メールはこちらから

 

 

X (旧Twitter)はこちらから

 

 

2022年4月11日

 

 

 

 

本日更新する日記は先月27日の観察分から。

 

春の渡りも本番を迎えるこの時期、驚くような出会いは何処に転がっているか分かりません。

渡りの時期だからこそ見られる珍鳥との出会いは経験も然ることながらタイミングも含め運が必要となります。

 

 

秋田県においての珍鳥探しは離島に比べると非常に効率が悪く空振りに終わることは当たり前。

しかし空振りを恐れてしまっては何も始まらないことから、この日も空振り覚悟でフィールドに繰り出しました。

 

早朝から主要となる探鳥地を巡りましたが強風の影響からか鳥の出は今一つ..

 

 

探鳥の合間に海を眺めてみると沖合いではオオミズナギドリが乱舞しイルカが数頭泳いでいる姿を目撃しました。

 

3月下旬頃はホオジロ科の珍鳥やヤツガシラを期待して探鳥を行いますが残念ながらそれらしき鳥は見当たらず。

 

一定のところで区切りをつけセキレイ科の珍鳥を探してみたものの刺激的な出会いには恵まれませんでした。

 

 

空振りの気配が濃厚になってきたことから気持ちを切り替えハクセキレイやセグロセキレイを観察してみることに。

 

 

いざ観察を始めると普通種であっても夢中になれるタイプなので、これはこれで良い時間を過ごすことができました。

 

また別の場所では夏鳥として渡来するコチドリを確認。

秋田にも春が到来したことを実感します。

 

 

微動だにせず見ていると足元まで寄ってくる場面もあり、可愛さ余ってシャッターを押していると撮影枚数はおよそ1000枚に..

 

ちょっと撮り過ぎてしまいました。

 

 

普段あまりシャッターを押さない方ですが、おかしなスイッチが入ると自分でも驚くほど夢中になってしまいます。

 

結果的にはコチドリを観察したことで満足感が得られ、帰宅も考えましたが時刻を確認してみたところまだ正午前。

 

もう少し周辺をチェックしてから帰ろうと車を走らせて間もなく..

 

 

「え..何故ここに居る..?」

 

 

私が目にしたのは秋田に居るはずのないオオチドリ。

 

 

しかもオオチドリは2羽。

 

当たり前のように採餌する姿は自分の眼を疑いたくなるほどで驚きを隠しきれませんでした。

 

 

幾ら渡りの時期とは云えどオオチドリは全くの想定外。

 

 

オオチドリと言えば2020年3月の与那国島を思い出します。

3月の与那国島には沢山の渡り鳥が立ち寄るため、珍鳥との出会いを求め足を運ぶバードウォッチャーは数えきれないことでしょう。

 

特にこの時期はオオチドリが与那国島を通過することもあり、お目当ての種として観察される方も多いはず。

 

しかし私が与那国島で目にしたのはこの様な姿。

 

 

上空を通過するオオチドリを咄嗟に撮影した画像ですが思い描くようなシーンとは程遠いものでした。

 

やり残しさえ感じる与那国島の旅行から早二年、まさか地元で観察できるとは..

 

 

芝生で採餌をするオオチドリはミミズを引っ張り出して食べることもあり、活発に動いている様子から衰弱しているような様子は見られません。

 

 

観察の途中にワンちゃんが走り回る場面もあり、警戒して一度は飛んでしまったものの直ぐに戻った2羽のオオチドリは付かず離れず行動していました。

 

採餌の合間には腰を下ろして休む場面も。

 

 

ワンちゃんの登場以降やや距離が離れてしまったため、敢えて遠い距離から環境を絡めて撮影。

 

普段見られない鳥だからこそ、地元ならではの画像を残すことは大事であると考えます。

 

 

ある程度観察を続けふと思ったことは「何故秋田へ現れたのか」という点。

 

手持ちの図鑑を参考にするとオオチドリはモンゴルから中国北東部で繁殖しアフリカ東部、インドネシア、オーストラリアで越冬すると記載があります。

 

