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2023年3月27日

 

 

 

本日更新する日記は今月5日の観察分から。

 

3月最初の週末はガンの塒立ちの観察を計画。

宮城県で越冬していた個体群が北帰行する際、渡りの中継地として大潟村周辺に集結するため羽数が増えるタイミングを狙っての観察です。

 

 

ちょうどこの日は快晴予報。

風も穏やかな予報で塒立ちの観察にあたって最高の観察日和になるはず。

 

その様な思いで午前5時20分、現地へ到着し外に出てみると予想していたよりもガンの鳴き声が控えめに感じました。

 

まだ真っ暗闇で何も見えないため凡その数も分かりませんが、聞こえてくる鳴き声の雰囲気は大事な指標となります。

 

2月下旬に纏まった数の群れが秋田市上空を北上していたことから、この週末がピークになると予想していたのですが...

 

 

現地へ到着して10分ほど経過した頃、うっすらと空が明るくなり始めカメラの感度を上げて撮影。

 

 

実際はもっと暗く見えますが、画像からもガンの数は思ったほどではないということが判明しました。

 

少々残念な気持ちはあったものの野生の生き物が相手とあってこればかりは仕方ありません。

 

時間の経過と共に空の色が刻々と変わり、撮影できる画像もその時々で変化します。

 

 

静止画は手持ちのズームレンズ、動画は三脚を使用し2台態勢で塒立ちの瞬間を待っていると...

 

5時50分、ガンの鳴き声が一際大きくなった瞬間に塒立ちが始まりました。

 

 

黒い線のように見えていたガンの群れは点となり瞬く間に広がると視界はガンの群れによって覆われていきます。

 

まだ暗い時間帯に撮影した画像のため、この時の写真はWeb上で見るには向かないかもしれません。

 

 

多数のガンが一斉に飛び立ち間近に迫ってくることから羽ばたきによる空気の振動が伝わってくるような感覚。

 

塒立ちは観察というより体感するものと云っても過言ではないでしょう。

 

 

水辺を離れたガンの群れは周囲を旋回するように飛翔すると再び水辺へ戻る様子が見られました。

 

塒立ちはその時々で様子が異なり一概に言うことはできませんが、ほとんどのケースで二度三度と見られることが多いようです。

 

 

そのため撮影のやり直しが可能であり、ここで軌道修正。

本格的な塒立ちの瞬間に備えどの様にフレーミングするかを考え本番に備えました。

 

だいぶ空が明るくなってきた6時26分、今度は何の前触れもなく突然の塒立ち。

 

 

徐々に視界が覆われる瞬間が個人的に一番好きなシーン。

 

 

その瞬間を切り取るためイメージに近くなるよう撮影してみましたが何となく今一つ...

 

 

ガンの群れが思った方向へ多く飛ばなかったことに加えて、やはり羽数そのものが少ないことが影響したでしょうか。

 

もっとも一番の原因は自分にあり。

腕の悪さが露呈した結果となりましたが、イメージ通りに撮影するのは難しいものです。

 

あれこれ語りましたが動画を見ると一目瞭然。

録画ボタンを押すだけで何も語る必要がない動画というものは本当に楽だと感じます。

 

 

映像からも分かる通り一部の群れは再び水辺へ戻りましたが、その後一斉に飛び立つ様子は見られませんでした。

 

こちらは単発的に水辺を離れる個体群。

 

 

太陽が昇りすっかりと明るくなった水辺の様子。

 

 

後日談となりますが、私が観察を行った2日前には過去最大規模の20万羽の塒立ちが見られたそうです。

 

天候の良い日が続き気温も上昇傾向にあったことから僅か数日のうちに北上してしまったのでしょう。

 

勤め人とあって良いタイミングを狙って観察することはできませんが、いつの日か20万羽が一斉に飛び立つ様子を見てみたいものです。

 

 

塒立ちの観察を終えて、この後は田畑の様子を見て回ることに。

 

既に秋田県以北の地域へ移動してしまった個体が多かった為、やはり田畑で見られるガンは少なく閑散とした様子でした。

 

僅かに残るガンを見て回ると凡そ1000羽ほどのシジュウカラガンの群れに遭遇。

 

 

こちらの群れの近くではシジュウカラガン、マガンの群れに混ざる2羽のハクガンも見られました。

 

 

移動している際にムクドリの群れが見られたことから、1羽1羽丁寧にチェックしてみるとホシムクドリを1羽確認。

 

嘗て秋田では珍鳥だったホシムクドリも容易に見られるようになり、今後鳥相がどの様に変化していくのか気になります。

 

 

疎らに見られるガンを横目に移動していたところ、道路端で採餌をするマガンを目にしました。

 

秋田で越冬する個体と警戒心の違いから宮城県で越冬していた個体と判断。

この距離を活かしカリガネが混ざっていないか確認してみると...

 

 

黄色いアイリングを持つこちらの個体、カリガネもどきのマガン。

マガンのなかにはこの様な特徴を持つ個体が少数ながらも一定数見られます。

 

野鳥観察を始めて間もない頃、この様なマガンを見つけカリガネを発見したと喜んでいたことがありました。

 

野鳥の同定は様々な識別点を複合的に見ることが重要です。

 

 

カリガネもどきを見て間もなく、田んぼの畦に佇むオジロワシを発見。

 

間もなく姿を消す頃だと思いカメラを向けましたが、気温の上昇に伴い地表との温度差が激しく陽炎の影響を受けてしまいモヤッとした画像に...

 

 

大気の揺らぎからも季節の移ろいを感じさせられました。

 

カラスに追われていたのは渡りの個体でしょうか。

 

 

そこかしこでオジロワシやオオワシが確認できたものの見られる場所や行動の変化、飛翔する高度からも冬の終わりを感じる一日となりました。

 

今季、大潟村周辺での観察はここまで。

観察のステージを変え、また新たな出会いに期待です。

 

 

本日の観察日記はこれにておしまい。