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2023年2月20日

 

 

 

本日更新する日記は始めに先月14日の観察分から。

 

季節外れの暖かさが続いたこの週は秋田市上空を北上するガンの群れが見られました。

 

特に13日は万単位を数えるガンの群れが通過。

 

例年見られる光景ではありますが、本来であれば2月に入ってから北帰行が始まり、ちょうど今時期に本格化するため1月に見られるのは異例のこと。

 

 

秋田市上空を通過する個体群のほとんどは宮城県で越冬するマガンたち。

季節外れの暖かさは彼らの感覚をも狂わせてしまったのでしょう。

 

 

こうした様子から大潟村周辺はさぞ賑やかになっていることだろうと思い、この日は大潟村周辺での観察を計画しましたが朝から生憎の空模様。

 

霧雨が降り視界も悪く、所によっては濃霧の影響を受ける場所もありました。

 

ケアシノスリを探す傍らガンの様子を見て回ると、やはりマガンの数が増えており春を思わせる光景が。

 

更に感覚を狂わせたのは田畑の様子。

年末年始に降り積もった雪も連日の雨によって融けて無くなり、過去にこうした冬を経験した記憶はありません。

 

田んぼで採餌するマガンを横目にケアシノスリを探していたところキラキラと白く光って見える飛翔体を目にしました。

 

 

正体は久しぶりに見たハクガンの群れ。

 

 

同じような風景が広がる大潟村においても採餌はある程度限られたエリアで行われていますが、この時目にしたエリアは普段と全く異なる場所でした。

 

大きな群れの他に幾つか小規模な群れも点在し、総数としては今季渡来している個体が全て揃っていたように思います。

 

 

本隊と思える群れを最後に見たのは昨年の初冬の頃だったでしょうか。

久しぶり見る本隊の群れは広角レンズで撮影。

 

それでも全ての個体をフレームに収めることは出来ませんでした。

 

 

もう少し離れた位置から撮影すると良かったと思いますが、霧の影響を受け少し離れると白い線にしか見えません。

 

群れのなかにはアオハクガンの親子も混ざっており、こちらは望遠レンズで撮影。

 

 

注目すべき点は幼鳥の換羽の状況。

明らかに渡来当初とは異なり、頭部に顕著な変化が見られます。

 

加えて嘴の色にも変化が見られました。

 

 

暗灰褐色をしていた嘴は赤みを帯びて成長の度合いを感じます。

 

こちらは別の個体群。

 

 

ハクガンの幼鳥もまた換羽が進んでいる個体が多く、渡来当初に比べると変化が見られます。

 

飛び立ちの瞬間。

 

 

大小其々の群れを見て回り本腰を入れてケアシノスリの捜索に当たりましたが何処を見て回っても見つかりません。

 

 

行き着いた先は先週(1月8日)コミミズクを観察できたエリアでした。

農道をゆっくりと進み用水路沿いのブッシュを見てみるとまたもやコミミズクと遭遇。

 

 

先週観察できた場所から3~4mほど離れていましたが、羽の特徴から同個体と判断。

どうやらこの場所を塒にしているようです。

 

 

暫く様子を伺ってみるとこちらを気にする素振りが見られません。

そのためローアングルで撮影してみると...

 

 

顔を真っ正面に向けてこちらを直視。

警戒させてしまいました。

 

昔の自分であればこちらを見てくれたと喜んでいたことでしょう。

 

しかし観察歴が長くなるにつれ自然体を意識するようになると、こうした写真は嫌なものと感じるように...

 

 

フクロウ類が目を見開きこちらを見ている姿は警戒を意味します。

過去に撮影した画像を振り返ってみるとこうした画像が山ほどありました。

 

他の例として猛禽類の飛翔シーンにありがちなのが後ろ向きであるのに目線だけはしっかりとこちらを向いているという場面。

 

ほとんどの場合において相手が嫌がり距離を取られたケース。

 

 

ほんの一例に過ぎませんが観察対象がこちらを見ている場合は相手が意識しているものと捉え、如何にその様な状況を作り出さないようにするか考えるようになりました。

 

次に掲載するのは付近で見つけた別個体の画像。

 

 

この個体との距離は手を伸ばせば届くような位置。

望遠レンズでの撮影は不可となるため短めのズームレンズを使用して撮影を行っています。

 

更に角度を変えて撮影した画像がこちら。

 

 

コミミズクの目は網膜から瞳孔までの前眼房が分厚く、この特徴を画像に残したいと考え撮影を行いましたが、画像を拡大するとビー玉のような眼をしていることが見て取れます。

 

 

相手がこちらを意識していないからこそ撮らせてもらえた画像であり、警戒させた状態では見ることさえできません。

 

コミミズクの観察については特殊なケースが多く他の鳥類に全てを当てはめることはできませんが、観察対象を警戒させないという部分については野鳥撮影において大事な共通点であると考えます。

 

 

一頻りコミミズクを観察した後はケアシノスリを探して回りましたが、やはり見つけることはできず...

 

それならばと気分を変えてカリガネを探して回ると変なマガンを発見。

 

 

「黄色いアイリング、黄色いアイリング」と呟きながら目にした個体は白いアイメイクを施した変な個体でした。

 

 

結局この日もケアシノスリを見つけることはできずに終わりましたが、最後に変なマガンを観察したことでそれなりに満足感を得られる一日となりました。

 

 

ここからは翌日(先月15日)の観察分から。

 

 

度重なるコミミズクとの出会いに塒が確かなものであるのか調べてみようと思い、この日は朝一番で塒を疑うエリアへ足を運んでみたところ...

 

「やっぱり居た」

 

 

この場所を塒としていることは間違いなさそうです。

日によって場所は異なるものの範囲としては半径5mほどの距離でしょうか。

 

 

おそらく急激な積雪の増加など環境に著しい変化が無い限り、今季は“行くと会える”コミミズクになりました。

 

この時はほぼ真上からの撮影。

 

 

塒の確認が取れたところでケアシノスリの捜索へ出ましたが、この日も見つけることはできず。

完全に心は折れてしまい当てもなく彷徨っていたところ...

 

草むらに見えたのはコミミズクの影。

 

 

上手に隠れているものです。

 

塒を確認できた場所と同様に、こちらのエリアにも複数の個体が生息しているようでした。

 

 

新年を迎えて以降、道東~自宅近く~大潟村周辺とコミミズクの観察が毎度のように続いていますがフクロウ類に縁のある年となるのでしょうか。

 

草むらに隠れる個体がいる一方、こちらの個体は丸見え。

 

 

同じコミミズクでも其々特徴が異なり、観察の機会が多くなるほど特徴の違いを実感します。

 

こちらの個体は随分と白っぽい印象を受けました。

 

 

結果的にこの週末はほとんどの時間をコミミズクの観察に費やし、そろそろ別の鳥を見たいところでしたが次の週末には記録的な寒波襲来の予報が...

 

 

この寒波は吉と出るのか凶と出るのか。

 

翌週の観察は一体どの様なものとなるのか見当もつきませんでしたが、良い観察に結び付くことを願い大潟村を後にしました。

 

 

本日の観察日記はここまで。