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孵化11日目~巣立ち

 

 

6月23日 晴れ



孵化から11日目。

今日はスズメの襲来もなく穏やかな朝。
昨日の観察で確認できましたが、全ての雛が巣の外に排泄できるようになりました。
雛のウンチは立派なもので親鳥のウンチより大きかったりします。


大家さんになるにあたってこのウンチの問題は避けて通れません。
まさに綺麗ごとで済まないというやつです。
 
そんな訳でこんな物を作ってみました。

 

 

ポータブルナビなどに使われる金具に、ハサミでカットできるほど薄くペラペラした樹脂製の板をビス留めした物。

このオブジェだけを見せられても「何これ?」って話ですが、これをドアに装着することでドアノブにウンチが付着しないようになります。


当初説明した通り我が家のツバメの巣は玄関の上にあり、出入りする方側の角にあります。

営巣場所が玄関でなければウンチを処理するにあたって、新聞紙を敷いたりトレーのような物を巣の下に置くのが一般的なようですが、流石に我が家のように玄関に営巣されるとそうもいきません。
 
 
このことを踏まえ我が家の営巣場所に合わせウンチ避けを製作しました。

実際に装着するとこのような感じになります。

 

 

ドアとの設置面は磁石になっており、取り外しは簡単。


角度も調整が効くので親鳥が巣へ出入りする際に邪魔にならないようにできます。
同時にこれを装着することでカラスと猫から襲われるリスクはゼロになりました。


朝夕に玄関前を清掃する時はウンチ避けも一緒に清掃。
1日に2回の清掃で常に綺麗な状態が保てます。

 

(後日談 実際に使ってみると特に必要のない代物で何もない方がよかったかもしれません)

 

 

帰宅後に観察したツバメファミリーの様子ですが、昨日と同じように忙しなく餌を運ぶ親鳥の姿と巣の中で場所取り合戦をするチビっこたちの元気な姿。

 

いつもの時間に塒入りした親鳥でしたが、母ちゃんの方はもう巣の中ではなく巣の縁に止まりチビっこたちを見守るようにして羽を休めていました。

 

 

 

 

6月24日 曇りのち晴れ



孵化から12日目。

出勤前の玄関清掃時は親鳥にもチビっこたちにも異常なし。
 
 
帰宅後の観察は今日から角度を変えました。
これは親鳥の給餌がチビっこたちの成長に伴い、巣にしがみつくような形で餌を与えるようになった為です。

早速チビっこたちの成長具合を見てみると地肌は殆ど見えなくなり、喉元にはツバメ特有の朱色の羽がうっすらと生え始めていました。

 


喉元の羽は成鳥になるにしたがって色が濃くなり朱色から赤色に変化をしていきます。


そして目がはっきりと見えているようで、以前は親鳥の声や気配に反応して餌をねだっていましたが、今日は親鳥の姿が見えると・・・


 

 

ご覧のように我先にと首を伸ばしてアピール。

 

 

チビっこたちの場所の取り合いと親鳥へのアピール合戦は日に日に勢いを増しています。


今日の観察では父ちゃんの餌を運んでくる割合はいつも通りでしたが、母ちゃんが餌を運んでくる割合が今までより多くなっているようでした。

 

 

 

 

6月27日 雨



孵化から15日目、今日は朝から大雨。

少し外に出ただけでびしょ濡れになってしまうほどの降り方で、それに加えて風も強く吹いています。

秋田では少雨に関する気象情報が発表されるほど長期間に渡り降水量の少ない状態が続いていましたが、このタイミングで例年より約2週間遅く梅雨入りが発表されました。


家の中から外の様子を見ていると、このどしゃ降りのなか必死に餌を探し飛び回る親鳥の姿。
一体この天気のなかでどれほどの虫を見つけることができるのか・・・
少しでも降り方が弱まってくれたらと願いながら外を見ていましたが、そんな時間はほとんど訪れず。


