メールはこちらから

 

 

X (旧Twitter)はこちらから

 

 

2020年9月26日 23/16℃ 曇り




今週末も先週に引き続きタカの渡りの観察へ。

早朝から雲がべったりと広がりタカの渡りを観察するには些か不安を覚えましたが、行かずに後悔するよりなら行って後悔するべし。

観察拠点に辿り着くと濃霧に包まれ全く視界の効かない状態・・・
後悔しかありませんでした。

 


それでも一縷の望みをかけて天候の回復を待っていると徐々に霧が流れ、それと同時にアマツバメとハリオアマツバメの混群が飛来
辺りを数百羽の群れが飛び交い始めたことからタカが見られるまでの間、こちらの群れを観察することにしました。

観察と言っても近くに飛んできた個体の撮影を試みるか、飛び交う姿を眺めてるだけというもの。

 

 

出来ることなら空抜けではなく背景のある写真を撮影したかったのですが、山を背景にした途端AFが全く役に立ちません。

飛行速度が速すぎて背景にピントを引っ張られ、唯一撮れたのはガスの晴れない谷間を縫って飛翔する姿。

 

 

「メーカーさん、被写体に食い付いたままピントを外さないカメラを開発して下さい」

 

切なる願いを呟きながら観察を続けていると、霧の晴れた谷間を白い鳥が飛んでいました。
距離も離れており、一体何が飛んでいるのか分かりませんでしたが取り合えず証拠写真を残そうとカメラを構えてみたもののやはりピントが追い付かず・・・

そこでMFに切り替え闇雲に連写。

 

 

「何だこの鳥???」

種類こそ分からなかったものの、飛翔する姿は辺りを飛び交うアマツバメにそっくり。

謎の白い鳥は高度を上げて飛び始めたことから再びAFに切り替えて撮影を試みました。
空抜けであればAFが効くはずです。

ファインダーから外さないようにひたすら連写。
距離が少し近くなったこともあり漸く正体が判明しました。

 

 

謎の白い鳥の正体はアマツバメの白変種。
通称バフ変と呼ばれる個体です。

色素が減少して白化したものでメラニンの遺伝情報が欠損して白化したアルビノとは異なり、腰の白さに比べると全体的に淡い灰褐色のように見えました。

 

 

もしアルビノの個体であれば腰の白色が目立つことはなく純白で眼の色は赤く見えるはずです。

但しこの時は眼の色まで確認できるような画像を残すことはできませんでした。

こちらは体下面を撮影したものになりますが一様に灰褐色をしていることが分かります。

 

 

水平に飛翔する姿も。

 

 

一度だけ目の前に急接近して来ることがありましたが、残念ながらカメラワークが追い付かず画像に残すことはできず。

 

AF以前に自分の腕に問題があるようです・・・

バフ変のアマツバメは山を越えると姿が見えなくなり、このタイミングで再び濃霧に包まれタカの渡りは見ることができない状態に。
天候の回復が見込めなかったことから、この日はバフ変のアマツバメを見れたことで良しと考え午後は場所を移動してジシギ探しへ。

 


念入りに田んぼを見て回ると畔に腰を下ろし羽を休めるジシギを発見。
どうやらチュウジシギのようです。

 

 

ここからチュウジシギと根比べの時間が始まりましたが、結局私の根負けで観察らしい観察が出来ないままこの日の観察は終了となりました。

 

 

 

 

2020年9月27日 23/15℃ 曇りのち晴れ

 



この日も懲りずにタカの渡りの観察へ。

意気揚々と観察拠点へ向かってみたものの、普段見えるはずの標高の低い山々が霧に包まれ全く見えません。

この状態では確実に無駄足になると考え、急遽予定を変更して早朝からジシギ探しをしてみることにしました。
未明まで雨が降っていたこともありジシギが活発に動いている可能性が高そうです。

 


いつもの農耕地を辿り着き、農道をゆっくりと移動しながらジシギ探しを始めると農道脇の草地から小鳥が飛び立ち20mほど前方に移動しました。

この時に感じた強烈な違和感。
今時期こちらの農耕地で見られる小鳥と言えばスズメ・カワラヒワ・ホオジロ・ヒバリ・ノビタキ・ハクセキレイと相場が決まっています。

しかし前方に移動した鳥の印象はどれに当てはまるものでもありませんでした。
フロントガラス越しに確認しようと思った瞬間、気になる小鳥は飛び立ち畔に下りると一目散に稲の中へ。

