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2022年8月29日

 

 

 

本日更新する日記はオオジシギの観察記。

 

今年も私にとって楽しみにしている季節がやってきました。

 

日本に夏鳥として渡ってきたオオジシギが繁殖を終えて越冬地であるオーストラリアを目指し移動を始めています。

 

渡りの中継地として本県にも渡来していますが、そのほとんどは北海道で繁殖している個体群でしょう。

 

 

自宅近くにおいて今季も繁殖個体を確認できましたが、本県で繁殖する個体は年々数を減らしており日本全体で見ても減少傾向にあるようです。

 

今は定期的に観察することができても近い将来どうなるのか...

大規模な開発による環境破壊、地球規模で続く異常気象など現状を直視すると懸念材料しかありません。

 

そのため『観察するなら今のうち』といった気持ちも少なからずあることは確か。

 

冒頭から暗い話題になってしまいましたが、オオジシギの南下に合わせ8月の前半は集中的に観察を行いました。

 

 

先ずは8月7日の様子から。

 

例年7月下旬に渡来を確認しますが、今季は例年に比べるとやや遅い渡来であったように思います。

 

 

オオジシギはある程度纏まった数で渡ってくることから、1羽確認できると相次いで見られるといった印象。

 

この日、私が観察を行う農耕地をざっと見て回っただけでも20羽ほどの個体を確認できました。

 

 

注意深く見て回るとより多く確認できたかもしれません。

 

ジシギを観察するにあたり重要となるのはいち早く見つけられるかどうか。

 

警戒範囲に入ると身を伏せるような姿勢を取るため、例え目の前に居ても存在に気付くことは困難。

 

 

闇雲に探しても飛ばしてしまうだけの繰り返しになってしまいます。

 

また1羽飛ばすことにより周囲に潜む個体も釣られるように飛んでしまうため、発見した個体を如何に警戒させないかが観察の肝となるでしょう。

 

 

仮に飛ばしてしまった個体の後を追っても興奮状態が続いているため、後を追ったところで良い観察は出来ません。

 

興奮している個体に近付くと再び飛んでしまいます。

 

 

※文章に照らし合わせて画像を掲載していますがわざと飛ばしている訳ではありません。

農家さんの往来など偶発的に撮影できた画像を使用しています。

 

 

ジシギを観察するにあたって注意点を幾つか説明しましたが環境によって観察難易度は異なります。

 

私が足繁く通う農耕地は綺麗に整備されているため容易に観察を行ってきましたが、今季に限っては農道や畔の草刈りがほとんどとされておらず観察難易度が途端に跳ね上がりました。

 

見つける個体のほとんどが田畑の中間位置。

草丈もあり識別の要となる外側尾羽を見ることが出来ません。

 

 

草に紛れることで発見が遅れた個体は近過ぎてこの姿勢。

 

 

この状態で不用意に車を動かすと飛んでしまうおそれから私も身動きが取れませんでした。

 

存在に気付かず接近した個体は飛ぶか伏せるかのどちらかですが、幸いにして飛ぶことがなくても伏せた個体のほとんどは身を起こした途端に走り去ってしまいます。

 

 

こうした状態では良い観察が出来ないと考え夏期休暇が始まった11日に出直してみると...

 

 

草刈りが全く行われておらず手付かずのまま。

秋田県は8月に入ってから雨の日が多く、災害が発生するほどの豪雨に見舞われた日もありました。

 

この影響から草刈りを行うタイミングを失っていたのかもしれません。

 

農家さんの軽トラが走ると次々に飛ぶオオジシギ。

 

 

画像に写るのは10羽の群れですが、この日確認できたオオジシギは約30羽ほど。

 

数日の間に一段と数を増やしていたようです。

 

非タシギ(ここで指すのはオオジシギ・チュウジシギ・ハリオシギ)は身の丈ほどの草が疎らに生えた場所を好む傾向にありますが、草がボーボーに密集した場所には入りません。