チビっこたちの様子も気になったので一度車の中から様子を見てみることにしました。

 

 

この短期間にまた成長したチビっこたちが、巣にも巻き上がる雨と風に耐えながら親鳥が来るのを待っていました。


酷い降り方で車の窓を空けていられるのも一瞬だけ。

ウンチの量を確認しましたが、いつもに比べて極端に少ない状態。
このことからも餌をほとんど貰えていないことが分かります。


無情にも降り続く雨。

親鳥が付近を飛び回っていますが、なかなか巣には戻ってきません。
自分の食べる分でさえ見つけるのが大変だろうに・・・
 
 
でも巣には親鳥を信じて待つことしかできないチビっこたちがいます。
本当に命懸けの子育て。

見ていて痛々しい、そんな状態が終日続きました・・・。

 

 

 

 

6月28日

 

 

孵化から16日目。
 
昨日からの大雨は峠を過ぎたようで今朝は小雨模様。
外の様子を見てみると親鳥が巣に出入りする様子が確認でき、昨日と比べると頻度は増しているようで安心しました。


今日は日曜日ということで週に一度のフィールドでの観察の日。

観察に出かける前に日課になったウンチの掃除をしようと外に出て何気なく巣の様子を見ると・・・




 

 

 

1羽足りない。

 

一体どういうことだ。

 

慌てて玄関前を中心に辺りを見渡してみましたがチビっこの姿は確認できず。

角度的に見えないだけかと玄関から遠退いて巣を見てみましたが、4羽のチビっこが昨日と同じような格好でいるだけ。

昨日の雨で飢えてしまい、奥まったところに死んじゃっているんだろうか・・・


 

え!?

 

 

 

見つけた!

 

 

車の下でタイヤの陰に怯えるようにしてるチビっこ。

どう見ても一番小さい末っ子です。


独りぼっちで不安だったろうに・・・
感情移入しやすい私は昨日から本当に心労激しい状態。


早く巣へ戻してやらなくてはと思ったと同時に、頭に浮かんだのは末っ子が巣から落ちた理由。

このような形でツバメに関わるまで知らなかったのですが、親鳥による雛の間引きというのがあるのだとか。
理由は餌を確保できる量とのバランスであったり、先天的な問題を抱え成長が難しいと判断した時など親鳥が故意に巣から落としてしまうそうです。

他に考えられるのはスズメによる巣の乗っ取り、他のツバメの仕業、兄弟の押し合いに負けてしまい落ちてしまうケース。


理由は色々と考えられますが、先ずは巣に戻してやろうと脚立の準備をしていると車の下から末っ子が出てきていました。

その瞬間、餌を運んできた母ちゃんが地面にいる末っ子に気付いて地面に降りてきました。

そして父ちゃんも気付いたようで「ツピー!ツピー!」と鳴きながら辺りグルグル飛んでいます。


これは親鳥による間引きではない!と確信して素早く末っ子を巣の中に。


その後の様子が気になったので急遽フィールドでの観察は中止。

カメラを構えることはしないで平常通りの駐車位置で車の後部座席から様子を見ることにしました。


すると親鳥がトンボを持ってきて、一斉に餌をねだるチビっこたちの中から選ぶようにして末っ子の口へ。
ただ末っ子には少し大きかったようで呑み込むのにしばらく時間がかかっていましたが、この姿を見て本当に安心しました。


その後も様子を見ていると野良猫が付近を通り過ぎて警戒の鳴き声を出す父ちゃん。

チビっこたちはその鳴き声に反応して巣の中で身を伏せるような格好に。
あの猫が末っ子を襲っていたらと思うとゾッとします。

 

しばらく見ていてスズメが巣のそばに来ることはありませんでしたが、気になったのが巣の前にきてホバリングながらウロウロする父ちゃんと別のオス。

このオスは何度も飛んできて、それを親鳥が見つける度に追い払っていましたが一体何の為に来ていたのか。


巣立ちまでもう少し。
今日は無事にその時がくるのを願うばかりの日になりました。

 

