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2023年 野鳥観察の旅 in 道北 ② (6月)

 

 

前回の続き。

 

クマゲラの観察をお目当てに足を運んだ利尻島。

 

初めて訪れる場所とあって些か不安もありましたが、先人が残した観察記などから利尻島ではクマゲラの観察が容易にできるものと高を括っていました。

 

しかし現実は甘くなくクマゲラの捜索は想像以上に難航。

悪天候も相俟って諦めの境地に立たされる羽目に...

 

 

次の目的地となる稚内市への移動を考え始めた頃、土壇場で巣穴から顔を覗かせるクマゲラを発見。

 

 

こちらは巣立ち直前と思われる幼鳥を写した画像になりますが、巣立ちを促す雌雄の親鳥も併せて観察することができました。

 

 

2023年6月10日

 

 

賞味20分ほどの観察でしたが無事に目的を達成することができ、気分が高揚したままフェリーターミナルへ。

 

利尻島の鴛泊(おしどまり)港~稚内港までの航路は海鳥観察を計画していました。

 

 

私が乗った便はこの日の最終便。

季節によって運航時間は異なるようですが、この日の最終便は17時40分に鴛泊港を出港し19時20分に稚内港へ入港のスケジュール。

 

1時間40分の船旅ということもあり海鳥観察の時間としては極めて短いものの初めての航路とあって期待が膨らみます。

 

 

定刻の17時40分、鴛泊港を出港。

天候が回復したお陰で綺麗な利尻富士を眺め島を離れることができました。

 

 

出港してから30分ほど経過した頃、遠巻きながらもハシボソミズナギドリを確認。

 

徐々に数は増え肉眼でも確認できる位置を飛ぶようになったことから撮影を開始。

 

 

種の同定が難しい画像であるものの双眼鏡ではハッキリと同定が可能な範囲です。

 

水面に浮かぶウトウを発見し、撮影した画像を拡大したものがこちら。

 

 

咥えているのはイカナゴのようにも見えます。

 

自ら食べる為に捕獲したものなのか、それとも遠く離れた地で待つ雛のために持ち帰るのか。

天売島で観察した帰巣の様子を思い出します。

 

ポツリポツリと確認していた海鳥は数を増やし絶え間なく見られるようになり、別種が混ざっていないかと同定の作業に一苦労。

 

 

確認できる個体数が多くなると船の直ぐ側を飛ぶ個体も出始めハシボソミズナギドリを鮮明に撮影することができました。

 

夕陽に照らされる姿が印象的です。

 

 

反応が遅れ撮影することはできませんでしたがケイマフリも確認でき魚を咥えて飛翔するウトウの群れも確認。

 

こちらの個体群は帰巣の途中だったのかもしれません。

 

 

船の進行方向に浮かぶハシボソミズナギドリの群れが慌てて飛び立つシーンも撮影。

 

 

鴛泊港を出発してから50分ほど経過した頃、驚くような場面に遭遇しました。

 

稚内市がはっきりと見えるようになり「そろそろ海鳥の数は減るだろう」と思っていたところ、5千羽超のハシボソミズナギドリの大群に遭遇。

 

 

辺り一面がハシボソミズナギドリに覆われ否応なしに視界に入ります。

 

 

船の右舷側は水面を蹴って飛び立つ個体が多く、左舷側では帯状に連なり水面に浮かぶ群れを見ることができました。

 

圧巻の光景に歓喜。

 

 

この時、遠巻きにもかなりの群れを確認できたことから1時間40分の間に万単位となるハシボソミズナギドリを目にしたかもしれません。

 

あまりにも数が多く、珍しい種が混ざっていても見逃している可能性は否めませんが個人的には大満足の稚内航路でした。

 

 

稚内港へ到着してからは送迎車で最寄りのレンタカー屋へ移動。

 

稚内市のレンタカー店舗は19時で営業を終えるところが多いものの、事前の申請があればフェリーの入港時刻に合わせ営業時間の延長をしてくれる店舗もあるようです。

 

※参考までに私がこの日利用したのはトヨタレンタカー。

 

 

宿泊先から最寄りの居酒屋へ駆け込み、海鳥観察で冷えた体を熱燗で温めました。

酒の肴は大きなホッケと刺身の盛り合わせ。

 


 

肉厚で脂の乗ったホッケは食べ応え抜群でした。

 

 

2023年6月11日

 

 

2泊3日の旅行もあっという間に最終日。

 

この日は宿泊先である稚内市からサロベツ原生花園に移動し、時間の許す限り観察の計画を立てていました。

 

稚内市街地からサロベツ原生花園まではおよそ50分ほどの道のりですが、朝食を調達するため最寄りのコンビニへ立ち寄ろうとしたところ...