日本では数少ない旅鳥として見られ先島諸島で毎年小規模な群れが見られるという記載もあることから、マップに渡りのルートを記すとこの様になるのでしょうか。

 

 

通常は日本列島の西側を通過するようですが見ての通り秋田県はルートから外れています。

 

しかし今回この様にして秋田県で確認できた背景には前日(26日)からの気象条件が大きく関係しているのではと考えました。

 

 

26日は北日本を低気圧が発達しながら通過した影響により、正午頃から雨が降り出し南東の風も強まって荒れたお天気に。

 

北半球では低気圧に向かって反時計回りの風が吹くためオオチドリはこの風に流されてきたのではないでしょうか。

 

 

実は26日も観察に出ていましたが同ポイントにおいて午後の時点ではオオチドリの姿は確認できておりません。

 

26日は時間の経過と共に雨脚が強まったため夕方以降にこの場所へ降りたと推定できます。

 

 

更にこの週末は全国各地でオオチドリの確認が相次いでいたことから、少なからず秋田での確認は低気圧がもたらした影響によるもと考えてよいでしょう。

 

本来よりも東寄りコースを辿ったことにより運良く見ることができましたが本県において観察できる機会はこの先無いかもしれません。

 

 

観察の様子に話を戻しますが、離れていた2羽はこちら側へ徐々に近寄りつつあった頃、タイミング悪く歩行者が接近。

 

歩行者を警戒したオオチドリは飛び立ってしまいました。

 

 

採餌場所を離れたオオチドリはコチドリを観察していた場所へ移動。

 

居場所を変えたことにより距離は離れていましたがオオチドリとコチドリのコラボレーションを撮影することができました。

 

こちらは拡大画像。

 

 

居場所を変えてからは行動パターンを読み易くなったこともあり、進行方向へ先回りをして待ってみることに。

 

狙い通りに近寄ってくることから意のままに撮影することができました。

 

 

こちらで餌としていたのは謎の幼虫。

 

コチドリも同じ幼虫を捕食していましたが、この黄淡色の幼虫は一体何者なのか..

 

 

嘴のサイズから考えると体長2~3mmといったところでしょうか。

相当な頻度で捕食していたことから人間の目には見えなくても多数潜んでいることが伺えます。

 

車内から観察を続けるとコチドリと同様にどんどん近寄ってくるオオチドリ。

 

 

こちらはピントが合うギリギリの位置を通過した時の画像。

 

 

更に近寄ってくる場面もあり最短距離を通過した際は望遠レンズで撮影することができませんでした。

 

せっかくの機会を活かそうと思い出したように広角レンズで撮影。

 

 

この時の状況を考えると地元だったからこそ至近距離で見ることができたのかもしれません。

 

与那国島で見るような環境とも異なり地元らしい画像を残すことができました。

 

 

この時、動画でも少し撮影してみましたが直ぐにフレームアウトしてしまうのはご愛嬌。

ピント合わせに手こずる様子も見ることができます。

 

 

観察に夢中になっていると既に陽は傾いており、このシチュエーションを活かし敢えて逆光でも撮影してみることに。

 

 

地元で観察できる機会はもう二度と無いかもしれないと思うからこそ、じっくりと観察し様々なアングルで撮影も楽しませてもらいました。

 

 

オオチドリの観察を終えて帰りがけにはヨシガモの群れを発見。

 

早朝から観察が続いていたことでヘトヘトの状態でしたが光線の加減が良かったため構造色を暫し観察。

欲の無い時ほど良い観察ができるものです。

 

 

空振りの一日を覚悟したところから一転して盛り沢山の観察日となった日曜日。

 

 

今回ルートを外れたことにより秋田県初記録となったオオチドリですが、終認は4月2日と思ったよりも長い滞在となりました。

 

通常の渡りとは異なり繁殖地までは日本海を横断しなければならなく、無事に目的地へ辿り着いていることを願わずにいられません。

 

 

春の渡りはこれから先一段と楽しい時期を迎えます。

今後どの様な出会いに恵まれるか想像もつきませんが、新たな発見に繋がるよう様々な環境をより注意深く見て回りたいと思います。

 

本日の観察日記はここまで。