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2023年6月19日

 

 

 

本日更新する日記はトラフズクの観察記。

 

繁殖している雛が巣立ちを迎える頃に合わせ観察を行っているトラフズク。

今年は5月4日に最初の観察を行いました。

 

 

観察と言っても初回はペリット探しから始まります。

 

ペリットとは食べたもののうち消化しきれなかった物を口から吐き出したものを言いますが、フクロウ類を探すにあたり一番の手掛かりとなるため闇雲に木々を見上げるよりも遥かに効率は良いでしょう。

 

同じ場所で複数のペリットを確認できれば間違いなく樹上にお目当ての鳥が止まっています。

 

場合によっては見えにくい場所に止まっていることもあり必ずしも姿を見れるとは限りませんが、この日はペリットを確認して間もなく成鳥を確認することができました。

 

 

こちらはおそらく雌の個体。

 

私を気にすることなく熟睡している様子。

子育てに忙しくお疲れといったところでしょうか。

 

雌成鳥が止まる場所の近くに巣を確認しましたが雛の姿は見えません。

既に巣立ったのか、それとも角度的に見えないだけなのか。

 

そこで角度を変えて見てみたところ巣の縁に止まる雛を確認。

 

今にも巣立ちそうな雛の陰にはもう1羽の雛が見え隠れしていました。

 

この時点で2羽の雛を確認できたものの、実際に何羽の雛が生まれたのかは分かりません。

 

営巣写真は撮るべきものではないため早々に場所を移動しましたが雄成鳥の姿が全く見えず...

 

雌成鳥が止まっていた場所から少し離れた所に沢山のペリットが落ちていたため必ずその周辺に止まっているはずです。

 

 

しかし幾ら探せど見つけ出すことはできませんでした。

 

そうこうしているうちに雌成鳥の姿が行方不明に...

 

止まっていた場所に陽が射し込むようになり居場所を変えてしまったようです。

そのため捜索はふりだしに戻り「何処へ移動したのか」と右往左往していると2本隣の木へ移動していることが判明。

 

 

相変わらず眠たそうにしています。

 

暫く様子を伺いましたが、これといった動きは無かったことから初回の観察は手短に終了としました。

 

 

2回目の観察は前回から9日後の5月13日。

 

 

そろそろ全ての雛が巣立っている頃だと予想し再び現地へ。

 

前回観察できた場所を中心に周辺を捜索してみたところ巣立ち雛を2羽確認。

 

 

この場所から少し離れた場所でも1羽の巣立ち雛を見ることができました。

 

ざっと周辺を見渡し、念のために巣も確認してみましたが他に雛の姿は見当たりません。

私の見落としがなければ今年生まれた雛は3羽のようにも思いましたが実際はどうなのか...

 

この3羽の巣立ち雛を見守るように付近には雌成鳥の姿が。

 

 

相変わらず眠たそうな様子。

 

しかしこの日は時々薄目を開いて辺りを見渡すような仕草を見せることがあり、観察を続けていると羽繕いを始めました。

 

 

羽繕いを終えた後には必ず伸びをするはずと考え注目していると...

 

背伸びをするような格好で伸びを見せました。

普段見えない長い脚を見て取ることができます。

 

 

思いのほか上に伸びたため顔が松の葉と被ってしまったのは残念でしたが、面白い姿を見ることができました。

 

雌成鳥が再び休息に入ったため立ち位置を変えてみると巣立ち雛がこちらを凝視。

 

 

この時に見ることができたのは巣立ち雛ならではの仕草。

 

人間などの哺乳類は首の骨の数が7個なのに比べフクロウ類の骨の数は14個。

そのため左右にそれぞれ270度も首を回す事が出来ます。

 

更に巣立ち雛は関節が柔らかいためか頭がグルグルと回りあらぬ方向に回転。

 

 

不思議そうにこちらを見つめているようにも感じましたが、私の存在はどのように映っていたのでしょう。

 

雌成鳥と巣立ち雛を観察できましたが、やはり気になるのは雄成鳥。

この日も見つけることができず右往左往する時間が続きました。

 

暫くして目にしたのは...

 

 

何とも見えにくい場所へ止まる雄成鳥を発見。

 

雌は巣立ち雛の見える範囲に居る一方、雄は少し離れた場所に止まっていることが多いようです。

 

何とか雄成鳥を抜けの良い場所で見ることができないものかと考え、あちこち角度を変えて見てみたところ「あら不思議」こんなにもスッキリと姿を見ることができました。

 

 

全ての家族を見ることができ溜飲が下がったところでこの日の観察はここまで。

 

 

3回目の観察は8日後の5月21日。

 

 

過去の観察では巣立ち雛を確認できた時点で観察を終えていましたが、今季は更なる経過を見届けてみることに。

 

現地へ到着しざっと周辺を見渡してみたところ営巣していた松林に一家の姿は見当たりません。

 

どうやら巣立ち雛の成鳥と共に居場所を変えてしまったようです。

 

 

同じ時期に巣立ちを迎えるフクロウにも同様の傾向が見られることから周辺を探してみるとあちこちでペリットを確認。

 

少しずつ移動していることが伺え、ペリットを頼りに捜索を続けると最初に確認できたのは雌成鳥でした。

 

 

時々顔に陽が射し込み眩しそうにしています。

 

こちらは角度を変えて撮影した画像。

 

 

雌成鳥を確認できたまでは良かったもののの巣立ち雛を見つけることができず...

 

必ず雌成鳥の見える範囲に巣立ち雛が居るはずと考え周辺を丁寧に見て回った結果、ようやく巣立ち雛を確認することができました。

 

 

こちらの2羽の近くにはもう1羽の巣立ち雛も。

 

前回と同様に頭を回してこちらを凝視。

もしかすると前回も同じ仕草を見せた個体かもしれません。

 

 

残るは父ちゃん...もとい雄成鳥を確認するのみ。

 

しかしこれが幾ら探しても見つからない。

きっと上手いこと隠れ周辺の様子を伺っているのでしょう。

 

それならば母ちゃ...雌成鳥~巣立ち雛の順にもう一度見て今季の観察を終えようと思ったところ...

 

 

「何と!?」

 

 

手を伸ばすと届くような位置に止まる巣立ち雛を発見。

 

3羽とばかり思っていましたが今年は4羽生まれていたことが判明しました。

 

発見に際しいつもの望遠レンズで撮影を試みましたが、あまりの近さに撮影不可であったことから急遽ズームレンズや広角レンズに交換。

 

 

撮影と同時に雛換羽の進み具合いを間近で観察することができました。

 

この日は残念ながら雄成鳥は確認できずに終わりましたが4羽の巣立ち雛を確認でき観察の内容としては充分でしょう。

 

このあと一家は何処を目指し移動するのかは分かりませんが、また来季観察できることを楽しみに今季の観察はここまでとしました。

 

 

巣立ち雛たちが無事に成長し、新たな命を育む親鳥となることを願っています。

 

今季のトラフズク観察記はここまで。