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2023年10月2日

 

 

 

本日更新する日記は先月17日の観察分から。

 

雨予報だったこの週末、蓋を開けてみると青空が見える好天に恵まれました。

 

予報が予報だっただけにこれといった計画を立てておらず、田んぼでタシギでも探そうかと思いましたが真夏日の予想...

 

茹だる暑さのなかで田んぼ巡りをしてもオオジシギの二の舞になってしまうことは目に見えています。

 

他地域のようにシギチの観察を楽しめるのであれば悩む必要はありませんが観察の幅が狭くなってしまった現在は何を観察するかが悩みの種。

 

X(旧Twitter)を閲覧するとタイムラインに表示されるのは各地から報じられるタカの渡りの内容が多く、私も右に倣ってタカの渡りを観察することに決めました。

 

 

野鳥の会 秋田県支部の皆さんが定点観察を行っている場所へ行ってみると意外にも誰一人おらず...

定点入りする時間が早過ぎたのか。

 

年に一度顔を見せる程度の私には普段の様子が分かりません。

 

何はともあれ8時20分より観察を開始。

 

 

観察を始めて間もなく目の前を横切るように突然ツミが現れ付近の松の木へ飛び込みました。

 

これはチャンスと双眼鏡を覗いたものの姿が見えず。

そこで角度を変え四方八方から覗いてみたものの相手の方が一枚上手で目視することはできませんでした。

 

 

このタイミングで野鳥の会の方が観察に訪れ、一人...二人...三人と続々観察者が増えホッと一安心。

 

タカの渡りは目が多くなるほど圧倒的に有利です。

 

気を取り直して観察に当たると遥か前方にハイタカとツミを確認。

 

 

これでも画像は相当拡大しています。

 

1羽確認できると付近に別個体が見つかるのはよくある話。

この時も例外ではありませんでした。

 

 

タカの渡りを観察していると連鎖的に確認されることが多く、距離が離れていればいるほど湧いて出るような感覚があります。

 

観察中によく見られたのはツミが自分よりも大きな猛禽にちょっかいを出す姿。

 

 

ツミの気の強さを感じますが何故こうしてちょっかいを出すのでしょう。

 

遥か彼方で確認できた個体が此方へ向かってくるかは運次第。

スコープや双眼鏡を用いて渡りのタカを探し出しますが定点上空を通過するとは限りません。

 

しかしこの日の朝は順調な滑り出しでした。

 

 

ハイタカとツミが続々と渡っていき同時に複数の個体が通過する場面も。

 

 

こういった場合、どの個体を撮影するか迷ってしまいますが正確な同定をするにあたって画像は有効な判断材料になります。

 

 

そのため手当たり次第に撮影することもあり、この時も撮影できた画像を拡大して確認すると...

 

「こ、これは...」

 

 

何と驚きのアカハラダカ。

 

一緒に観察していた野鳥の会の方と画像を見せ合い本当に驚きましたが、まさか地元でアカハラダカが見られるとは思ってもみませんでした。

 

支部の先輩の話によると秋田県では初記録になるそうです。

 

今回のアカハラダカは居合わせた方たち皆さんの記録。

私にとっては棚から牡丹餅。

 

 

情報筋から得た情報では、この日の前々日に室蘭でも2羽確認されていたのだとか。

渡りのルートからは大きく外れていますが、これまでにもアカハラダカが本県を通過していた可能性は大いにあります。

 

意識して観察することにより今後アカハラダカの記録は増えるかもしれません。

 

 

その後観察者は続々と増え、定点観察地は賑やかな状態に。

 

 

この後もハイカタ属の確認が相次いだもののハチクマに関しては一向に確認できず。

 

これまでの記録を振り返るとツミの数が圧倒的に優勢でした。

 

 

ハチクマの渡りを「今か今か」と待っていましたが、本県でツミを観察できるのは渡りの時期がほとんど。

 

これだけ多くの個体が見られるにも関わらず繁殖期に見た記憶はありません。

 

一方でハチクマは里山で調査を行う際に飛翔する姿をよく見かけます。

 

 

首都圏のように公園でツミが繁殖したという例も聞いたことはありませんし、一体何処で繁殖しているのでしょう。

 

石垣島で観察できたリュウキュウツミの例を考えると、人里から離れた森の中でひっそりと繁殖しているのかもしれません。

 

 

私は夏鳥が繁殖する時期に森の中へ入る機会はほとんど無いため、必然的にツミを見るのは渡りの時期。

 

ハイタカは冬にも見られますが、留鳥なのか遥か北の地域から南下してきた個体なのかは謎のまま。

 

 

物思いに耽っているとハイタカよりもやや大きなタカが遥か彼方でタカ柱を作っていました。

 

その後、続々とこちら側へ。

 

 

定点に到達すると上昇気流を捉えソアリング。

 

この時に見られたタカは全てサシバでした。

 

 

定点観察地はサシバの繁殖地として北限に近い地域にあるためサシバのタカ柱が見られるのは珍しいケース。

 

一定の高度に達すると次々と南の方角へ流れていきました。

 

 

サシバの群れがこの日のハイライトとなり、その後は“遠い・高い”の連続。

 

それでも渡りを確認できれば良いのですが空を眺めるだけの時間帯が増え苦行と言える状況に...

 

 

時間の経過と共に気温は上昇しこの日の最高気温は32℃と季節外れの暑さ。

ほんの数年前までタカの渡りの時期は朝晩は寒く日中は過ごし易い気候だったはず。

 

僅か数年のうちにここまで気候が変化することに恐ろしささえ感じます。

 

 

午後になると待望のハチクマが確認され、一度に12羽の渡りが見られる場面も。

しかし定点から遠く離れた場所を通過することが多く600mmの望遠レンズを持ってしてもこの通り。

 

 

肉眼で見られたのはほんの僅かであったことから単独の観察であれば相当見落としていたことでしょう。

 

双眼鏡でやっと確認できるかどうかの観察は、ある意味で探鳥力を試されているかのようでした。

 

 

手持ち無沙汰を感じる時間が続くと問題となるのは止め時。

観察を終えてから『あの後は凄かった』という話を聞かされてはたまったものではありません。

 

私に至っては頭から湯気を出して発狂すること間違いなし。

こうした理由からタカの渡りの観察は止め時が非常に難しいと感じますが、意を決して13時40分に戦線離脱。

 

8時20分から観察を始め、この時までに確認できたタカは以下の通り。

 

・ツミ 13羽

・ハイタカ 6羽

・アカハラダカ 1羽

・サシバ 10羽

・ハチクマ 29羽

 

案の定、定点を離れた後にハチクマの群れが通過したとの報告を受けましたが、連日暑いなかで観察を続ける野鳥の会の方々には頭が下がる思い。

 

この日見られた渡りの個体は羽数として少なかったものの、久しぶり顔を合わせる先輩方と一緒に観察できたことは私にとって有意義な時間となりました。

 

来年は観察場所の選定も含め、今回と違った観察ができればと考えています。

 

 

本日の観察日記はここまで。