 

 

6月29日 曇り


今朝は随分と冷え込み秋田市は13℃まで気温が下がりました。

出勤前に玄関前の清掃と併せてチビっこたちのチェック。
やはり寒いせいか身を伏せるような感じで親鳥を待っていました。


しかしながらなんとなく1羽足りないように見えます。
 
昨日の今日ということもあり、辺りを見渡し車の下もチェック。
何処にも雛は見当たらないので取り敢えず安心したところで職場へ。



仕事を終え帰宅。

車を降りて巣を見てみると親鳥を待つチビっこたちが巣の縁に整列していました。

1・2・3・4・・・


やっぱり1羽見えない。
 
嫌な予感がする。

我が家の横を流れる排水溝の隙間を1つ1つ見て回りましたが何処にもチビっこの姿はありません。


もう一度車に乗り込み車内から様子を見てみます。

ほどなくして親鳥が餌を運んで来ました。
数回その様子を見て見ましたが大きく口を開き餌をねだるのは4羽だけ。

その中には昨日巣から落ちていた末っ子の姿はありました。

姿が見えないのはおそらく4番目のチビっこ。


過って落ちてしまい何者かに拐われたのか、巣の中で具合を悪くしているのか・・・

考えても始まらないので脚立と手鏡を準備して巣の中を覗き込んでみました。


手鏡に写しだされたのは・・・



眠るようにして天国に旅立ってしまったチビっこの姿でした。


我が家に父ちゃんと母ちゃんがやって来てツバメに関して勉強を始めた当初、沢山目にしたのは何等かの形で雛が死んでしまうという先輩大屋さんの経験談。

珍しいことではないという話で、ある程度覚悟をもって見守ってきましたが現実に目の前にするとやっぱり辛い。

これだけ注意して見てきたのになんで朝の段階で行動に移せなかったのか・・・

何でもそうですが失ってから後悔しても遅いのです。


兄弟たちと一緒にいたせいか硬くなってしまったチビっこの身体はほんのり温かく余計切ない気持ちに・・・
 
 
チビっこは親鳥が頻繁に飛び交う庭の先端に埋めてあげてお別れしました。

 


父ちゃんと母ちゃんが健康でいられるよう、そして兄弟たちが無事に巣立てるようどうか天国から見守っていて下さい。



 

 

6月30日 曇り



孵化から18日目。

ここのところツバメファミリーを心配する大家の心境ばかりで、観察記録とはかけ離れてしまっていたので気持ちを切り替えます。
 
 
今朝の清掃&チビっこたちのチェックでは特に異常なし。
ただウンチが落ちている玄関前には巣の一部とみられる泥の欠片が落ちていました。

よく見てみると巣の真ん中辺りが少し欠けていたので、それが落下したようです。
親鳥が巣にしがみつく形で給餌することが多くなって欠けてしまったんでしょう。


また雛も大きくなったことから今日の観察ではホバリングしながら餌を与える親鳥の姿を多く目にしました。

 

 

上手に飛ぶもんだなと改めて感心。

天上に頭を擦ってるんじゃない?というくらいギリギリの高さを飛びながらチビっこたちに餌を与えます。


そして今日面白かったのは親鳥を待つチビっこたち。
 
餌を追って巣の前を往き来する親鳥の動きに合わせて、4羽のチビっこたちが右から左へ、左から右へと同じように頭を動かしてました。
まるでサーキット場を走るF1をスタンドから観戦するお客さんのようで、これは動画に撮りたかったな。
 
 
そんな自由自在に飛び回る親を見てチビっこたちも飛びたくなってきたようです。

巣の中で羽ばたく練習も始まりました。

 

 

隣の末っこは少し迷惑そうにしてますが・・・

 

と思ったら負けじと末っ子も羽ばたいて見せました。

 

 

おいおい、あんまり調子に乗るなよ。
お前この間フライングしたじゃないか。

 

 

羽ばたきの練習が始まったことでいよいよ巣立ちまであと少しです。

 

みんな頑張れ。

 

 

 

 

7月1日 雨



孵化から19日目。

巣立ち間際ですが心配性な大家は常に緊張状態。
まるでスクランブルに備えてアラート待機しているようです。


そして今朝4時、親鳥の「ツピー!ツピー!」と警戒の鳴き声。



こんな時間に一体何事だ!?
もしかして蛇の襲撃か!?

