メールはこちらから

 

 

X (旧Twitter)はこちらから

 

 

2022年9月5日

 

 

 

本日更新する日記は先月21日の観察分から。

 

8月前半は集中的にオオジシギの観察を行いましたが、月の後半はその他の鳥類を観察したいと考え各地を巡回。

 

例年この時期になると北海道で繁殖を終えたショウドウツバメが群れを成して渡ってくることから、渡りの中継地となる地域へ足を運んでみると...

 

電線を埋め尽くすショウドウツバメの大群。

 

 

いつ見ても圧巻の光景ですが画像はほんの一部。

 

空を見上げると沢山の個体が飛び交っており何処を見てもショウドウツバメだらけ。

 

 

こちらの地域では至る所で同様の光景が見られますが、観察のタイミングによっては数えきれない規模の群れを見ることができます。

 

この日は電線に止まる個体だけでも数千羽。

田畑で採餌をしている個体も多く正確な数を把握することは出来ません。

 

 

この様子を写真で表現するにはどの様に撮影したらよいのか毎年考えさせられます。

 

広角レンズで撮影すると画角が広くなる分より多くの個体を取り込める一方、被写体となるショウドウツバメが今一つはっきりせず。

 

 

対して望遠レンズで撮影するとフレームに収まる個体数は減ってしまいます。

 

レンズ選びと撮影角度に加えて背景もまた悩みの種。

 

スッキリとした青空と少し雲を取り入れた背景では印象が異なり例年試行錯誤を繰り返し。

いつになったら納得のいく写真が撮れるのか...

 

 

撮影に関しての話題はほどほどに生態や特徴についてクローズアップ。

 

こちらの地域は付近に塒となる葦原があることに加えて餌を採りやすい田畑もあることから渡りの中継地として適しているようです。

 

環境が良いせいかツバメも多く繁殖しており、ショウドウツバメと共に羽を休める姿も見られました。

 

大きさの違いは一目瞭然。

左はツバメ、右がショウドウツバメ。

 

 

日本で見られるツバメ科の鳥としてショウドウツバメは最小種。

 

繁殖地では土の壁や崖などに小さな穴を掘って巣を作ることから「小洞燕」の名前がついたと言われています。

 

飛翔高度はかなり高い位置を飛ぶこともあり動きは俊敏。

 

 

またツバメに比べると変則的な飛び方をすることも多く、採餌のシーンについてはまともに撮れた試しがありません。

 

私が飛翔シーンを撮影できるのはほとんどが電線に止まる瞬間。

 

 

電線に止まる前は飛翔速度が幾分ゆっくりとなるため、その瞬間を狙って撮影しています。

 

とは言ってもほとんどがピンボケ写真。

闇雲に連写したものの中から当たりを探すというデジタルならではのお話。

フィルム時代であれば破産街道まっしぐらでしょう。

 

 

こうした飛翔シーンを撮ることでパッと見た目には同じであっても羽の特徴から成鳥・幼鳥の違いが見て取れます。

 

成鳥は羽に擦れや傷みが目立ちますが幼鳥の羽は美しくやや淡色。

 

 

電線止まりの個体に目を向けるとその様子も様々。

 

 

寝ている個体、隣にちょっかいを出す個体、羽繕いをする個体、虫干しをする個体と其々過ごし方は異なりますが、こちらは虫干しを写した画像。

 

 

陽の射す方向へ身体を斜めに向けて目を閉じていました。

 

同様の行動はツバメにも見られます。

 

 

こうすることによって寄生する虫を駆除しているようですが、ショウドウツバメは地面に寝転び虫干しすることも。

 

気温が上昇すると地面は焼けるように熱くなり、その熱を利用して虫干しをするケースも確認しています。

 

この日もお天気に恵まれ面白い場面に遭遇することを期待しましたが、秋の空気に包まれたせいか思ったほど気温は上昇せず地面に寝転ぶ姿を見ることはできませんでした。

 

こちらは過去に撮影した画像。

 

 

こういった場面を観察するには猛暑日が予想されるお昼過ぎが狙い目となるかもしれません。

 

 

更に面白い行動の一つとして見られるのが羽毛の争奪戦。

 

何処から見つけてくるのか分かりませんが、上空から落とした羽毛を我先にとフライングキャッチする行動が見られます。

 

残念ながらそちらに関しても今回見ることは出来ませんでしたが、飛翔シーンを撮影した画像を拡大してみると羽を咥えて飛んでいる個体がいることに気付きました。

 

 

例年見る大きな白い羽毛とは異なり何の為に咥えていたのか分かりません。

 

こうした様子を取って見てもショウドウツバメの行動には“遊び”という部分が多く含まれているように思います。

 

あくまでも私の視点による考えで、彼らにとってはもっと意味のある行動なのかもしれませんが...

 

 

渡りの中継地が近場にあることにより毎年大きな群れを観察できる一方、普段見ることのできない繁殖地での暮らしぶりにも興味が尽きません。

 

特に和名の由来となる小洞をいつか観察したいと考えています。

 

年々多忙となりいつになったら観察できるのか見当もつきませんが、実現できるまでに何か一つでも新しい発見ができるようしっかりと観察を続けたいと思います。

 

 

本日の観察日記はここまで。