 

 

突然飛び出してきたエゾシカに仰天。

 

 

市街地でも中心部の大通りだっただけに驚きを隠しきれません。

少しタイミングがずれていたら衝突していたでしょう。

 

飛び出した側には仁王立ちのお母さんの姿が。

写真を撮っていると「珍しいの?」と尋ねられ、返答したところ「あの子うちの花全部食べちゃうのよ!」とのこと。

 

どうやらエゾシカはお母さんに追い立てられ道路を横断したようです。

 

理由はどうであれ衝突しなくてよかった...

 

 

気を取り直してサロベツ原生花園に向かいましたが、私がこの地を訪れるのは今回が二回目。

 

前回はシーズンが終わっており、花も咲いていなければ鳥も少なく残念な結果に終わっていただけに今回は期待大。

 

咲き誇るエゾカンゾウやエゾニュウ、それらの花々を背景に囀る小鳥たちが私を迎え入れてくれることでしょう。

 

 

「さぁ、楽しい観察の始ま...あれ...」

 

 

「花が咲いてねぇ」

 

 

ただの草原に絶句。

どうやらシーズンには少し早かったようです。

 

しかも海側から吹き付ける強風の影響により観察は困難。

ここに来て大どんでん返し。

 

絶えずディスプレイフライトをしているオオジシギがせめてもの救いでした。

 

 

強風に煽られながらも囀る小鳥を探して撮影を繰り返しましたが思い描いたような光景ではありません。

 

こちらはホオアカ。

 

 

続いてノビタキ。

 

ノビタキは繁殖している個体が多く、餌を咥えて飛ぶ個体も多く目にしました。

 

 

コヨシキリは強風に負けじと囀っていましたが、最後には吹き飛ばされてしまったようです。

 

 

夏羽に換羽したツメナガセキレイは1羽だけの確認。

 

一度は近くに止まったもののシャッターチャンスを逃してしまい、黄色い点が写るだけの写真に...

 

 

構図を考え撮影しましたが、いかんせん距離が遠過ぎます。

600mmのレンズで撮影しても拡大してやっと分かる程度。

 

 

勿論シマアオジは確認できず、個人的に期待していたマキノセンニュウは鳴き声のみの確認。

記録として画像に残すことは叶いませんでした。

 

ネイチャーセンターの建物近くではエゾセンニュウがけたたましく鳴いていたものの、こちらも姿を確認できずに終了。

 

 

原生花園での観察を諦め海沿いのルートを辿り稚内市へ戻ろうとしたところ、道路脇の枯れ木に止まるツツドリを発見。

 

 

こちらは暫くの間、観察と撮影を許してもらえました。

 

海沿いの道路へ出るとエゾカンゾウやエゾニュウが咲き乱れており「始めからこちらで探鳥をしていたら」と後悔しましたが何を言ったところで後のカーニバル。

 

旅の最後はオジロワシの若鳥を眺めて終わりましだが2羽の若鳥が強風をものともせず巧みに飛翔する姿が印象的でした。

 

 

稚内市へ戻ってからは道の駅で身支度を整えこの旅もいよいよ終わり。

 

 

最終日は残念な結果となりましたが、この旅を振り返ってみると一番のお目当てとしていたクマゲラに出会えた時の感動は言葉で言い表せません。

 

思いもよらない場面での遭遇はただ驚くばかりでした。

 

巣穴から顔を覗かせていた幼鳥は親鳥に巣立ちを促され、今頃は林の中を飛び回っていることでしょう。

 

 

ハシボソミズナギドリの大群も圧巻でした。

想定外の観察ができたことを考えると全日程で良い観察をしようなどとは少し欲張りだったかもしれません。

 

期間中に食した料理はどれも美味しく良い思い出を作ることができました。

 

 

一つ心残りなのはサロベツ原生花園。

 

思い描くような光景を見れずに終わったことから、また機会を改めて道北の旅を計画したいと思います。

 

 

2023年 野鳥観察の旅 in 道北はこれにておしまい。