 
 
 
 
 
 

 

スクランブル!!!!!






まるで戦闘機パイロットのように猛烈なダッシュ。




(イメージ画像)



実際は布団から飛び起き、慌てて2階から階段を駆け降り家を飛び出す普通のオッサンです。


外に出て先ず巣を確認しますが蛇の姿は無し。
まだ薄暗くハッキリ見えませんが巣にも異常は無さそう。

しかし親鳥は依然として警戒の鳴き声を上げています。


すると親鳥が1羽のツバメを追うようにして飛び、追われたツバメは地面に止まりました。
ハッキリ見えないものの巣立ち雛に見える・・・



え!?

もしかして巣立った!?



もう一度巣を見返すと、ちょうど親鳥が巣に戻るところで反応したチビっこたちが餌をねだるようにして口を開きました。

黄色く見える口の数は4つ。

うちのチビっこじゃない。
 
 
どうやら好奇心旺盛な他所の巣立ち雛が我が家の玄関前に飛んで来たのが原因のようでした。
 
 
安堵して我にかえると、そこにあるのは午前4時にパンツ一丁で家の前を彷徨く変態。
近所の人が誰もいなかったのが不幸中の幸いでした。
通報される前に大家はそそくさと家の中へ。


そして出勤前の清掃&ツバメファミリーのチェック。

全て異常無しを確認し出勤。


課業時間終了前から秋田市は霧雨が降り視界の悪い状態になりました。

仕事を終えて帰宅後の清掃&ツバメファミリーのチェックでも異常無し。
雨が続いたせいかウンチの量がやや少なく思えたものの極端に少ない訳ではなかったので安心しました。


 

悪天候の為、今日は撮影をしなかったのでツバメに関する小話を。
 
無事に繁殖した幼鳥と成鳥は秋の渡りの時期に越冬地である東南アジアを目指し旅立ちますが、春になるとまた3000~4000kmもの距離を何日もかけて故郷の日本へ帰って来ます。


渡り鳥は長い移動の途中、海を航行中の船で休むことがあると聞いたことがありました。

つい先日、とある会合で海自の方と話す機会がありイージス艦などの水上艦勤務をしている隊員であれば実際に目にしてるのではと思い、これはチャンスと尋ねてみることに。


すると驚きの回答を貰いました。
ツバメが航海中の水上艦に止まってる姿を見たことがありますか?と聞いてみたところ・・・

「見たことありますよ、止まるどころかブリッジなんかに巣を造ってる時があります」


え?
営巣!?


この回答には驚かされました。
更には「何処から巣の材料を運んで来てるのか不思議なんですが、ちゃんと巣立ってますし」と・・・
 
港に長期間停泊してるのであればまだ分かりますが、様々な任務に就く航海中の艦で繁殖してるなんて。
 
 
ちょっとしたツバメミステリー。

面白い話を聞くことができました。
 
 
さてツバメの巣立ちですが早い例ですと孵化から20日というケースもあるそうです。

我が家のチビっこたちは明日で孵化から20日目。
でも一番上の子の様子を見た限り明日の巣立ちはなさそうです。

巣立ちはいつになるのか。
ハラハラドキドキ。

 

 

 

 

7月3日 曇りのち晴れ



孵化から21日目。

もういつ巣立ってもおかしくない時期ということもあり今朝は5時半から観察。


直ぐに気付いたのは今までと違う父ちゃんの行動。
いつもであれば忙しなく餌を運ぶ様子が見られましたが、今日はほとんど餌を運びません。
一方、母ちゃんの方はいつもと変わらず餌を運んでいます。


父ちゃんはつっぱり棒に止まり巣の前を横移動してウロウロ。
かと思えば飛び立って巣の前をホバリングしてまたつっぱり棒に止まります。

 

 

この行動はまさに巣立ちを促しているのではないでしょうか?

