのではと考えお客様にその旨を伝えると『キレンジャクが数百羽群れるのは俄に信じがたい』ということでしたので、レンジャクが集まる住宅街へご案内することに。

現地に到着すると推定で500羽ほどのレンジャクの群れが街路樹に集まっていました。
前日まで300羽ほどの群れであったことから、自宅近くの群れが合流したようです。

 

 

こちらは車や人通りの多い場所ですが、採餌に夢中なのか目の前で観察していても警戒する様子が見られません。

この光景にお客様は『いや、これは凄い』と驚かれていました。
単にレンジャクが群れているということではなくお客様の地元で観察されるのはほとんどがヒレンジャクとのこと。

北日本で見られるレンジャクの群れはほとんどがキレンジャクですが、その他の地域ではヒレンジャクが圧倒的に多くキレンジャクを観察する機会は少ないようです。

屋根に残った雪を食べるレンジャクたち。

 

 

採餌の様子を観察していると街路樹近くに水溜まりを発見。

水飲みに飛来する可能性があることをお客様に伝え、車に戻って暫し待機していると・・・

 


予想的中。

 

 

良いシーンが見られたところで観察場所を移動。

この日は下り坂の天候が予想されており、午後は荒れる恐れもあったことからテンポ良く観察を進めなければいけませんでした。

いつものオオワシにご挨拶。

 

 

このオオワシは間もなく秋田を離れ故郷に帰ることでしょう。
また来季も元気な姿を見せて欲しいものです。

この後は前日に観察を行ったノハラツグミを観察しましたが、朝の早い時間帯は頻繁に姿を見せてくれたという話があったものの私たちが観察してる間に姿を見たのは1回のみ。

 

 

なかなか手強い相手です。

ノハラツグミを見たところで次はホシムクドリの観察へ。
こちらも前日に観察を行っていたのですが、前日は逆光の位置であったり遠かったりと思うような観察をすることが出来ませんでした

しかしこの日はかなり接近した場所から観察することができ、お客様曰く『色んなシーンを撮影することができました』とのこと。

 

 

この辺りからポツポツと雨が降り始め、今後どのような観察をしたいか伺ってみたところ『ハイイロチュウヒを観察したい』とリクエストがあり、狩り場で定点観察を行うことにしました。

積雪のない時は獲物となるネズミを捕獲しやすいようで♀は頻繁に姿を見せてくれます。

 

 

しかし時間が経つ毎に風雨が強さを増し、♀の出もイマイチな状態に。

風が強まり横殴りの雨になったことから風下を飛ぶシーンのみの撮影となってしまいました。

 

 

辛抱強く待ったお陰もあり♂が登場。

こちらに向かって飛んで来てくれましたが、雨で視界が悪く正直なところ私はアオサギと見間違える始末。

 

 

♂が飛んで来ると地面で休んでいた♀が排除行動に出て♂を執拗に追いかけ回し始めました。

この狩り場では♀の立場が強く、♂が長居しないのもこういった理由があってのことかもしれません。

 

 

この後も♀の観察を続けましたが更に雨が強まりまともに観察できる状態ではなかったことから予定よりも1時間早い16時に観察を終了。

 


宿へ送迎する際、お客様からは『本当に楽しい2日間だった』と言って頂きホッと一安心。
本来目的とされていた氷上のワシは残念ながら見せることはできませんでしたが、初めて見る鳥も多くお客様は満足されたようです。

 

 

悪天候もあり寒いなかでの観察、本当にお疲れ様でした。

今回のバードウォッチングガイド記はこれにておしまいです。