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2017年3月19日 9/-2 晴れ




―――午前5時。


鳥屋の朝は早い。
野鳥は日の出と共に行動を始め午前10時頃になると休憩に入る。

勿論全ての鳥に当てはまることではないが、一日を通して観察すると昼休みを挟み午後14時頃から再び行動を始める傾向があるようだ。

その為ゴールデンタイムとなる午前10時まで濃密な観察をするため鳥屋は早起きをするのである。



「どれにしようかな」

布団から出てものの数分で戸棚を開く。

「今日は海沿いを回る予定だから・・・これに決めた」


意味不明な験担ぎはいつものこと。
更にはパッケージの人物が否が応でも私の士気を高めてくれる。

期待を胸に熱湯を内側の線まで注ぎフタをして3分待つ。


『お前は何処のわかめじゃ』

 

 

私の半分はカップラーメンで出来ています。

冒頭から話が斜め上に行ってしまいましたが、これは話を盛っている訳でもなくこのようにして私の日曜日は始ります。


「あばよっ!」とは言わないまでも我が家の鳥に声を掛け自宅を出発。

今日の観察は海沿いを回って、お目当てとなる鳥を探しながら行き当たりばったりの観察です。
お目当ての鳥に出会うことができれば一番良いのですが、それは運次第ということで何はともあれいつものルートを北上。


はじめに目についたのはハジロカイツブリ。
日記で紹介するのは随分と久しぶりのような気がします。

ハジロカイツブリは冬鳥として渡来するのでもう時期姿を見ることがなくなりますが冬期間は海岸・港湾・河口・湖沼などあちこちで観察できます。

先ずは以前撮影したハジロカイツブリの写真を。

 

 

この画像は俗に言う冬羽。

 


野鳥は季節によって姿を変える者がいてカイツブリ類いもそれに当てはまります。
夏羽と冬羽では全く違った印象になり今日観察できた個体は夏羽に装いを換えていました。

 

 

同じ鳥とは思えない程の変化です。

渡る間際の時期だからこそ見れる姿。
野鳥は種によりそれぞれのタイミングで羽以外にも特徴を変えるのでそのような変化を観察するのも楽しみの一つ。


次に観察したのは同じカイツブリの仲間であるアカエリカイツブリ。
こちらはハジロカイツブリに比べると個体数が少ないのであまり姿を見かけません。

以前観察したシロエリオオハムと同じように岸壁の近くをこちらに向かって泳いできたところを撮影。

 

 

シロエリオオハムは広い港湾を周回するように岸壁に沿うような形で泳いでいたのですが、アカエリカイツブリは何を思ったのか港湾から狭い水路に入って行きました。


こちらの水路は小さな橋が何本か架かっており、トンネル状になったところから更に進むと殆ど水の流れは無くなります。

カイツブリ類は足が体の後方にあり、潜水が得意な水上生活者。
繁殖も水草や葉を大量に用いて浮き巣をつくる程で、カモ類のように丘に上がって歩くことは苦手です。


「お~い、その先は水が無くなるぞ~!」

 

 

全く聞く耳を持ちません。

橋に移動して真上から声を掛けたのですが水路を奥へ奥へと進んでいきました。

水の流れが徐々に少なくなり引き返してくるのを待っていると足を突っ張りもがくような形で更に奥へと進むアカエリカイツブリ。

 


云わんこっちゃない、遂に座礁しました。

 

 

この後どうするつもりなのか。

しばらく様子を見ていましたが動く気配はなし。
仮にこのままこの場所に留まってしまうと衰弱してしまうでしょう。


保護の時のことを考え一度車に戻りゴム手袋を用意。

時々足をモゾモゾと動かし戻りたそうにしているのですが、やはり泳ぎに特化した足は思うようにいかないようでいよいよ保護かと思った瞬間、意を決したような大きな動きを始めました。

 

 

 

あと少し、頑張れ頑張れ。

 

 

ようやく泳いで進める場所まで戻ることができました。

「水路に入った俺はどうしてくれる?」

 


私の気持ちどころか存在すら無視するように真横を通って行くアカエリカイツブリ。

 

 

水を得た魚ならぬ水を得た鳥はトンネルを潜り抜け無事に広い港湾へ。

 


素知らぬ顔でスィースィーっと泳いでいくアカエリカイツブリ。

 

 

結果としてアカエリカイツブリを構うことで大きく時間を割いてしまいお目当ての鳥を探しだすことはできず。

とは言えお天気にも恵まれ海沿いのドライブは大変気持ちが良く、この景色を見れただけでも足を運んだ甲斐がありました。

 


今日の日記はここまで。