想像では餌を咥えたまま巣の前を飛んだりすると思ってましたが、場所や個体によって行動が違うのかな。
いかんせん新人大家が初めて目にすることなので、これに関してはさっぱり分からず。


チビっこたちはそんな父ちゃんを見て巣の中でグルグルと動き回り非常に落ち着かない様子。

そしてチビっこの1羽が巣の縁に止まり身体を反転させ凄い勢いで羽ばたきました。

 

 

この前見た羽ばたきとは違い、練習というより今にも飛びそうな勢い。
 
 
しかし巣の外へ出ることはなく入れ替わり立ち代わりでチビっこたちが羽ばたきを繰り返します。
しばらくその様子を見ていると何処からともなく6羽くらいのツバメが我が家の周りを飛び交い始めました。
 
 
も、もしかしてこれはヘルパー部隊!?

詳しくは分かりませんがツバメが巣立ちを迎える時に他のツバメが現れ巣立ちを支援することがあるそうです。


これはいよいよ時間の問題かとその時が訪れるのを見守っていましたがチビっこは一向に巣を離れず。
時間は過ぎていくばかりで、しばらくするとヘルパー部隊もいなくなり私も出勤の準備を始めないといけない時間。


ふと見ると近くの電柱にトビが止まってました。

成鳥であれば特に問題となる猛禽ではありませんが、巣立ち雛にとっては恐ろしい存在でしょう。

これは今日の巣立ちはないかな?と思い玄関前の清掃をして観察は終了。


そして帰宅後の観察では特に変わったことはなく父ちゃんも普段通り餌を運んでいました。
 
一度だけ朝のように巣の縁に止まり羽ばたきを見せるチビっこがいましたが、それを巣の中にいる末っ子が嘴で押しているシーンを目撃。
「押すなよ!押すなよ!」とまるでダチョウ倶楽部を彷彿させるような光景でした。
 
 
末っ子だけまだ産毛が残っていましたが、上の子たちは産毛も取れてフィールドで見掛ける幼鳥と何ら変わらない容姿に。

 

 

明日が巣立ちになるのかなと思いましたが朝から雨の予報。

親鳥はこの天気をどう判断するのかな?

 

 

 

 

7月4日 曇り



孵化から22日目。

雨予報が出ていましたが今朝は案外いいお天気。
今日巣立つのかと5時半からチビっこたちを観察。

しかしながら昨日と様子が違い親鳥がいつも通り餌を運んできます。
時折チビっこたちが羽ばたきの練習をしますが、巣を出る気配も無し。


昨日現れた巣立ち支援部隊も今日は姿を見せず。
 
どうやら今日の巣立ちはなさそうです。
 
 
朝の観察を終え玄関前の清掃をして出勤。



そして帰宅後はいつも通りツバメファミリーのチェック。
よしよし、みんな元気そう。
 
 
 
ん?

郵便受けの上に枯れ草が乗ってる。


はて?
2ヶ月前もこんなことがあったような。
 
何気なく上を見上げるとそこには・・・

 

 

 

 

 

なんということでしょう!


 

これは紛れもなく匠の仕事。


まるで時間が逆戻りした気分。
一体誰の仕業?


