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2022年12月5日

 

 

 

本日更新する日記は先月12日の観察分から。

 

私としては珍しく快晴の空に恵まれたこの休日。

 

秋晴れの下で見るハクガンは美しく、紅葉を背景にしたりと最高のロケーションで観察・撮影を楽しめることでしょう。

 

その一方で今季の珍鳥探しは博打要素が強く空振りに終わる可能性が大。

しかし打席に立たなければヒットを生み出すことはできません。

 

空振りに終わると時間を無駄にしてしまうだけに確実性を取るかロマンを取るか。

 

悩んだ結果ロマンを取りましたが...

 

 

珍鳥どころかスズメすら見ることなく空振りに終わりました。

 

「はい、時間無駄にしたー!」

 

最初から大潟村へ行っていたら良かったとたられば思考で男鹿半島を後にしましたが、大潟村に到着すると県外ナンバーのバードウォッチャーがずらり。

 

大多数はハクガン、若しくはアオハクガンをお目当てとしていたのではないしょうか。

 

多分に漏れず私もアオハクガンを探してみましたがこちらの群れには見当たらず。

 

 

今季は複数のアオハクガンが確認されているとのことで私としても非常に興味があったものの、分散傾向にある群れのなかから探し出すのは骨の折れる作業です。

 

初めに目にした群れには混ざっていなかったことから別の群れを探し始めると太陽に照らされ光輝いて見える白い飛翔体を目にしました。

 

直ぐにハクガンの群れと分かり動向を探っていると徐々にこちら側へ。

 

 

飛翔する群れを撮影しながら同時にアオハクガンを探してみると運良くファインダーに捉えることが出来ました。

 

画像の中央に見える黒っぽい個体がアオハクガン。

 

 

こちらの画像を拡大してみると通称パンダと呼ばれる個体であることが見て取れます。

 

 

周囲を大きく旋回するように飛翔していた群れは二手に分かれると付近の田んぼへ降りる様子を確認できました。

 

この時マガンと折り重なるように降下したことから、どちらの群れにアオハクガンが混ざっているのか分かりません。

 

手始めに光線の条件が良い群れからチェックしてみることに。

 

 

1羽ずつ丁寧に確認作業を進めると無事に発見できましたが...

 

拡大画像を見て分かる通り飛翔時に確認できたパンダではありませんでした。

 

 

この時確認できたアオハクガンは2019年の秋から渡来している成鳥です。

 

その右側に写る黒っぽい個体は成鳥と親子関係にあると思われるアオハクガンの幼鳥。

 

親子関係を立証する根拠はありませんが、北海道で確認されていた頃から常に行動を共にしており勝手ながら親子であると判断しました。

 

 

更に確認作業を進めるとパンダは見つからなかったもののカリガネを発見。

棚から牡丹餅。

 

 

そうこうしているうちにハクガンの群れは少し離れた田んぼへ移動を始め、私は一度距離を置いて群れの動向を探ることに。

 

あちこちから飛来するマガンやヒシクイと離合を繰り返しその様子を暫し観察。

 

 

この時期の大潟村らしい光景を目に出来ましたがそれでも例年より個体数が少ないように感じます。

 

 

特に数が少ないと感じるのはヒシクイ。

大潟村で越冬するガンの大多数はヒシクイであることから全体的にガンが少ないという印象を与えるのかもしれません。

 

 

今秋、秋田市上空を南下するマガンが見られない事象については以前の日記でも触れましたが、宮城県で行われた調査によると渡来数は例年並という結果が得られたようでした。

 

どうやら今秋は渡りのルートが変わっていたようです。

 

 

何が原因となっているのか定かではありませんが、個体数に著しい変化が見られないと知りホッとするところ。

 

大潟村へ渡来するヒシクイの数は今後例年通りになるのか...

 

 

離合を繰り返すガンの群れを眺めて一時間ほど経った頃でしょうか。

分散していたハクガンたちが大きな群れとなり旋回を始めました。

 

 

壮観な光景を目の前に撮影したい気持ちと肉眼で眺めたいという気持ちの鬩ぎ合い。

 

旋回していたハクガンの群れは再び分散を始め四方八方へ。

 

 

分散した群れのうち、ある程度纏まった数が観察し易い田んぼへ降りたことからそちらへ移動。

 

適切な位置から確認作業に入るとパンダを発見でき観察を始めましたが...

 

 

この時、県外のバードウォッチャーが続々と現れ車外からの観察を始めたため地元のバードウォッチャーに注意される場面がありました。

 

首都圏では三脚を立てて撮影することが当たり前のスタイルかもしれません。

しかしガンを撮影するにあたり、より良い場面を見る為には車内からの観察をお奨めします。

 

せっかく良い位置取りができても車を降りて警戒させてしまっては意味がありません。

 

 

この後パンダを見失ってしまい再び元の場所へ戻ると親子で行動しているアオハクガンを発見。

 

 

しかし光線の条件が悪く良い観察は出来そうにもありませんでした。

 

こちらは少数見られたシジュウカラガン。

 

 

秋が深まる頃、本県は13時を過ぎると観察の位置取りが難しくなり14時になると夕方を思わせる色合いに変化していきます。

 

そのため西日本からお越しの方にとっては日暮れが極端に早いと感じるかもしれません。

 

 

「今日の観察はここまでかな」と思っていたところ突然の飛び立ち。

視界がガンの群れに埋め尽くされました。

 

 

不自然な飛び立ちに首を傾げましたが、離れた場所に居た群れが一斉に飛び立ちそれに釣られて飛んだようです。

 

アオハクガンについては今後良い条件で観察できる日もあることでしょう。

その様な思いからこの日の観察はここまでとして大潟村を離れることに。

 

 

本来であれば観察日記はここまでとなる予定でしたが、帰りの道中に思わぬ場面を見ることが出来ました。

 

水辺に入るハクガンの群れ。

明るい時間帯に水辺で見られることは珍しく、水浴びの様子を観察することが出来ました。

 

 

過去の観察を振り返ってみても水浴びをする姿は見たことがありません。

塒入り・塒立ちを覗き、本県においての観察は田んぼに居る姿がほとんどです。

 

水辺へ降りる個体、水浴びする個体、水辺を離れる個体と各々を観察。

 

 

その傍らマガン・ヒシクイ・ハクガンの群れが飛び交う様子も見られ、壮観に思える一方で気掛かりなのは風力発電。

 

 

ガンの塒となっている地域に建設の計画が持ち上がる他、秋田沖への洋上風力は更に数を増やし100機以上建設されるそうです。

 

建設する海域を広げるという計画も耳にしましたが、この様な大規模開発は鳥類だけではなく様々な生き物にとって大きな脅威となることでしょう。

 

開発する側の方には机上論ではなく、無数にガンが飛び交う様子を実際に見てどれほど影響があるのか考えてもらえるとよいのですが...

 

 

その様なことを考えつつ、この日は大潟村を後にしました。

 

 

本日の観察日記はここまで。