 

猛禽に狙われた際など緊急性がない限り、草の深いところには入らずある程度見通しの良い場所を好みます。

 

 

草刈りが行われないせいか今季は農道や畔よりも枝豆畑に居ることが多く、良い形での観察に漕ぎ着けるまで一苦労。

 

見つけることができても観察に結び付くかは別問題です。

 

 

畔で見られる個体は警戒させることがなければ相手側から近付いてくるケースも多く例年は良い条件で観察させてもらっていますが、今季は良い個体に巡り逢うまで相当難儀させられました。

 

適度に距離を保った状態で発見したこの個体はこちら側へ寄ってくる気配。

 

 

畔をジグザグに進みながら餌を採っていました。

 

 

ある程度腹が満たされると畔の上で休憩することが多く、この時度々目にするのは嘴を何度も開閉させる行動。

 

 

更に嘴の先端部をクネクネと動かす謎の行動は一体何を意味するのか未だに分かりません。

 

 

思い出したように再び餌を採り始めると最終的には目の前まで。

 

流石にここまで来ると引き返しました。

 

 

やっとの思いで観察らしい観察をすることができたものの、伸びをした際に見える腋羽や外側尾羽を見ることは叶わず...

 

 

夏期休暇は11日~15日まで5日間の休日でしたが、豪雨になった時間も多く観察は極めて断片的なものでした。

 

その様ななかじっくり観察することができたのはこちらの個体。

 

 

枝豆畑に居るところを発見しましたが警戒心を全く感じません。

 

私が目の前に居るにも関わらずのんびりとした様子。

 

 

時々畑の中に隠れることはあっても直ぐに出て来るといった行動を繰り返していました。

 

 

畑から出てきた際、嘴を開閉させる行動を見せ暫く身動きを取らなかったことから畑の中で餌を採っていたものと想像できます。

 

 

枝豆畑をウロウロしていたオオジシギは畔の上へ。

 

こちらで一休憩。

やはり畔の上の方が落ち着くのでしょうか。

 

 

暫く休憩を挟むと畔から降りて餌を採り始めました。

 

 

意外にもこの時は私の定説を覆すような場所で採餌。

 

 

やはりこちらの個体も畔の乗り越えジグザグに歩きます。

 

 

あまりにも近寄ってくることでフレームから外れてしまうことも多く、残った画像は構図もへったくれもありません。

 

 

図鑑写真のオンパレード。

 

 

この様に図鑑写真を撮らせてくれるほど警戒心の無い個体であったことから、羽の細部まで見せてくれるだろうと期待していましたが...

 

 

私の期待も虚しく農道を挟んで向かい側の畑へ移動してしまいました。

 

結局この時も一番見たい部分を見ることができずに終わり、休暇中に唯一腋羽を見せてくれた個体がこちら。

 

 

田んぼの縁へ出てきた個体ですが、雨滴を払うため身震いをした後に腋羽を見せてくれました。

 

見ての通り真っ黒。

 

 

脇の縞模様が黒く見える特徴こそ非タシギである証し。

一方でタシギは白が優勢です。

 

伸びをした後に直ぐ飛び去ってしまい結局この時も尾羽を見ることは出来ませんでした。

 

 

今回の日記に掲載している個体は全てオオジシギと判断していますが、その根拠を示す確たる証拠はありません。

 

識別の要となる外側尾羽を見ることが出来なければ断定することはできず、あくまでも見た目からの判断です。

 

こうした理由から観察内容に物足りなさを感じ、翌日も観察へ出向いてみると...

 

 

見事なまでに蛻の殻。

どうやら一晩のうちに移動してしまったようでした。

 

8月前半は残念な結果に終わりましたがオオジシギの観察は暫く続ける予定。

併せてチュウジシギやハリオシギも探したいと思っていますが、果たして草刈りはいつ行われるのでしょうか...

 

農家さんが迅速に作業してくれることを願い本日の観察日記はここまでとします。