ツバメの大家どころかツバメ不動産になってしまう。
 
 
直ぐそばに巣立ち寸前の雛がいてもこんなことってあるのか。

明日は好天の予報もありチビっこたちの巣立ちが濃厚なので、誰が巣を造り始めたのかも含め一緒に観察してみたいと思います。

 

 

 

 

7月5日 晴れ

 

 

孵化から23日目。

今日は朝からいいお天気。
間違いなく今日巣立つだろうと思い、4時半から張り込み・・・もとい観察。


一昨日のことですが車の中から観察をしているとお向かいの奥様が近寄ってきて「刑事さん、張り込みですか?怪しいよ(笑)」と言われまして、最近ご近所さんからの視線が痛いです。
 
 
観察を始めて間もなく衝撃のシーンが。

 

 

と、父ちゃん?

貴方の仕業だったのか・・・
まだ貴方のお子様たち巣立ってませんが。
 
 
 
 
 
チビ「新しいお家に引っ越しかな?」


そんな訳はない。
しかしながら巣立つ前から次の繁殖の準備することなんてあるのか???

渡りの時期までを逆算してなのか分かりませんが、父ちゃんは巣立ちを促すような行動をしたり餌を運んだり巣材を運んだりと忙しそうにしています。


ツバメってこんな合理的なことをする生き物なんだ。
 
 
その後も観察を続けると5時25分頃、何処からともなくツバメの集団が登場!


来た!来た!来たーーーーー!!!

 

 

巣立ち支援部隊が我が家の周りを飛び交い、近くの電線にも止まっています。

画像には全て写っていませんが、その数15羽以上。


そして家の前の道路に父ちゃんと母ちゃんが降りました。
よく見ると父ちゃんの口には餌が咥えられたまま。


いよいよ巣立ちか・・・

初めてのことなのでしっかりとこの目でその瞬間を見届けたいと思いカメラは構えません。



そして5時33分、何の前触れもなくいきなり飛び出すような形で1羽目の巣立ち。

それから約2分後に同じようにして2羽目が巣立ち、更に2分後に3羽目が巣立ちました。


残るは末っ子。

ちょうど2分置きの間隔で巣立っているので、最後の末っ子は写真に残そうとカメラを構えました。


しかし2分を経過しても末っ子が出てこない。


どうした?

ほら!頑張れったら・・・
 
 
しばらくすると巣立った1羽が不安定ながらも巣の前に飛んできて「出ておいでよ!」と言わんばかりにホバリングを始めました。


その瞬間、末っ子が勢いよく巣を飛び立ちました。

 

 

5時41分、我が家から4羽の雛が無事に巣立ちました。



みんな、おめでとう。
 
 
チビっこたちはお向かいさんの屋根の上や電線に止まり、思い思いに飛び回ります。

そして誰もいなくなった巣へ父ちゃんが飛んで行き巣の縁に止まり、チビっこが残っていないか確認しているようでした。


確認を終えた父ちゃんはお向かいさんの屋根に止まっているチビっこのもとへ。

 

 

その後ヘルパーさんたちは少しずつ我が家の周辺からいなくなりました。


巣の外でツバメファミリーはどんな会話をしているのでしょう。

無事に巣立つことができたチビっこたちですが、これから約10日の短い期間に親鳥から厳しい野生の世界で生きていく術を学び親離れをするそうです。


大家ができることはもう何もありません。

ツバメが我が家にやって来て約2ヶ月、本当に色んなことがありました。
巣造りを始めた当初は手放しで悦びましたが、いざ見守ってみると心配も多く悲しい出来事もありました。

闘うことを苦手とし人間を信頼して繁殖をするツバメですが、命懸けで子育てをして家族を思いやる姿は人間よりも遥かに逞しく感じました。


今日からこの広い大空を羽ばたき始めたチビっこたち。

巣立ち間際で天国に旅立ってしまった4番目のチビと、巣の落下でこの世界に産まれてくることのできなかった5つの命の分まで元気で逞しく、そして父ちゃんと母ちゃんのような立派な成鳥になってくれることを願っています。

 


沢山の感動を本当にありがとう。



ー 完 ー