一瞬でしたが腹が黄色く見え、頭の中を過ったのが先日観察することのできたシマセンニュウの幼鳥。
行動パターンからしてもその可能性が高く、稲の中から出てくることを期待し待ってみることに・・・

 


しかし幾ら待っても姿を見せることがなく気になる小鳥に見切りをつけて渋々ジシギ探しを再開。

タシギと思われる個体が私が見つけるよりも先に飛び立ってしまい思うような観察が出来ずヤキモキしていると、倒伏の激しい田んぼでシマセンニュウの幼鳥を発見。

 

 

やはり稲刈り前の田んぼにはシマセンニュウが潜んでいるようです

何か虫でも捕食しているのか、倒伏した稲の上を歩き回り落ち着きのない動きを見せました。

 

 

間もなく姿が見えなくなり、辺りを見渡していると私の目の前に成鳥の姿が。
あまりにも近すぎて身動きが取れませんでしたが、仮に撮影を試みたとしてもピントが合わなかったことでしょう。

成鳥が稲の中に身を隠してからは暫く姿の見えない時間が続き、ここで最初に撮影できた幼鳥の画像を拡大してチェックを行いました

 

 

「何か違和感があるな・・・」

以前の観察でも幼鳥と成鳥の撮影に成功していましたが、その際に見た幼鳥と特徴が異なるように感じました。

幼鳥に見られる黄色みに関しては個体差が大きいと思うのでこれについては然程気になりませんが、胸に見られる縦斑が明瞭です。
以前観察できたシマセンニュウ幼鳥の縦斑はぼんやりとした印象でした。

ここで頭の中を過ったのがマキノセンニュウ。
日本で見られるセンニュウと名の付く鳥で成鳥に縦斑が見られるのはマキノセンニュウのみ。


画像の分析に夢中になっていたところ、やや離れた場所にマキノセンニュウ幼鳥と思われる個体が姿を見せていました。

 

 

この時に感じたのがシマセンニュウとのサイズ感の違い。

シマセンニュウの体長が16cmなのに比べマキノセンニュウの体長は12cmで大きくサイズが異なります。

こちらは拡大画像。

 

 

手持ちの図鑑やネットで調べてみましたが、マキノセンニュウの幼鳥については情報量が乏しくこれといった判断材料を集めることができません。

そこで標識調査をしている方であれば実際に目にしているのではと考えTwitterで交流のあるバンダーさんに連絡を取ってみることに。

色々とお話を聞かせてもらうなかでバンダーさん曰く『マキセンはもう虫ですわ~』と言わしめるほどで一応画像も見て頂いたところ、先に撮影した個体も後に撮影した個体も『マキセンで良いかと思います』とのことでした。


話が前後してしまいますが、飛び出した個体は稲の中を潜り抜けてきたようで私の近くに登場。
なんともサービスの良い個体です。

 

 

こちらの画像と以前観察したシマセンニュウ幼鳥の画像を比べてみると眉斑の特徴も異なることが判明しました。

シマセンニュウの眉斑は太く明瞭なのに比べマキノセンニュウの眉斑は細く不明瞭のようです。


マキノセンニュウと言えば5年前の9月、タカの渡りの観察で山に足を運んだ際に藪の中をガサゴソ動いていたのを目撃したのが私にとって初見でした。

その時は残念ながらピント合わせが上手くできず悔しい思いをしましたが、今回このように観察できたことは運が良かったとしか言えません。

 

 

この画像を撮影できた後は別の場所でも1羽確認できたものの直射が当たるようになってからは全く姿が見られなくなりました。

今回の観察を振り返ってみると、以前シマセンニュウを観察できた時と条件が似ていたように思います。
秋田県において稲刈り前の田んぼに潜むセンニュウ類を観察するには9月の一ヶ月間、薄暗い状態を狙って探してみると良いのかもしれません。

 


早朝は一面雲に覆われた空模様でしたがいつの間にか青空が広がりマガンの声が。

ふと見上げると南下していくマガンたちの姿がありました。

 

 

つい最近まで暑い暑いと悲鳴を上げていましたが、急に秋めいてきたようで農耕地ではノビタキの姿が沢山見られます。

 


気温も徐々に下がり、間もなく自宅近くにはコハクチョウの群れが到着する頃。
鳥たちの移動が活発になり、それと同時に私もあちこちを駆け巡る季節の到来です。

 

 

本日の観察日記はここまで。